ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

過日・・・UAVの競技会に参加しました・・・その1。

2015-06-13 11:48:10 | ドローン
EE東北’15UAV(マルチコプター)競技会が、
過日H15年6月3日~6月4日の2日間にわたって、
宮城県は仙台市にある『みやぎ産業交流センター』にて
開催されました。

この競技会は、一般参加部門と総合技術部門の2部門に
分かれていて、弊社がオペレーターとして参加させて頂いたのは、
総合技術部門であって、競技内容は文字通り、撮影は下より計測精度を
含めたトータル的な技術を競って、予定では優勝する筈でしたが・・・。

一般部門と総合部門の違いは、下記の通りとなっていました。

①一般部門・・・指定された順路で障害物や旗門を通過しながら、
          指定された場所で、如何に短時間で正確に撮影を行うかが
          ポイントの様でした。
②総合技術部門・・・指定された撮影個所をピンポイントで精度よく撮影し、
           その取得画像を基に3Dモデルを構築し、欠損個所や
           クラックの幅や深さの解析を行ない、その計測プロセスを
           判りやすくプレゼンするところまでの評価を、総合的に行う事で、
           優劣をつけるとの事でした。

以上の様な競技内容でありましたたが、特筆すべきは3日に行われた一般参加部門の
公式練習で、その様子は、差し詰め障害物競争の様相を呈していて、無理を承知で
飛行するあまりに破損や玉砕した機体が続出した事から、競技早々波乱含みの
展開となってしまいました。

勿論この事は事前に判っていて、私は参加説明会にて、現状の競技内容は危険が伴うので
変更すべきと提言していたのだが、それが正に現実の事態となってしまい、主催者側の
狼狽ぶりは見るに堪えないものだったし、実に気の毒にさえ思えた程でした。

現在巷に蔓延っている・・『UAVは人の立ち入れない所でも簡単に飛行させられる』・・・
などと言う様な安易な考えが、如何に危険で浅はかな考えかが、今回の事で主催者側にも
身をもって理解して頂けたのではなかろうか?・・・この事こそが、今回の最大の意義で
あり、大きな収穫であると弊社では考えている。

UAVは無限の可能性も無ければ万能でもない事を、しっかりと認識すべき・・・
であると考える・・・UAVを安全に運用する為には、甘い妄想を抱いてはならない。

いずれにしても一般部門の競技内容は、今回は直接私には関係のない事なので、それは
どうでも良かったのだが、通常の作業現場でも安易な作業計画を立案されても困るので、
敢えて提言した・・・と言う訳だ。


実際の競技では、機体の破損が無かったチームも有る様だが、業務で作業(飛行)する
場合には、安全第一が基本であって、一か八かの様な作業方法では、1回や2回は例え巧く
事が運んでも、100回1000回と言うレベルで、安全に作業を継続できるかは甚だ疑問である。


主催者の方々も今回の事態を踏まえ、次回この様な競技会を開催する際には、安全に配慮した
競技内容を立案頂けるのではないかと思うし、その事を強く希望する次第だ。

もっとも主催者の方々も、事前に今回は初めての試みなので、至らない点が多々あろうが、
宜しくお願いしたい・・・との釈明も実際にあったので、UAVの運用上で本当は何が危険で
どの程度のフライト技術が必要なのかが、全く判っていなかったのだろうと思われた節もある。
因ってそれは、ある意味仕方のない事だったのかもしれない。

しかし今回の競技会では、どのチームも同じルールの下で行われたので、安全かどうかは
別として、不公平は無い様に実施されたと思われたし、破損しなかったチームは技術的にも
優れていた様にも思われた。

どのチームも、それぞれの立場で良く検討されたと思うが、今回の競技ルールの餌食になって
不幸にも破損されたチームに於かれては、ご愁傷様と言わざるを得ない。



この競技会への参加申し込みは、全国の個人・企業が対象であったが、
そんな競技内容にも拘わらず、何でも合計で40チーム近い申し込みがあったらしい・・・
それも、一般部門に集中していた様だったが、多分事(ルールの危うさ)の重大さが
理解できなかったからだと思われる。


