ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

Exifに撮影座標を追加する・・・その4

2016-08-03 07:24:20 | ドローン(UAV)
前述の様な開発工程を辿って概ね完成した、GPSロガー(名称未定)
ですが、実際にはどの様な機能があるのか、その辺についてその概略を
ご説明します。

①GPS信号と撮影時のタイミングを同期させる。
②シャッターはインターバルで動作させ、タイミングは
 0.5秒毎間隔から調整可能。
③カメラを選ばない。
(リモートシャッター機能を有す事を前提に、
             IRでも信号でも可:一部カメラを除く)
④取り扱いが、比較的簡単。
⑤各種設定変更は、プロポ(JR&双葉限定)側で簡単に設定可能で、
 ロガーに装備されたディスプレィにより、その状態を確認出来る。
⑥すべてが、ワンパッケージ。
⑦将来状況をみて、2周波やリアルタイムデータ伝送も機能を拡張する予定。
⑧SfMソフト解析では、解析時間の時間短縮効果あり。
⑨インストールし易い様に、専用ステーもオプション設定。
⑩インストールし易いように、ハーネスは双葉等のリードハーネスを
 利用する事で、搭載場所を選ばない。
⑪取得した画像のExifに、簡単に座標データを追加出来る。

上記は、思いついた事を羅列しただけですが、概ね開発中のロガー
の機能・効能についてご説明できたと思います。

取得した画像のExifに、座標データを追加すると、下記の様
に撮影ポイントが表示されます。



それぞれの撮影ポイントを選択すれば、その画像を拡大表示させる
事も可能です。
 因ってこの機能は、植生調査などにも応用できると思います。

現段階でこのシステムをSfM等(写真測量等)に用いる時には、
精度を向上させる目的で、必要最小限の対空標識(検証点含む)が
必要となりますので、作業時にはご配慮頂きたいと思います。

Exifに撮影座標を追加する・・・その3

2016-08-02 06:24:27 | ドローン(UAV)
前回の投稿で、イメージとしてCAD図面を掲載しました。

それを基に設計が終わると、次に専用基板をおこします。



その専用基板に・・・全てでは有りませんが、電子デバイスを
実装したのがこの状態です。



なかなかコンパクトになりましたが・・・
実は、現在の製造方法ではこれが限界の様です。

その理由ですが・・・何万台と市場に出せるのであれば、
当然もっと小型・軽量化出来ると思いますが、現在の生産体制では
手実装の為、取り敢えずこの大きさが限界と言う事になります。

ご覧になられた方の中には・・・そうじゃ無くて、小型化するなら
メディアをSDでは無くてマイクロSDを使えば良いじゃないか?と
言われる方もお見えになると思われますが、当然試作初期では我々も
マイクロSDを使用していました。
(後述の小さなケースが、マイクロSD用です)
 処が・・・冬季の現場作業では、寒さから手が悴んでしまい、
余りにも小さなマイクロSDでは扱いにくく、更にはカードをシステム
から抜いた瞬間に飛び出してしまう事から、紛失する懸念もありました。
と言う訳で・・・無暗に小型化してしまうと、取扱い上の問題も発生します。
これらは・・・実際にテストして見ないと判らない部分ですね。
 
また、手実装なんかで大丈夫?・・・と、思われる方もいらっしゃる
かと思いますが、試作段階はともかく、量産品はプロの方々にお願いして
いるので、そのクオリティーはご心配ありません。

