くせじゅ文庫

久世樹(Que sais-je?)の画文集です。

油彩画再チャレンジ

2022-02-26 13:25:00 | 作品
コロナ禍で、集中力と根気が要る油彩画はずっと手付かずでしたが、3度目のワクチンから2週間、心機一転今週から再開しました。

 P20号(727X530mm)のキャンバスに、木炭で下絵を描き、溶き油で定着して、基調色を下塗りし、濃淡を施すまで、丸5日。今日は、初夏を思わせる強い陽射しに晒して、一日乾かします。(水彩ではないので水分の蒸発ではなく、絵の具の溶き油が酸素を吸って固まるのを、太陽光と熱が促進するのをひたすら待ちます。)

 仕上がりのイメージは出来ているのですが、何せ2年振りなので、X.ラングレの技法書を手元に、初心に帰って一筆ずつ慎重に進めています。ラングレいわく、「油彩画は『時』のまとまり」(unité du temps)。この先も、乾いたら塗り、乾いたら塗りを繰り返して、コロナが収束する頃の完成を目指します。

1日目、木炭によるエスキース(下描き)

それを、溶き油で定着

1日置いて3日目、基調色を下塗り

更に1日置いて5日目、濃淡着け

6日目、陽射しに晒して乾かす、まだまだ道半ば


波のエスキース

2022-02-24 20:13:00 | 作品
春を待つ波のエスキース(下絵)を描いていたら、ロシア軍ウクライナ侵攻のニュース速報が!

 「臨時ニュースを申し上げます。大本営陸海軍部、12月8日午前6時発表。帝国陸海軍は、本8日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり。」 まだ生まれる前の昭和16年(1946年)の録音音声の再現?

 この海は、地中海・黒海を経てウクライナに続いている。この空は、大気圏に守られて地球上すべての”いのち”を育んでいる。

 『日本国憲法』 第2章 戦争の放棄
〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。





『夢のあとに』

2022-02-22 01:23:00 | 作品
2022冬の人物デッサン講座6回目。

 コロナ下でも月一回のフルート・レッスンも続けており、描いている間も、今月からの課題曲、G.フォーレの『夢のあとに』(Apres un Reve)が頭の中で鳴り響いていました。

Brava  “Loco Solare”  “So Da Ne!”❗️




「笋や」or「笋の」?

2022-02-15 20:30:00 | 雑記
春になると思い出す一句があります。

 〈笋や憎れ草も伸支度〉

 十代のころ、島崎藤村の『春を待ちつつ』という随筆集の『一茶の生涯』という一編で出会って以来、半世紀余り親しんできた一茶40代の応援歌です。

 つい最近、ネットの《一茶俳句データベース》というのを見て、元々は〈笋の憎れ草も伸支度〉であったことを初めて知りました。

 そこで、国立国会図書館のデジタルコレクションで『春を待ちつつ』の初版本((株)アルス1925年刊)を検索してみたら、藤村はやはり「や」としていました。

 改めて『一茶全句集』(長野郷土史研究会2005年改訂)を確かめたら、一茶は「や」ではなく「の」としていたことは間違いないのですが、ここはやはり「の」ではなく「や」がふさわしいと私も思うので、仮に藤村が書き変えていたとしても、藤村のことば選びを是としたいと思うところです。

 それにしても、天下の藤村が、知っていながら黙って書き替えていたとは考えられず、もしかして私と同じように昔読んで心に残っていたまま、原典に当たらずに引いてしまった、とは考えられないでしょうか? 今なら必ず編集者がチェックして確かめるのでしょうが、大正末年の大作家には当時の零細出版社の誰も口を挟めなかったというのが真相ではないかと・・・??

 ちなみに、一茶のこの句が収められた『文化句帳』には、笋を詠んだ句が他に3句あることがわかりました。

 〈笋に娑婆の嵐のかゝる也〉
 〈笋や鶯親子連立て〉
 〈笋や門の葎(むぐら)もおとらじと〉

 この下の2句の「や」に強く惹かれた藤村が、〈伸び支度〉の句もまた「や」と思い込んで記憶していたというのが、目下の私の推論です。

 どなたか、『新聞記者』よろしく事の真相を解き明かしてくれたなら、是非知りたいな👀




『春を待つヴィーナス』

2022-02-14 13:41:00 | 作品
大雪なら諦めようと、未明にカーテンを開けたら屋根にも垣根にも白いものは見当たらず、ネットで交通情報を確かめたら各線とも「平常運転」とあり、いつもと同じ時間にお絵描き教室へ。

描いたのは『春を待つヴィーナス』。先日描いた貝殻の上に座っている姿を思い浮かべながらの90分でした。

帰り道、日差しに春の訪れが感じられるようになったと思ったら、今日はバレンタイン司祭の殉教記念日でした。