いずれにしても、巷のマルチブームが、如何に底辺まで拡大しているかの証拠と言えよう。


その申込みチームの中から、厳正な審査の結果(審査対象及び基準は、未公表)、
一般参加部門が8チーム・総合技術部門が5チームづつ選抜されて競技に挑んだ。



この競技は屋内で行われ、飛行エリアは17m×12mの中に
模擬の対象構造物(約10m×2m×4m)があり、そこに
撮影すべき課題が課せられていて、如何に決められた時間内で、
正確に撮影できるか?を競った。



3日の公式練習では、ご覧の様に対象構造物はブルーシートで覆われていて、
何処にターゲットがあるのか?判らない様になっていた。

おや・・・写真の左隅に見た事の有る顔が・・・。
ロングロングアゴ~の頃、F3Cの世界戦で2位になったIさんでした。
そんな人も、この競技会に参加していました。





それはさて置き、弊社がこの競技会用に態々機体まで製作して挑んだ結果は・・・
非常に無念な事ではあったが・・・惨敗であった。


当然、総合優勝を目指して・・・と言うか、優勝しなければ
ならない立場にあった訳だが、不甲斐ない結果をもたらしてしまい、
関係各位には大変なご迷惑をお掛けしてしまった事は、
残念でもあり申し訳無い気持ちで一杯である。

せめてもの救いは、今回の総合技術部門競技で、一番の目的で
あった計測結果(計測精度)に於いて、優れた評価を頂けたとの
事で、ベスト計測賞を受賞出来た事であった。

この結果は、日々実務を行っている者として、この上ない
評価であった。
 勿論・・・優勝できていれば、尚更良かった事は言うまでも無いし、
当然それを目指してもいたので、今回の結果は非常に残念でもあり
無念な結果に終わってしまった。

兎角・・・競技会には魔物が潜んでいると言われているが、
今回は、その魔物が我々のチームに襲い掛かって来たと言う訳だが、
残念ながら我がチームには、その魔物を撃退するだけの力量が無かった
と言わざるを得ない。

但し・・・その魔物(アクシデント)も、実作業では然程問題となる
様な事柄では無く、致命的な瑕疵とは言えないものであったが、
そこは競技ならではの制約があり、現実的には完敗と言わざるを得なかった。


我がチームの実際の競技の状況はと言うと・・・400枚超の画像を取得する
予定のところ、8分間フライトさせて、僅か数十枚しか撮影画像が
無かったのである。

原因は、撮影データの書き込み不良が発生して、撮影出来ていなかったのであった。

その上その数十枚の画像は、対象構造物の極一部分に限定されていた
事から、競技の目的でもある3Dモデルの構築も不可能との判断を競技中に
下し、無理を承知で急遽2回目のフライトを敢行した事が全ての結果であった。

この事が原因で、多分・・・1分程度フライト時間を超過してしまった。
多分、このタイムオーバーでー160点の減点。

この、時間超過の減点割合が、大きく競技結果に響いてしまったのだが、
何と言う事か・・・因りによって2フライト目の撮影でも書き込み不良が発生して
しまい、競技終了時には何枚撮影出来ているのか?判らない状況のままで
、フライト競技分は終了してしまった。

フライト(撮影)競技終了後、一体何枚撮影出来ているのだろう・・・等と
考えると胃が痛くなったが、直ぐには撮影枚数の確認が出来なかった。
 そうなると、後はなる様にしかならないので、急いで指定された計測室に移動し、
取り敢えず撮影画像の全てをPCに移した。

これには流石に困惑したし・・・焦った。


さて、この結果は如何に・・・続きは次回でご報告したいと思います。




対症療法には・・・限界がある?

