新年最初に手にした本は、旧知の歌人村上和子さんの第三歌集『しろがね』(2017年11月・青磁社刊)でした。
「水色の歩道橋ありこの街の出口のやうに昇りゆく人」
「百円ショップに見えぬ無数の手が動く多くアジアの女らの手か」
少女のような柔らか感性と並んで、母上を見送った後の次の歌にも胸打たれました。
「母とともに寝台自動車にて帰る十日ほど母が留守をせし家に」
「介護サービス契約解除の事由その『(2)死亡されたとき』に◯をす」
中に、こんなリアリストの目も。
「土瓶提げて立つ男映る菅長官と翁長知事との対峙のうしろ」
「日本人の髪の黒きを思ふなり国会議事堂のめぐりを埋む」
いつかはこんな絵を描く人になりたいなあ・・・
「散歩する人に乞われて分けし石榴四号の絵となりて帰り来」
「橋の上に絵を描く人は遠景の雲からあはき色を措きゆく」
読み了えて、爽やかに初夢の床に就きました。