くせじゅ文庫

久世樹(Que sais-je?)の画文集です。

《赤玉西瓜》

2022-07-31 22:57:00 | 作品
〈赤と黄と甲乙付かず西瓜食う〉【久世樹】

 先日、黄色い西瓜を愛でて描きましたが、今日、赤い西瓜を食べていたら、何だか恨めし気な目付きで種が睨むので、こちらも描いて、分け隔てなく美味しく頂きました。

 《久世樹画帖》を始めて間もなく2か月。これまで色音痴でほとんど青と茶しか使えなかったのですが、身近な果物や野菜を写生するうちに、鮮やかな色の中に微妙な変化があることに気付き、徐々に赤や黄にも親しみが湧いてきました。これからも、何気ない身の回りの品々や自然から生きたインスピレーションを受け取れるよう、〈写生〉(drawing from nature)に励もうと思います。





《此岸から彼岸へ》

2022-07-30 23:38:00 | 作品
 今日は、2020年2月以来の、HM先生門下の『フルート勉強会』でした。

 ”六十の手習い”でフルートを始めて十余年、最高齢・万年初級者の私の選んだ一曲は、今は亡き人を偲ぶフォーレの歌曲、『夢のあとに』。この曲を復習いながらずっと抱いていた想いをつい最近絵にしたら、胸のつかえが下りたか、吐息のような演奏になりました。

“Reviens,reviens  radieuse,�Reviens,ô nuit mystérieuse!”�(戻れ、戻っておくれ 輝きよ�戻っておくれ おぉ 神秘の夜よ!)





《規格外》

2022-07-24 17:05:00 | 作品

たまたま多摩センターに所用で出掛けたら、『多摩市制50周年記念マルシェ』とやらに行き合い、居並ぶテントの中から山梨八代の桃を買い求めました。正面に並ぶ11,000円の見事な白桃・黄桃の脇に、4500円の規格外の桃が収穫籠のまま積まれており、小父さんに「選んでいいの?」と聞くと、「ダメ、一例ずつ。」と一蹴。「じゃあ、一例。」と頼むと、黙っておまけして5玉入れて手渡してくれました。


〈我も桃少し傷ある規格外〉【久世樹】

 





《絶滅危惧種》

2022-07-22 11:14:00 | 作品
〈冷んやりとビタミンカラーの夕涼み〉【久世樹】

 このひと月探し求めた理想の写生帖にようやく巡り会えました。鳥の子和紙を蛇腹に綴じて、軸装の端切れの緞子(どんす)で表装した、小振りの色紙大の《集画帳》。かつては、書画の先生が手づから描いて生徒に与える〈手本帳〉であった和綴の折本ですが、コピーが普及して、今では絶滅危惧種に。作る職人さんもほとんどいなくなってしまったそうです。

 早速描いたのは、黄色の小玉西瓜。絶滅危惧種といえば、昔は大玉の西瓜を丸ごと網袋に入れて買って帰り、裏庭の井戸に一晩吊るしてギンギンに冷やして、家族総出で包丁で割って食べたものですが、今は冷蔵庫に入れやすいカット西瓜か児玉西瓜を独りで食べるようになりました。

 第7波爆発で、明日のスケッチ例会は中止のメール連絡。この夏は独り静かに絵日記に勤しみます。






《荘厳》

2022-07-18 17:16:00 | 作品
先々週土曜日のスケッチ例会は府中の大国魂神社でしたが、午後から所用で1時間ほどで早退したため、10日振りに続きを描き上げました。

 馬場大門の大欅。大鳥居を従えた堂々たる佇まい。400年の風雪に耐えた「荘厳」。

〈躯(むくろ)あり夏日を凌ぐ大欅〉【久世樹】