2015-06-04 04:32:19 | ドローン
現在・・・ドローンを取り巻く環境が日々悪化する中、
様々な取り組みが国や企業で行われている。

しかしそれらの取り組みは、実際に事が起きてから
如何しようかと言う様な事に終始している様に思えてならない。

その様な取り組みや技術開発も、まんざら無駄ではないとは
思うが、それでは事の発生を未然に防ぐ事は出来ない事から、
対策としては後手に回っていると言わざるを得ないだろう。


そんないたちごっこをするよりも、少し目先を変えて、
ここはやはり販売時に規制を掛けるべきであると考える。

兎に角、現況はドローン(マルチコプター)が市場に
溢れ返っていて、どこのだれがどのように使用しているのか?
判らない実態がある。

その部分を改善できれば、数年前の平和な状態に戻す事が出来る。

但しそんな事をすると、経済活動に影響が及ぶとの反対意見も
ある事は承知しているが、ドローンを取り巻く現在の環境は
先日やっと収束したと思われる、エボラ出血熱の大流行と同じ
様相を呈している。

そんなウイルスと、ドローンを一緒にしない為にも、予防処置への
取り組みを、もっと強化すべきと考えるが如何だろうか?



はたして・・・本当に、ドローン侵入を阻止できるのか???

2015-06-04 00:00:00 | ドローン
前回の投稿で、ある警備会社が、ドローンが工場等への侵入を
企てた場合を想定し、その対策として、予め敷地内?に設置した
各種センサーを使って、最大、半径150m程度で飛行している
ドローン(マルチコプタ)のプロペラ音を感知して、データベース
から機種や使用者(操縦者)の特定?を行える技術を開発した事を
お伝えした。

ニュース映像では、至近距離でホバーリングしている、DJI製の
ファントムから発せられるプロペラ音から、検証を行っていた様
だったが、その技術とやらは、本当に実現可能で実効性がある事
なのだろうか?


聞くところによると、その警備会社ではドローンを脅威と
みなしている様で、今回はその対策の一環なのだそうだ。

事の発端は、やはり首相官邸へのドローン落下事件で、それを受け
ドローン対策への取り組みをスタートする事にしたと言う。
 それらを想定して、早期発見を行い被害拡大を防止したい
考えの様だが・・・本当に実効性をもってそんな事が
可能なのか?

ここで私の浅知恵をもって、その技術を検証してみたいと思う。


先ず初めに、ドローンの侵入を早期に検知・識別する為に、
予め設置した、音響センサー・画像センサー等を組み合わせて
リスク分析を行い、関係者や関係機関に通報するというのだが
・・・。

ここで問題となるのは、ドローンに侵入された場合の時間的要因
であり、実際には極めて余裕が無い状況が存在する事である。

如何いう事かと言うと・・・例えば時速40kmでドローンが
侵入して来た場合を想定すると、計算上では、150mの距離を
僅か14秒弱で飛行する事になる。

恐らく、この短い時間で全てを解析する事など困難だと考えるし、
仮にその解析が出来たと仮定した場合でも、関係者や関係機関に
通報したり、関係者が現場に駆けつけたりする事は、かなり
無理がある様に思える。


要は・・・ドローンの侵入を検知して、コントロールセンターから
指令が出される頃には・・・全てが終わっている・・・と言う、
事にはならないのだろうか・?

また、IT機器を装備した警備員がリスクに応じた対応を実施する
ともあるが・・・そもそも現場に辿りつけない警備員に、一体何が
出来よう。


因って、ドローンを早期発見したければ、より遠方で飛行している
ドローンの羽音を判定を出来なければならない訳だが、実際には
都市部などでは騒音が酷く、遠方を飛行するドローンの羽音を
拾う事など、現実不可能なのではないのだろうか?



