ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

マルチコプターの大流行と安全性について考察するパート3

2014-03-15 00:00:01 | マルチコプター

前回の続きと言う事で・・・

よく生産現場等では「ヒヤリハット」などと言う言葉が
多用されておりますが・・・
 これはハインリッヒの事故比率(1:29:300)と言う
法則が基になっている様で、1件の死亡事故に対し、実は、死亡事故に
発展しなかっただけで、その裏で怪我だけで済んだ事例が29件あって、
同じ理由だけれども幸運にもヒヤリとしたり、ハットしたりしただけで
怪我を免れた事例が300件あると言うことです。

この事は、どんな職種にも大体当てはめる事ができるので、
我々の仕事にも、全く同様に当てはめる事が出来ますネ。

では、「事故」や「ヒヤリハット」に遭遇しない為には、
一体どうすれば良いのでしょうか?


例えば、何十人もの人達が係わり、事故に遭遇しない為の知恵を
出し合って整備や運行管理を行っている実機の世界でも、
稀に墜落する事があります。


この事に代表される様に、全ての世界(通常の生活や、仕事等について)
でリスクがゼロになる事はあり得ないと思いますが、だからと言って
「事故が起きても仕方がない」と言う事にはなりません。

要は、そのリスクを下げるために、一体何をすれば良いのか?
何をすべきなのか?を十分に考え行動すると言う事ではないでしょうか。

しかし、何事も経験不足の状態では、右も左も判らないでしょうから、
正確な判断を下す事など到底出来ませんし、ましてや、最良の改善策を
発想する事など、極めて困難だと考えます。

ではどうすれば発想出来るかと言うと・・・その為には、
ヤハリ豊富な経験が必要だと思うのです。

勿論・・・誰しも最初から経験がある訳ではありませんし、
何かを始める時の知識・技術のレベル如何で、当然リスクは
増減しますし、習熟度の進捗も思わしくありません。


それを補う為に、企業等では経験豊富な技術者が指導係となって、
それをフォローする事が常識となっています。

この目的とするところは、生産性や製品のクオリティーを向上させる為の
技術や、事故を発生させない為のノウハウの伝授です。


事実・・・数年前には、団塊世代の定年やリストラによる大量離職が
大きな問題として世間を騒がせましたね。

この理由は・・・技術やノウハウを伝授しようにも、社員間の世代格差が
大きく、本来引き継ぐべき社員がいなかったり、経験不足等が原因となり、
本来伝承すべき技術等を伝授する事が難しい・・・と言う事だった様ですが、
長引く不況等の要因から、求人して来なかった企業が多かった訳で、
これはとりもなおさず、企業力の低下に直結しますので、該当企業にとっては
一大事だった筈です。

とかく・・・成功から学べる事が少ないのが現実ですから、熟練者の指導の下
どんどんとは言いませんが、ある程度失敗を重ねながら経験を積む事で、
やがて一人前になって行くのです。

そこには・・・決して大きな事故や失敗を犯さないようにする為の、
先人の知恵があるわけですね。


通常は・・・この様なプロセスを辿って一人前になるのですが、これをもし
一人で始めたら一体どうなるのでしょうか?

例えは悪いのですが・・・生まれたばかりの赤ちゃんに、ミルクだけを
与えて、何も教えずに大きくしたらどうなるのか?と言う事です。

勿論、新しく事を始める場合、程度の問題が多分にあると思いますが・・・
もしその事への認識度合が低く、尚且つそれを誰も助言する事がなかった
としたら・・・どう考えたって、リスクが加速度的に増加する事は目に
見えています。

もしも認識不足から、致命的な失敗を犯してしまったらと考えると、
背筋がチョット寒くなりますし、当事者一人の問題では済まなくなります。

これは何も空撮業に限った事ではなく、一般的な仕事や、おそらく
日常生活全てに於いても全て共通しているのだと思います。

またラジヘリ関連の空撮業に於いては、操縦技術だけに限った事ではなく、
他にも機体を含む関連マテリアルや、その保守管理ついても必要な知識が
沢山あり、そこにも取り扱う為のかなりのノウハウが必要だと考えます。


