ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

ボロは着てても心は錦

2007-03-20 | 砂時計
ことの発端は、ある会合でのことだった。
この春、郊外に大型ショッピングモールがオープンする。
節子さんが参加した会合で、そのことが話題に上り、会に出席していたひとりのひとが
「あのSCに行くのに、普段着では行けないわ。」
というので、節子さんはびっくりして
「ええっ?あそこはただのスーパーやのに、わざわざ着替えて行くの?」と聞き返したそうだ。
すると、そのひとは
「あたりまえじゃない。あそこはただのスーパーとは違うんだから。」と節子さんをせせら笑うように言い放った。
節子さんもむっとして
「どう違うわけ?」と食いついた。
それに対して
「行ってみればわかるから。」と冷たく言われたそうだ。
そのことから派生して、バッグの話になったらしい。
節子さんはファッションにはまるっきり興味がないので、ブランド物がどこの何か、など全く知らない。
息子さん2号のハワイの結婚式に列席して、お嫁さん1号が節子さんを連れまわしてコーチやヴィトンを買いにはしったので、そのふたつのブランドはかろうじてわかるようになった。

そのSCに「着替えて」出かけるというひとは、ブランドが大好き。
いつもブランドバッグをとっかえひっかえ会合に持ってくる。
若い娘さんがいるので、すぐに飽きてしまうのでもったいないから使っているの、というのがそのひとの言い訳らしいが。
さて、その普段着論争から発展して、ブランド物のバッグを街のあちこちに点在する地元密着型のスーパーには持ってはいけない、とそのひとは言ったそうだ。
節子さんは、そこのところも理解できなかったそうで、その理解できないことをバカにされた、と悔しがっていた。
節子さんの考え方としては、バッグは自分にとって使い勝手のよいものかどうか、ということがバッグを買ったり、持ったりする基準であって、ブランドバッグかそうでないかはどうでもよいことだという。
だから、使い勝手がよければデパートであれ、スーパーであれどこへでも持って行くのだ、と。
そこで、節子さんに問われた。
私はどう考えるか。

私はどちらの言い分もわかる気がする。
が、どっちかといえばブランド派のひとの考えに近いかもしれない。
私は、ぱっと見てどこのブランド、とわかるバッグは好みじゃないし、買える経済力もないので持ってはいない。
普段、会社へ行くのには自転車の前カゴにぽんと放り込んでも気にならない程度のものを使っている。
頂き物や、自分の作ったバッグのこともある。
自分の作品は、お世辞にもうまい、とは言えないシロモノなのでデパートのブランドものの売り場に行くのには、ちょっと勇気がいる。
こどもの学校行事に出向くのにも、ちょっと抵抗があったりする。
だからといって、常にどこへいくのでも、とりあえずそれとわかるブランド物を持っていれば安心、というのも好きじゃない。
田舎でよくみかけるのは、安物のミュールをつっかけて、毛玉だらけのアクリルセーターなんかを着て、バッグはヴィトン、というパターンの若い子。
全然洋服には気を遣っていないけど、バッグだけグッチ、というおばさんもよく見かける。
なんでもバランスが大事、と思うだけ。
お葬式に、金ぴかの金具のついたブランドバッグを持ってくるような無神経さが不快。
形も素材もTPOもお構いなしで、ブランドバッグを持つ、というのが嫌い。
持たないもののひがみ、といわれるかもしれないけれど、そういうルールは大事だと私は思っている。
だからといって、たかが大型SCにわざわざお出かけ着で出かける、というブランド好き奥さんのスタンスも理解しがたいが。

そんなこんなで、バッグ談義を節子さんとしていたのだが、そこでふと気づいたのは、ひょっとすると私やブランド好き奥さんは、自分に自信がなくて節子さんのほうが、自分に自信があるのかもしれないということ。
私は自分に自信がないから、お客さんの値踏みをするようなデパートとかには自分で作った布バッグでは行けない気がしてしまうのかも。
どこにでも、格好を気にせず行くという節子さんのほうが、ずっと本当のプライドがあるのかもしれないな、と思えたりもする。
水前寺清子の唄じゃないけれど、「ボロは着ててもこころは錦」と、胸を張って言える日は私にはこない気がする。

