くせじゅ文庫

久世樹(Que sais-je?)の画文集です。

《一二割の秋色》

2023-08-23 17:01:00 | 作品
〈処暑の朝鄙の軒端の織る錦〉【久世樹】

 《処暑(しょしょ)》 歳時記には、「暑さが峠を越えるころ」とあります。

 鎌倉在住の友人が、今日のFBでイチジクの秋果の収穫が始まったと伝えてくれました。その中に、「農園は暑い中にも、ようやく空気が少し動き始めたように感ずる。秋の空気が1、2割ぐらい入って来たか。」と、まことに詩的な表現があり、絵心を擽られました。

 まだ碧一色の中に、ほんの数葉、秋の色を見つけました。

 今日の神奈川は、”KEIO”一色です。





《海と空の習作》

2023-08-21 16:13:00 | 作品
水彩画好きなら誰もが憧れる、J.M.W.ターナー(1775-1851)の携帯用水彩絵具ケースが、10年前に開催された《巨匠たちの英国水彩画展》の図録に載っていました。翌年の《テートコレクション・ターナー展》で観た〈色彩の習作〉や〈カラー・ビギニング〉と合わせて参考にして、これまで何度となく描いてきた海と空を、もう一度水彩画の初心に帰って描いてみようと、試行を重ねています。

 折しも、国立新美術館で開催中の《テート美術館展・光》で、10年振りにターナーの水彩画に再会できると期待したのですが、油彩画4点と「講義のための図解」だけで、残念ながら水彩画はありませんでした。







《遊泳注意》

2023-08-19 22:13:00 | 作品
夕風が吹き始める頃、沖の筏まで泳いで休んでいたら、黄色いボードに乗ったライフセーバーがやって来て、「今日は『遊泳注意』なので、背の立つところまで戻ってください。一人で大丈夫ですか?」と聞くので、「こう見えても、昔は水泳部で毎日一万メートル泳いでいたよ。」と自慢して、波に煽られながらようよう岸まで辿り着いて、しばらく息を整えてから、1枚描いて帰りました。







《甲斐の珠》

2023-08-18 18:02:00 | 作品
〈野分去り暮色深まる甲斐の珠〉【久世樹】

 嵐去って3日、ようやく戻った夏空の下、今年もわずかに実をつけたデラウェアが、日に日に色づいています。温暖化から沸騰化へ進む地球も、北緯35度東経139度の午後6時はもうすっかり日暮れ時。菓実の実りも、月日の巡りも、こぞと変わりなく季節は巡っているように見えるのですが・・・

「経済成長と環境保全は両立しない!」
「『今だけ、カネだけ、自分だけ』のくらしを変えなければ!」

 絵日記を描いていて、数日前に大学の同期らと交わした会話が、ふと脳裏をよぎりました。