少し極端ですが、基本的な構造や理屈も理解せずに、買ってきた
マルチの完成機を飛ばしてみたら簡単に飛んだので、空撮を始めた
・・・こんな事は実際に無いと信じたいのですが、もしもこれが
現実だったとしたら大変怖い事ですね。


おりしも丁度今・・・国の研究機関で、マルチコプターの講義を
受け持っています。

参加されている方達の中には、既に市販の完成機(模型)を
持っている方も含まれておりました。

多分、その方たちは、飛ばす事が出来ていた筈です。
その中には、3年模型をやっている・・・と言う方も
いらっしゃいました。

そこで・・・受講者の皆さんに、受講前と受講してからの、
気持ちの変化について聞いてみる事にしました。

質問したのは、主にマルチコプターの安全性や、操縦に対しての
心構えについてですが・・・

その結果・・・受講前とその後では、気持ちの上で大きな変化があって、
実に興味深い意見を頂く事が出来ました、

続く・・・。

マルチコプターの大流行と安全性について考察するパート2

2014-03-14 00:00:01 | マルチコプター
私の投稿しているブログの内容について、大抵は
無反応の場合が殆どですが、先日投稿した
「マルチコプターの大流行と安全性について考察する」に対して、
久々にご意見を頂きました。

勿論、勝手に・・・自分の思った事や、身のまわりの事を
投稿しているので、コメントを強要する心算はありませんが、
御覧頂いている皆様から何も反応がないと、やはり寂しさは
否めません。

今回はそんなブログの内容に反応してコメントを頂けた事は、
色々な考え方があることや、その現状ついて考える良い機会に
なりますので、とても嬉しく思っています。

何事も、現状の正確な把握が出来ないと、改善する事も
出来ないと言うことですからね。

そこで今回は、頂いたご意見の内容について、私なりの考えも
整理する形で・・・
「マルチコプターの大流行と安全性について考察するパート2」
と題して考えてみたいと思いますので、ご意見のある方はどしどし
コメントをお寄せください。


まず、ご意見を頂いた内容(原文)は・・・

自称プロと言う方ほど過去に言えないような怖い思いをしてたりする
と思います。
その経験を活かしてるからこそ今があるのに…似たようなことを
してきたにも関わらず素人扱いしてる自称プロが多いいように思います。

自称プロの方は、1度も落としてませんか?怖い思いをしてしてませんか?
全て予測して対応ができますか?

飛行中のマルチコプターにトラブルが発生して無事着陸できる方は
いないと思います。
だから制御装置に頼ったフライトになってるしプロも
素人も無いと思いますよ♪

全て偶然トラブルがないだけだと思います…と言う事ですが・・・


このご意見を要約すると・・・「自称プロと言ってみたところで
随分怖い思いや墜落をさせて来たのに、プロ面して初心者を馬鹿にするな」
と言う様な事だと思います。

コメントを頂いた方からは・・・そこまで言ってないよと怒られそうですが、
前回のブログの内容は、立場によっては、もしかしたらその様に受け取られ
兼ねない少々耳の痛い内容だったかも知れませんね。


私は、プロだと自称した事は未だかつてありませんが、少なくとも
空撮を生業として20数年になります。
しかし、一向に技術は向上しないので(自分の意図するレベルに達しない)
、投稿した内容は、私が日々自分自身に言い聞かせている部分が多分に
あります。

従って、決して初心者の方を馬鹿にしている訳ではありませんので、
前回の投稿内容が、もしもお気に触ったとしたら、申し訳なく思いますし、
どうかお気になさらない様お願いいたします。

そしてこんなブログの内容の中にも、もしも参考になる部分があれば、
日々の業務に取り入れて頂ければ幸いです。


前置きが長くなりましたが、それではご意見の内容を基に
、私なりの考えも交え、実際に現状はどの様になっているのか?を
考えてみたいと思います。


先ず、「自称プロほど過去に言えないような怖い思いをしてるんじゃ
ないのか?」・・・についてですが、確かにご指摘の通り・・黎明期には
従来のラジヘリを用いて空撮をされて来た方たちは、私も含め、振り返れば
多かれ少なかれ、誰しも怖いや苦しい思いをしながら歩んで来た道だと
思います。