 残る問題は・・・ケースをどうするのか?と言う事ですが、
試作段階では3Dプリンターを使用致しました。

しかし、基板に実装された電子デバイスの大きさは様々で、
当然小型・軽量化すれば、その厚さも薄くする必要が生じます。

処が・・・薄くするとケースに反り(変形)が出てしまい、
結果、何回もケースを設計・試作し直す事になりました。

因って、試作したケースの種類も数も結構な量になってしまいました。



この写真は試作したケースの一部に過ぎませんが、この様に
多くのケースが屑になりました。

良く見ると・・・現在のケースと形状の違うモノが幾つか
見て取れます。
 又、ディスプレィ用の窓も、大小様々でディスプレィも
何種類か変更になっています。

当然・・・基板も同じ数だけ、屑になった事を意味しています。

上記の工程を経て・・・ようやく試作最終段階に辿り着きました。

これが・・・現在の状態です。





販売する際には、まだ、ステッカー等の準備や、細かな部品の製作
などが残っていますが、これで概ね80%程度は完成致しました。

システム重量は、もう少し軽く仕上がると思っていたのですが、
現段階では意外にケースが重くて、下記の状態となっています。


その辺を改善すべく・・・現在、ケースの構造を見直し、再設計を
行なっていますが、軽量化は難しいかも知れません。
 しかし、そのケースが完成すれば、接合部のチリなども、もう少し
改善されると考えています。



開発過程は・・・概ねこんな状況です。

肝心な、このシステムの機能については・・・次回で・・・。




Exifに撮影座標を追加する・・・その2

2016-08-01 05:10:50 | ドローン(UAV)
勿論・・・景観撮影等でExifに座標データー等を追加してみても、
あまりメリットはありません。

では・・・Exifに座標データー等を追加すれば、どの様な時に
どんな効能があるのだろうか?

ヤハリこれは、測量分野で今流行りの、SfM解析時に有効と
言う事だと思う。

具体的には、Exifに座標データー等を追加した画像を使用して
SfMソフとで解析した場合には、ペアとなる写真の特徴点を
ソフトが自動解析して3Dモデル等を構築する。

しかしこの際に、撮影方法が悪く十分なラップが確保されていない
場合や、ランダムにコース撮影してしまった場合には、その撮影縮尺
や条件に因って、ソフトが自動解析出来なくなる場合がある。

その際に、座標データーがあれば、そのモデリングを補助し、
結果解析時間が短く出来るのであって、特に写真枚数が多い時や
調査対象やロケーションの状況が悪い場合には、効果絶大と言う事
だと思う。

勿論、根本的に撮影画像(ピンボケ・露出不良)が悪い場合や、
その手法に根本的な間違いがある場合などは論外であるので、
たとえこの装置を利用しても解析が出来ない場合も当然ある。


現在・・・国内では、DJIのフライトコントローラーを搭載した、
マルチコプターが大半であると考える。
 
この世界的に大きなシェアーを有すDJIだが、処が・・・今まで、
同社のフライトコントローラーでは、折角GPS機能が
含まれているのに、完全にブラックBOX化されていて、
GPSデーターのアウトプットは出来なかった。

そこで、取得画像にExifに座標データーを追加しようとすれば
・・・今回ご紹介する様な、外付けの装置が必要となってくる訳だ。

 そもそも仮にフライトコントローラーからGPSデーターを
アウトプットできたとしても、様々な問題から実際にはSfMには
応用できないと弊社で考えている。

と言う訳で・・・座標データだけ有れば良いと言う訳でも無いのである。

上記の理由から、弊社が考え得る形(仕様)での開発が
始まったのである。

勿論・・・この手の装置は自己満足ではマズイ。

因って・・・国関係の測量系の試験でも、度々利用される中で
好評を頂いてきた。



この時の機体には、フライトコントローラー用と、座標取得用の
GPSアンテナが2本、これ見よがしに装備されていた。

機能自体は当然悪くないのだが、これではあまりにも武骨で
スタイリッシュとは言い難い・・・要は、格好が悪かった訳だが、
開発初期の機能確認用だったので、ある意味仕方が無かった。

しかし各現場で、めざとい人から・・・GPSアンテナが2本も
付いてるけど、これって・・・何?・・などと度々聞いて頂く事で、
期せずして多くの人に、システムについての説明や、近い将来商品化
する事など、ある意味宣伝が出来た訳で、それなりの恩恵もあった。

