アロエの花

アロエの花が咲いた。
総じて、緑に縁の薄い私である。
けっしてグリーンは嫌いではないが、植物が私を嫌っている。
今まで、ちょっと気が向いて、観葉植物の類を買ってきては枯らせている。
そんな過酷な環境をもろともせず、生きぬいているのはアロエと、金のなる木とミニバラ、アイビーである。
金のなる木は神戸を去る時に、友人夫婦が仕事の成功を祈って贈ってくれたものである。
小さな鉢に植えられたものが、今では大きな木の樽でも小さく見えるほど大きくなった。
ミニバラは、私が前の職場を去る時に、同僚の子がくれたもの。
こちらも枯れそうになりつつも、ここへきて一気に咲きほこり、数え切れないくらいの花を咲かせている。
アイビーは気まぐれに買ったものが、どういうわけか生き残り、これまたおかめ蔦かと思うほど大きな葉っぱになっている。
そして、アロエ。
夫の薄毛に効く、やけどに効く、と会社の同僚に株分けしてもらった。
そのアロエが、花を咲かせた。
咲いた、といっても所詮アロエの花。華やかさはまるでなくて、ちょっと不気味な感じがしなくもない。
私は、アロエに花が咲くのを初めて見たのでびっくりした。
独特の価値感をもつ友人に言わせれば、アロエは不幸な植物だから置かないほうがいい、というのだがどうなのだろう。
彼女の根拠は、不幸そうな家の玄関先には必ずと言っていいほどアロエの鉢があるからだそうな。
反対に幸せそうな家の庭やベランダには、必ず花が咲き乱れているとか。
しかし、ハーブでさえ枯らせてしまう我家において、ここまで生き延びたものを殺生するのも気が引ける。
ここは、この先をとくと見届けようと思うのだが、どうだろう。