例えばマテリアル一つとっても・・・合法か否かは別として、欲しいものは
お金を出せば、およそ何でも手に入る昨今とは、その当時の状況は全く違う
様相を呈していた様に思います。

そしてそれらを構築するための道のりは、険しく大変な道のりでした。

勿論、現在では随分と改善されこそしましたが、現在でも業務用機材に
於いては、基本的なスタンスに変わりありません。

今改めて思えば・・・よくも飽きずに、コツコツとやってこれたものだと、
自分で感心してしまいますが、日々探究心や高いモチベーションを
持ち続ける事は、より良いものを構築するためには重要な事で、
それは今後も変わりないと思います。


そんな事一つをとってみても、現在の様にマルチコプターで空撮を始めた
方たちが、これから歩むであろう道と、昔ラジヘリで空撮を始めた方たちが
歩んできた道は、同じ道の様でも、高速道路と泥濘が随所にある山道程も
違っていると思われます。


私の知る限りでは、その結果・・・多くの個人・企業が途中でリタイヤ
していたった現実があります。

では、どの様な理由から途中でリタイヤせざるを得なかったのでしょうか?

例えば・・・何とか業務として取り組んではみたものの・・・

①安全性に問題があり、継続性を持って業務に使用できそうにない。
②トラブルが多く、業務の達成率が低そうだ。
③目的とする、撮影成果が得られそうにない。

などの理由が、多い為だと思いますが・・・しかしその大半は、
そもそも業務に転用する前の段階で、断念した様です。

事実・・・弊社の取引先の多くが、倉庫に破損したラジヘリ(模型)を
保有?している(していた)事でも明らかですが、その事について実際に
お話を伺ってみると・・・「あんなもんじゃ・・・危なくて仕事にはならん」
・・・とか、「操縦が難しくて、どうにもならん」などと、一応にそんな
答えが返ってきました。

過去に於いては、ラジヘリで撮影業務を行う以前に高い技術的な壁
(操縦・メンテナンス等)が立ちはだかり、結果断念せざるを得なかった
と言う現実があったからで、要は・・・この時点で、これは危なくて使えない
・・・と大部分の人達が認識し、それを業務に転用する事を断念(控えた)
と言う事なのですが、では・・・現在のマルチコプターの場合は、
どうなのでしょうか?

GPSを使用したコントロールモードで操縦したとすれば、器用な方なら、
多分最初から・・・チョット練習すれば大丈夫なんじゃないの?・・・
と感じると思いますし、事実飛んでしまったりします。


そんな訳で・・・新しく空撮業を始めようとした時に、
過去に於いては、こんなモノ危なくて・・・と感じ、
現在に於いては、チョット練習すれば大丈夫・・・と感じる。

もし私が推測した様なことが、現実のことであるとすれば、
そこには安全面に於いて、双方に大きな感覚的隔たりがある
と言う事になりますが、果たして実際は如何なのでしょうか?

続く・・・。


実機のパイロットの話。

2014-03-07 00:00:01 | マルチコプター

そう言えば・・・過日、調布飛行場から新○央航空が運航するアイランダーに
乗って、新島に撮影に行った時の事を思い出した。

そのイギリス製の古い飛行機は、高翼でサイドbyサイドの8人乗りだったが、
窓は左右に4枚しかない少々武骨な双発機で、離島間を結ぶ事を目的として
開発されている事が名前の由来でもある。

その時、たまたまなのか?気を利かせて頂いたのかは定かではないが、
幸いにも私は窓のある2列目の席に座る事ができた・・・パイロットの
すぐ後ろの席である。
その席から私は、パイロットの一挙手一投足を観察していた。