それから・・・妨害電波を発射する事で、侵入したドローンを
強制的に墜落させるとか、捕獲ドローンなどの考え方も有る様だが、
侵入したドローンが呑気にホバーリングしている訳ではないと思うので、
これらの技術も不可能に近いと思われる。

仮に100歩譲ってそれが可能だとしても、墜落させた先に
人が居る可能性を否定できず、墜落させた事で通行人等に怪我をさせたり、
死亡事故が発生したら、大問題に発展する事は必至で、その場合に責任は
誰がとるのか・・・と言った、新たな問題も浮上する。

ほんの少し考察しただけで、上記の様な問題があると考える訳だが、
皆さんは、如何お考えだろうか?



警備会社が・・・ドローン侵入を検知???

2015-05-23 00:00:00 | ドローン
昨今巷では・・・ドローンは無限の可能性を秘めているなどと・・・
嘘か誠か?はたまた妄想か・・・とも思える様な情報が
飛び交っている。

はたしてその実態は・・・如何なのだろう。

そんな中、一昨日の報道で・・・ある警備会社が、ドローンが
工場等への侵入を企てた場合を想定して、予め設置したセンサーで
最大半径150m程度で飛行しているドローン(マルチコプタ)の
プロペラ音を感知して、データベースから機種や使用者(操縦者)の
特定を行える技術を開発したとの事。

ニュースの映像では、至近距離でホバーリングしている
ファントムから発せられるプロペラ音から検証を行っていた様だった。

マルチコプターが登場してからと言うもの、色々な企業・個人が、
色々な切り口で、新しい事業を構築しようとして切磋琢磨している・・・
と言うか、蠢いている実態がある。

何故・・・大手企業までが、その様な事にまで十分な見識を持たずに
手を出すのか?

多分その理由は・・・たとえその事が用をなさなかったとしても、
企業イメージとして、最先端技術を持っているかの様なアピールを
する狙いがあると考えるが、少なくても私には、荒唐無稽な
取り組みにしか思えないのである。


勿論弊社でも・・・20数年前から、ラジヘリの利用拡大について
様々な角度から模索・検討する中で、ラジコンヘリコプターの
有効かつ安全な運用方法について、安全性や作業効率等について
検証を重ねてきた。

この中には・・・一見出来そうだけれども、実際には技術的に
難しかったり、たとえ技術的には可能と思われても、社会通念上の
常識やモラルから一脱するので敢えて断念した技術が多々あった。


しかし、昨今マルチコプターが出現してからと言うもの、
そんな事は一切お構いなしに、思いついた事を手当たり次第実行する
様な風潮にあり、運用上のリスクが急上昇していると言わざるを得ない。

 その状況は、さしづめ無法状態の様相を呈しているが・・・
その人達曰く、法整備が進まぬ中、法的にはグレーゾーンとのたまうが、
その程度の認識で、全てをを推し進めようとしている様に、私には
思えてならない。
 しかしそこには、多くの危険が潜んでいる事を理解して欲しいと
願うばかりである。

どんなに進化した機械でも、壊れる時は壊れるし・・・壊れれば、
墜落もするのである。


更に・・・マルチコプターが市場に氾濫する昨今では、一部の
モラルを持ち合わせない運用者の、非常識極まりない様々な問題が
噴出していて、ラジヘリを取り巻く状況が一変してしまった。

その証拠に・・・あわやと思われる、重大事故に発展しそうな
動画が、YouTube等にも溢れているが・・・それとて
氷山の一角であろう。

それどころか・・・そんな危険な状況を楽しんでいるかの様な
振る舞いも目立つ。


この現状は・・・一般市民にとっても脅威であり、
我々としても嘆かわしくもあり、極めて遺憾である。

我々、古くから無線誘導による空撮業を営んできた者達が、
ラジヘリを運用する際には、其々がしっかりとした見識を
持ち合わせる中で、その運用について、其々の場面で、
その都度的確に判断し、安全に運用してきた事実を、
無にしないで欲しいのである。

少々話が脱線したが・・・報道があったその警備会社の取り組みについて、
どの程度有効性があるのか?私なりに、次回で検証したいと思う。