胸にブラ 口にはマスク 令和二年 【久世樹】
百年前のスペイン風邪で普及したというマスクは、大正・昭和・平成はずっと冬の季語でした。令和になったとたん、真夏でも着けずに人前に出るのは恥ずかしいものになりました。
そういえば、明治生まれの祖母は、百歳近くで亡くなるまで、夏は湯文字(腰巻)一枚で縁側で涼んでいたのを思い出します。
「恥ずかしい」、「誇らしい」など、他者の目を意識した感情は、群で生きるヒトがホモサピエンスの時代から育ててきた進化の原動力ですが、果たして令和の先には、一体どんな「恥」や「誇」が待っているのやら?
少なくとも、箕部啓治進政党幹事長に「恥」を知らせた白井亜希子大臣を「誇」に思う政治観だけは、失わずにと願います。
『ヴィーナスの誕生』15世紀 ボッティチェリ
『ビーチの姉妹』 21世紀 作者不詳