因みに、残る4席は窓もない四角い筒の様な場所にあった。

イメージ的にそれは、カーゴ室に椅子を無理やり取り付けた様なもの
であったが・・・もしかしたら、本当にそうだったのかも知れない。


少し脱線したが、お伝えしたいのは飛行機の話ではなくて、その時の
パイロットの話である。


初老と言うには少々年がいった白髪のそのパイロットは、その風貌から
コツコツと地道に飛行時間を重ねて来たに違いないと思われた。

調布飛行場を離陸すると、前を見ているのか見ていないのか?・・・
私には判断できないほど、高度が変化する度にミクスチャーを
神経質なほどに調整するのである。

要は・・・外の様子を殆ど見ないで、メーターを見ていた様に
私には思えたのだ。

このミクスチャーと言うのは、キャブレターの燃調の事だが、
上空に上がるにつれ気圧が下がるので、ミクスチャーを調整して
空燃比を最適化する必要があるためだが・・・だからと言って
そのパイロット・・・その調整の仕方が病的で、メーターの
2本の針は許容範囲に収まっているのに、それがピッタリと
重なるまで、調整しては眺めてを・・・何回でも
納得の行くまで繰り返すのだった。
(この機体は双発なので、エンジンが左右に2基付いている)

そこまでしなくても・・・と、素人判断で思ったが、多分その
様子から・・・かなり神経質な性格だと言う事だけは容易に
想像する事ができた。
しかしそれが、そのパイロットの安全に対するポリシーであり、
自分なりの航法なのだろう。

これをもし調整しなかったとすれば、高度変化に比例して急速に
エンジンの出力が低下し、やがてはエンジンストールを
引き起こしてしまう。

もしエンジンが不調になった際、あの時もう少し細かく
調整していれば・・・とか、もっとああすれば良かったなどと
後悔してみても、ひとたびトラブルが発生すれば後の祭りなのである。

多分・・・そんな後悔をしないために、彼は神経質過ぎるほどに
調整を繰り返していたのではないのだろうか?

そしてミクスチャーを調整する度に、腿の上にある飛行記録簿に時間や
高度などを書き込んで記録をとっていたのだと思う。


その時、出来得る限りの対策を行う事で、リスクの発生を最小限に
抑えたいと言う事だろうと思った。

その時は、洋上飛行だったので、エンジンの不調=デッチングと
言う事になるので、余計に神経を使っていたのかも知れない。

それにしてもこのパイロット、顔をしっかりと上げていたのは離陸時と
着陸時のみで、後は偶に自分の位置を地物で確認する程度で、
ひたすらミクスチャーの調整と他の計器の監視に、その飛行の殆どを
費やしていたような気がしたのだが・・・その航路を毎日飛んでいて、
多分自分の庭の様な状態だとは思うが・・・もう少し外の様子を見ても
良いのではないのだろうか?

監視の義務も有るわけだから・・・つづく。

マルチコプターの大流行と安全性について考察する

2014-03-06 00:01:00 | マルチコプター
巷では・・・昨今、マルチコプターが大流行りである。

何故こんなに急速に大流行したのか?・・・今回はその理由と表裏一体の
リスクについて考察してみたい。

先ずその理由の一つに、DJI製品をはじめとする、フライトコントローラーの
高性能化を挙げる事が出来るだろう。

しかし、もしそうだとしたら、それ以前からトラデッショナルなラジコンヘリ用の
フライトコントローラーだって販売されていたのであるから、それらを機体に
搭載すれば、従来のラジヘリだって立派に安定して飛行できる筈である・・・
と言うか、間違いなく安定して飛行するのである。

それなのに現実は、それらは一部のプロの業者が導入しているに過ぎず、
マルチコプターの様な広がりを見せる事は決してなかった・・・
因って私が考えるに、全くの謎なのである。

もしかしたら気持ちの上で、ラジコンヘリは敷居が高いが、マルチコプターなら
気楽に導入できる・・・と言う事なのだろうか?或いは、マルチコプターの
デザインが優れているとでも言う事なのか?