しかしこの状態では、関連部品がバラバラしており、機体へインストール
する際にも少々コツが必要で、そのまま何となく搭載してしまうと、
ノイズ等の問題もあり、時として誤動作が発生する可能性があった。
 仮に、ノイズの問題がクリアー出来ても、そもそもインストール
する事自体が面倒だった。(少し大袈裟)

 やはりこの辺は、特別な知識が無くても、また誰がインストールしても
正常に作動する様なスステムにして置かなければならないと思う。

また、この段階では各機能の設定変更をディップスイッチを用いて
行なっていたが、これが小さくて老眼と化した私には良く見えない
ので困った。
 因ってこの部分も改善し、量産機ではプロポ側から全て設定変更
出来る様になっている。

 
そんな訳で量産機では、それらを改善する為に、全ての機能を統合して
ワンパッケージ化させ、ノイズの問題も回路を工夫する事でクリア
すると共に、機体へのインストールを簡単にする事とした。



実は・・・仮に同じGPSアンテナを使用したとしても、制御基板や
制御ソフト次第でその性能も変わってくるのである。

勿論GPSアンテナは、市販品の中から良さそうな製品をピックアップ
し、数種類テストを行った上で最良な物を使用している。

と言う訳で・・・GPSなら何でもいいと言う訳でも無いのである。

次回に・・・続く。

Exifに撮影座標を追加する・・・その1

2016-07-31 10:06:35 | ドローン(UAV)
最近・・・Faceookやブログ等で、使用した写真のExifから個人情報が、
垂れ流しになっているので注意が必要との事ですが、撮影画像からExif
データを削除出来るフリーソフトもあるので、ご心配な方はそれらを活用されれば
良いと思います。

それとは逆に、今回の話は撮影画像のExifに撮影時の位置座標データーを
追加する装置の話です。

最近・・・SfMと呼ばれる3次元ソフとの流行に伴い、3Dモデルや
ポイントクラウド及び、オルソフォトなどの構築を比較的簡単に行える様に
なって参りました。

しかし、どんな撮影画像からでも3Dモデル化できるのか?と言うと、当然
答えはNOで、従来の写真測量の手法にとらわれない形での撮影手法が求められ
ています。

又、どんな被写体でも3Dモデル化出来るかと言うと、当然特徴点の少ない
被写体や、特徴点が検出し難い画像では出来ません。
 因みに、その様な被写体を撮影して3Dモデルを構築する場合には、やはり
それなりの経験と卓越した撮影手法が求められます。

このことは・・・前回6月に開催された、EE東北’16UAV競技会の解析
結果が実証しています。



と言う訳で・・・この手の作業は画像を解析する訳ですから、当然真面な画像が
適正に撮影されている必要が有る訳です・・・又、そうで無ければ解析出来ません。

また、撮影時のラップ(写真の重なり具合)も、従来の写真測量よりも多くする
必要が有ります。

そんな訳で・・・撮影時に取得した画像が何百枚にもなってしまう事など日常
茶飯事で、その解析には多くの時間と、より高度なPCスペックが要求される
様になって参りました。

因みに、以前撮影して大きな反響を頂く中で『グッドデザイン賞』迄頂いた、
軍艦島3Dでは、撮影した画像枚数は空撮・地上合わせて約27,000枚にも
なっています。

この画像を整理して、その内の約24,000枚を使用して構築したのが、
軍艦島の3D画像でした。

しかし、この様な膨大な写真のマッチング作業を、PC任せに出来る訳も無く
多くの手作業が必要だった事は言うまでもありません。

そこでこの状況から、どうやったらもっと自動化が図れるか?また、処理速度
を上げられるか?(PC以外の要因で)との想いが・・・ふつふつと湧き
あがって来ました。

そんな理由から・・・今回発表する、GPSを利用した座標取得・追加システム
の開発に繋がって行きました。

・・・続く。