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12 コメント

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TPOとおしゃれ? (アプリコット)
2007-03-21 10:42:01
CITROENさんの書かれていることは私が母から言われ育った言葉です。
自分にプライド(自信)があれば…って。
でも中学生の頃友達との外出に、母が作ってくれるギャザースカートではなく、当時流行っていたオーバーオールがどうしても欲しくてごねた時、母に「それなら制服で行きなさい」と言われた時の脱力感は今でも覚えています・・・と、話がそれましたが。
私も場所に合わせて着替えることがあります。
息子の園のお迎え後、ジーンズから着替えて保護者会に行く。。。というパターン。こうするのは自分のためというより相手に合わせるというつもりなのですが、ブランドバッグに関してはどうなのかなぁと考えてみました。
まだ学生だった昔「ヴィトンを持つ人は地下鉄なんて乗らない」と仏人の友人に言われたことがありました。
当時日本の大学生はバブルの影響で誰もがブランドバッグを持っていたので(私は持っていなかったケド)なるほどなぁ~と思ったものでした。
TPOを考えるのは本当に難しいですね。
人によってただのスーパーと思える場所と、普通のスーパーではないと判断するのとでは、自ずと持ち物も変わってくるということですよね?
暑いからタンクトップやキャミソール一枚で登校させる親とか、喪の席にキラキラアクセサリーをするとか、それは常識的ではないでしょう!というのはありますよね。
自分は自分というプライドは大切だと思いつつ、他人に不快な思いをさせない程度の判断はやはり必要かな~?と思ってしまいます。(だんだん支離滅裂になってきたのでこの辺で終わります
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Unknown (こま)
2007-03-21 11:26:23
ん~~~深い!!!
そうそう、私節子さんの気持ちわかるなあ~
私この間、幼稚園の感謝会で全体的に黒っぽくなったので襟元に麻やらコットンを使ってスカーフというか長細いものをを作ってしていったのです。
出来上がってみれば確かに「ザッツ!手作り」感はあってどうかなーって思ったけど、これが私なのよ!!って思ってしていきました。
最終的に自分に似合っていて人の眼にも不快感のない程度がいいのかな~

でもTPOっていうのは意識していきたいですね。
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服装を選ぶ店 (UTTA)
2007-03-21 11:56:44
ありますよ、たしかに。
こちらには、繁華街…とは名ばかりの、いまやシャッター商店街寸前の通りに、元は地元の商店だったのが大きくなった大型小売店と、老舗百貨店(?)の○くら野があります。
今年、催事で手作りショップの販売会というのがあって、どちらの店にも出展したんです。
店側の人間としてお客様を観察することができましたが、やはり○くら野に来る人はがんばっておしゃれをしてきている人が多かったです。
同じ通りにあるのに、なぜだか違う……。不思議です。
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難しいですよね・・・ (かお。)
2007-03-21 20:52:34
それぞれ価値観があるので難しい問題だな~と思いながら読みました。
私も昔はそのブランド派の方と同じようだったかも。
主人と出かけるのに「先に行き先を決めて!着替えんとアカンかもしれんし、お化粧せんとアカンから」と言うてた気がします。
近所のスーパーだったらスッピン普段着でOKだったので(笑)

私の場合すぐにそれと分かるブランドですが、鞄はかばん屋、靴はくつ屋のブランドがいいという何でか分かりませんがそんな価値観があります。
だからいくらそのかばん屋のモロそれと分かる鞄が好きでも、そのブランドが作った靴や服には全く興味がありません。これも偏屈ですよね~あは。

結局は常識非常識の話なんでしょうね・・・
それをキチンと教えてくださる方が少なくなってしまったと言うのが悲しいことですよね。

でもCITROENさんは、端から見たら充分にそのプライドお持ちだと思いますが、きっと目標が高いんでしょうね。
見習わなければなりません!!
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ブランドバッグ (マーブリ)
2007-03-21 22:20:17
10代の時、某国の空港でプライベートのスーパーモデルを見かけました。
同じ人間とは思えないアンドロイドのような長い足で仁王立ち、その横にはヴィトンのモノグラムのトランクが山積みに。雑誌の1ページのようでかっこいー!としかいいようのない姿でした。