運航コストも比較的安いが、それは実際に使ってみなければ判らない
筈なので、それに気付くのは導入した後の話になろう。

まあ何れにせよ、簡単に飛ばせると言う理由から、それらを販売する業者も
筍の様に出現しており、「素人でも簡単」「数時間の練習で飛行可能」・・・
などと、売りたい一心かどうか?は定かではないが、キャッチコピーを
並べたてて、販売に躍起になっている事も流行の一因には違いないと
思うのだが・・・。


勿論、趣味で飛行させる事は個人の自由である。
自己責任で、人に迷惑を掛けない範疇でそれらを飛行させる分には
他人がとやかく言う理由はないし、それらの販売店をどうこう言う
心算もない。

但しここで問題となるのは、メーカー戦略もあってのことか?
操縦技術が伴わない状態のまま、簡単に写真が撮れると言うだけで、
安易に業務で空撮を行う個人や企業が増えていると言う事に、一抹の
不安や危惧を抱かずにはいられないと言うことだ。


弊社が言うのもなんだが・・・確かに、マルチコプターは簡単に
飛行できる。
それは簡単すぎて怖いほどでもある・・・但し・・・それは目前の
ホバーリングに限った事なので、勘違いしない様にお願いしたいし、
実はそこに大きなリスクが潜んでいる事も認識し理解して欲しいのである。



それらが安定して飛行できる条件は、GPSやコンパスなど多くの計測器や
制御機器が正常に受信できている事が大前提となる。

要は・・・機械頼みで操縦?出来ているような気になっている訳だが、
この場合にはひとたびGPSの受信不良や、他の機器や機体に何らかの
不具合が発生した場合には、事故に発展するケースが高いと考えられる。

この理由は、高度な操縦技術やスキルが根本的に不足している
オペレータの場合には、その不具合に迅速に対処する事が難しい為だが、
では、熟練者とそうでない人達の違いは一体何なのだろう?

機体が全て正常に機能している場合には、傍目で見る限りは、
もしかしたら熟練者とそうでない人達との間で、その差異をそれ程
感じる事は少ないのかも知れない。

しかし、高度な操縦技術やスキルを持ち合わせていない人の場合には、
ほぼその大半が機体を操縦する事に一生懸命になってしまっていて、
周りの状況を伺い知る事はおろか、機体のコンディションにおいても
同様に注意を払う事は難しいのである。

それなら前者は如何なんだ?と言われそうだが・・・多分その大半が
機体の操縦には50%程度しか注意を払っていないのではないかと思う。

残りの50%は、刻々と変化する周囲への安全確認や、機体の
コンディションに注意を払っていると思われるのだが、実際には
熟練者の皆さんは如何お考えだろうか?

要は・・・安全対策に集中力の50%を充てている現実がある。

実は・・・これが安全に大きく寄与していると
私は常々考えている。


模型でそれらを楽しむ場合には、墜落しても
「おっちゃいました…」で大抵は済むのだが、
業務での墜落となると、あながちそうはいかなくなる
ケースが多々ある事は、どなたでも容易にご理解頂けると思う。


例えば・・・皆さんも旅行等で飛行機を利用される事が
あるかと思うが、その時皆さんが乗る旅客機は、ほぼ例外なく
計器飛行の機能を備えている。

この計器飛行中は・・・基本的にパイロットは操縦していない。

しかしコクピットにいるパイロットは、様々な計器や飛行経路を
チェックしたり、機体のコンディションを常に気に掛けていて、
もっぱら監視役に徹している筈である。

それらのパイロットは、皆一応に高度な訓練を経たからこそ
そこに座る事が出来ていて、何かトラブルがあれば、すぐさま対処
できるだけのスキルも同時に有している筈である。

そんなパイロットのお蔭で、我々は音速に近い速度で飛行していると
言うのに、能天気にビールなどを飲んで浮かれていられるのだが・・・
これがもし自動操縦だからと言って、満足に操縦出来ないパイロットが
搭乗していたとすれば、多分酒など飲んで浮かれている人などいる訳がない
と言うか、そもそも飛行機に乗る人など、いなくなるのではないだろうか?


