タイニーハウス東京

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グローバル化について その2

2017-09-13 14:00:03 | 仕事と生活



ほぼ一年少し前にグローバル化について触れる機会がありました。今日は、その二弾目です。

前回(2016/6/1 番外編50 グローバル化について)では、Japan as No.1が売れまくっていたバブル期の1990年代初頭には既に日本企業の競争力の低下が始まっていたこと、更には自信を持っていた製造業で米国始め他国に遅れを取り始めたことについて触れて参りました。今回は別視点からお話をして見たいと思います。

筆者自身はサラリーマン時代に海外の仕事をしてきたことは大分前にお話ししましたが、その経験を活かして定年退職後はフリーランスのコンサルタントとして主に日本企業のグローバル化のお手伝いをさせて頂いております。仕事を通じて時折感じる部分があり、今日は差支えのない範囲で触れさせて頂きたいと思います。

最近はインバウンドの需要が増えたり、2020年のオリンピック開催まで数多くの国際行事が控えていることもあり、国内でのグローバル対応の話題が多くなっています。企業活動においても然りで、多くの企業がグローバル事業の拡大を進めています。因みに、国の統計では2006年から一昨年の2016年までの10年間で海外進出した企業数だけを見てみても倍増しているのが現状です。それに伴い海外で暮らす日本人も増加しています。

この二年ほどの間コンサルタントとして担当させて頂いている案件やプロジェクトを通じて強く感じるのは、企業の規模やそれまでのグローバル展開経験の有無を問わず、少子高齢化に伴う国内市場の縮小に対応するための対処法として海外市場に挑戦される企業が増えていると言うことです。謂わば事業拡大のため、閉塞した国内市場を飛び出し新天地の開拓を目指す心意気であり、大変心強く感じております。

もともと日本は資源の乏しい国で、明治以来先達の弛まぬ努力により積極的に海外市場を開拓し現在の世界第3位の経済規模に到達することが出来ました。ところが、近年GDPに占める国内消費が6割近くなり、ある意味では輸出に依存しない安定的な経済の形態になったのですが、その分海外への関心は薄れて来ていました。そんな中での変化がグローバル化への再挑戦だと個人的には感じています。

話を戻しますが、日本の企業のグローバル化については、色々と課題もあります。特に感じるのは、現在はグローバル化と言う言葉が使われる頻度が多い割には、以前(2000年以前)と比べ逆に実際の対応リソースが相対的に貧弱になって来ているのではないかと言うことです。以前は大企業を中心に、輸出部門などの専業部門がグローバル事業を牽引していました。つまり、一定規模の専門集団・組織が、伝統的に必要な専門知識や知見を集積して後の世代に継承し事業展開をして来た訳です。
ところが、今世紀に入り本格的な現地生産含む地産地消のオペレーションが始まると、事業推進の主役が輸出部門から生産・製造含む非輸出部門の方々に少しづつシフトして来ました。更には、主たる業務も輸出と言う商行為中心の活動からも、現地市場で現地人を雇用してのオペレーションが中心となり会社経営等の業務へ軸足が移って来ました。当然のことながら必要とされるスキルも知識も以前とは異なっています。営業・商取引の契約交渉に留まらず、現地での労使問題、環境問題や現地市場を熟知したマーケティング、R&D、設計、生産管理等の広範な事業活動もこなせる能力が特に必要とされて来ています。

従来の日本企業(特に大企業)では前述のように輸出部門で必要なグローバル人財育成する仕組みとなっていましたが、ビジネスモデルの変遷に伴い構造不良を起こしており、現在も未だ道半ばの状況だと筆者は感じています。ましてや、中小規模以下の企業においては、大企業における一定規模の輸出対応の人的リソースもなく、いきなりハードルの高いグローバル事業と言う未知の領域に挑戦する訳ですので、潜在的な事業リスクが極めて高いことをご理解頂けるものと思っています。

また、今世紀に入ってからの特徴の一つである資本輸出、平たく言えばM&Aを含む海外直接投資案件が非常に増えていますが、結構な頻度で破綻しているのも事実です。事実、最近でも海外大型出資案件が失敗し特損処理するなどのニュースも良く耳にします。

これらの問題の根源は、日本企業の「人財のグローバル化の深化」に課題があることを示しています。先に触れたように、今日における事業のグローバル化が意味するものは、単に輸出部門のような一定の部門の人財の専門化だけでは済まなくなっていると言うことなのです。例えば、ある企業が海外の企業を買収する計画をしたとしましょう。この場合は、担当する事業部門のみならず、経理・財務部門、法務部門、人事部門や資材部門等の管理部門、そしては経営者も含む総合的、全方位的なレベルアップが必要になります。また、そのM&A取引が成功したとして、契約締結後は合併後の統合オペレーションに向けた諸準備(PMI)が必要になり、更には買収先の現地経営を確実に進めるための力が買収元にも求められるわけです。つまり、M&Aの段階で買収先の選択の良し悪しに加え、買収する側に海外企業をオペレーションする十分な体制があるかが、成功の鍵を握っているわけです。

その基本となるのが高度なコミュニケーション能力です。これは外国語の能力と言う純粋に語学的側面に留まらず、必要な専門知識や知見を含み、言い換えると、日本で事業の運営の過程で行なっていることを当たり前のように外国語を使って現地のやり方等も踏まえて仕事を遂行する能力とも定義できます。事業撤退やそれに伴うリストラ等の厳しい事業判断を日本で日本語で進めることも非常に難度の高いことですが、同じことを外国語での実施することを考えてみて下さい。また、部下を叱咤激励したりする際にも、日本式では真逆の効果となることも多く、きちんと現地社会の常識や商習慣等も事前に熟知しておくことも必要です。当事者には自覚がなくても、意外とこんなところから現地社員の中で誤解を生じさせ労働争議に発展するようなことも珍しくないのです。
M&Aで買収はしたものの、派遣した日本人社長のコミュニケーション能力が余りに低く、議長として現地語で議事進行して取りまとめることが出来ないため、役員会議(ボードミーティング)も開けない、機関決定が出来ないと言った笑い話のようなこともザラにあるのです。また、形式上は機関決定に漕ぎ着けたとして、その過程での機微な議論を外国語でする能力が不足し、関係する役員や部門の幹部と納得性のある合意形成が出来ないためスムーズな事業運営が出来なくて困っている日本企業も残念ながら少なからず存在します。

勿論、日本人と外国人(正確には各国の方々)の間でも多くの共通点があり、大変個人的な見解で恐縮ですが、概ね60-70%は世界的に見て共通な価値観や習慣ですので、闇雲に心配する必要はないのです。やはりポイントとなる専門知識や知見を体系的に整理し、身に付けさせるための教育機会(オフ&オンザジョブ)を与えることが解決策となるのです。また、上述したようにグローバル事業の形態が変化し、社内の対応体制も変化する中で、必要とされる専門知識や知見を効率的に継承するための制度や仕組みの構築が課題だと感じています。勿論、個々の事業環境により、具体的な対処の仕方は変わってきますが、個別的な対応・応用の前にきちんと基本を学び習得することが近道になると信じています。



関連動画;自作トレーラーの関連動画はYouTubeにアップしてあります。宜しければご覧ください。
     https://www.youtube.com/watch?v=z-eC-Jokxhw&t=25s

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