この事からも、自動で飛行できるからと言って・・・決して飛行技術が
要らない訳ではない事がお分かり頂けると思うのだが、このブログを
御覧いただいている皆様には、日々の訓練を重ねて確かな操縦技術を
身に着けて欲しいと願うばかりだ。

とは言え・・・なかなか己の操縦技術を自分で評価する事は難しい。
従って、業務に参入する際の一つの判断基準をここに示す事とするが、
そのことは、私が常に自分に課している目標でもある。

それは・・・自分の操縦する機体に自分で乗って見たい・・・
或いは、乗っても良い・・・と、心から思える様に飛行できるかどうかだ。

勿論、実際に乗る事など叶わない訳だが、もし感覚的に、自分の操縦する
機体に乗る気になれない様であれば、即ちそれは何時落ちるか判らない
と言う事になり、危険を意味しているのではないのだろうか?

勿論・・・基本的に天候が良好で、強風などの外乱の影響が
無い状況下での話ではあるが・・・良かったら参考にしてほしい。

もしも現場で、撮影作業が終わって機体を着陸させた時に、
現場スタッフの皆さんから拍手を頂けたなら最良の喜びであり、
自分以外の人達からも認められたと言う事だろう。

全て・・・自己満足で有ってはならない。

つづく。




開発・・・終了

2014-03-01 05:33:48 | マルチコプター
過日・・・とある国立の研究機関からのオーダーで、特別仕様の
マルチコプターの開発を請け負う事になった。

それは急ピッチで進められたが、その仕様を満たすためには、
機体の主要部品の多くを、新たに制作する必要があった。

弊社では、他に撮影業務等も行っている事から、この機体の開発は
それらの合間を縫って進めるべく生産計画を立てたのだが、
年度末も近い事から、撮影とのスケジュールに折り合いが付かず
大変な事に・・・。

新規でパーツを開発する場合には・・・企画~設計~試作~検証~生産
と、大体この様な段階を踏んで行われるのが常だと思うが、今回は
時間的に余裕が無いことから、試作段階をおののいて、設計終了後に
いきなり各パーツの生産に入ることを余儀なくされていた。

勿論この暴挙は・・・リスクを承知の上での事であったが、
そこは自分のスキルを信じてGoサインをだしたのだが・・・
一抹の不安は否めないのであった。

その結果・・・予想通りに?と言うか、心配が現実のものとなったと言うか?
数週間後に新規生産した部品を検査してみると、その数点に不具合が
発覚。

当然、これらのパーツにおいては、制作をし直す必要があったが、
今回パーツの生産を担当して頂いた、神部氏の軽やかなフットワークの
お蔭もあって、追い加工で見事に解決出来た事は幸いであった・・・感謝。



そんな紆余曲折を経て、全パーツの生産が終了したことから、
これで特注のマルチコプターの開発も順調に推移し、近々に佳境に
到達できると思われた矢先・・・予想だにしない大雪が
2週連続で週末に降ってしまった。

皆さんも記憶に新しいと思うが、2月に降った何十年とか100年とか?
に一度と言われた・・・先日の大雪の事である。

その大雪の影響で、折角ロールアウトした機体の飛行試験が、
実施出来ない状況に陥ってしまった。

何せ今回の大雪は・・・全国津々浦々で陸の孤島と化した地区が
多発したのだから、それは信州も例外ではなかったのである。

除雪作業の遅れから、幹線道路でさえ車で走る事もままならず、
天候回復後もテストフィールドへ行くことすら出来ない状況が
1週間も続いた。

当然・・・撮影等のスケジュールも滅茶苦茶になった事は
言うまでもない。


そんなこんなで・・・これらの機体の開発期間には概ね2ケ月を要した。

これら・・・と言うのは、違う仕様の機体を3機も同時に
開発したからなのだが、これらが原因で・・・本ブログへの投稿も、
なかなか叶わぬ事態に陥ったと言う次第でありました・・・続く。