それ以来、日本女性が服装とちぐはぐのモノグラムバッグを持って歩いているのを見るのとなんか違う…と思っていました。
でも、そのちぐはぐさがかえってキッチュで可愛い場合もあるし、服装の雰囲気と上手にまとめている方もいるし、同じブランドバッグでも装いは人それぞれの楽しみ方があるから、ピーコのように批評するのはなかなか難しいですよね。

ただ、結婚式などお祝いの席にいくらドレッシーなデザインのブランドものでもサンダルっぽい靴は良くないと思う。やはりある程度のTPOは大事ですよね。あんまりルールに縛られるとがちになってしまうけれど、大事なのはバランス感覚なのでしょうね。


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私も (CITROEN)
2007-03-21 23:16:00
書いているうちに、支離滅裂になっていったのですが。
アプリコットさんがおっしゃっているのと似たような感覚で私もいるのですが、それも別の人からみれば、
「ばかみたい。」ってことになったりもするのかなぁ、と思ったり。

節子さんは節子さんなりに、オフとオンの区別はしているのですが、あまりにお金をかけていないので、時々それが不快に感じることがあるのです。
たとえば、高級料亭へランチに出かけたときも、普段(一応オン用)と同じ格好で、同じバッグ。
きちんとアイロンがかけられたものではあったのですが、素材自体が安物なので、どうしてもみすぼらしく見えてしまいます。
いくら「ボロは着てても・・」といっても、もう少しどうにかできないの?と横でいる私が哀しくなりました。
そんなことを感じる私の方が、安っぽい人間なのかな、と思えたり。
TPOの捉え方も、ひとによって違うということなのかもしれませんね。
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似合うもの (CITROEN)
2007-03-21 23:23:24
こまさん、こんばんは。
巻物、見ました!
こまさんらしいストールですね。
卒園式じゃないし、謝恩会だからいいんじゃないでしょうか。

そう、結局はそのひとに似合っていて、まわりに不快感を与えなければいいとは思います。
私が自分に自信がないのは、自分に似合うものをわかっていないのと、自分に洋服選びのセンスがない、ってことがよくわかっているからなんです。
自分のセンスに自信があれば、どんな格好でもどこへでもいっちゃうかも。
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店に流れる空気 (CITROEN)
2007-03-21 23:31:09
UTTAさん、イベントお疲れ様でした。
なかなか楽しかったようですね。

UTTAさんの街のお店でもやっぱり、そういうのありますか。
何故か、お店にながれているのですよね、そういう空気。
この街のデパートでも片や老舗中の老舗、片や地方の呉服屋あがり(笑)のデパートなんですが、呉服屋あがりの方は客層も若くて、普段着でいけるような気安さがありますが、高級ブランドをそろえている老舗は、店員さんの目も肥えていそうで、縫製のきったない手製の服なんかではバカにされそう(爆)。
多分、お店に並べてあるものが上質だと、ボロさが歴然とわかってしまうので立っていること自体が恥ずかしくなっちゃうのでしょうかね。よくわかりませんが。
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柔軟な発想 (CITROEN)
2007-03-21 23:52:23
マーブリさん、そのモデルさんのシーンはさぞかしカッコ良かったでしょうね。
バッグ、というのも小道具なので柔軟に考えればいいのかもしれませんが、頭が固くなりつつ私は、どうしても猫も杓子も、というブランドバッグ横並び状態が好きにはなれません。
以前、ピーコのファッションチェックで、芦屋の成金マダムがエルメスのバーキンに買ったオムツを入れてます!と大きさを自慢していたのを見て、
「なんて下品で、おばかなの。」と不愉快になったことがあります。
そういう私はえらそうに言えるセンスと、品性を持ち合わせているわけじゃないんですけどね

バランスよく、常識をもって暮らすっていうのは、案外難しいことなのかもしれないですね。
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あれー? (CITROEN)
2007-03-21 23:59:06
かお。さん、ごめん。
書き込んだはずなのに、飛んでしまったみたいです。

おっしゃるとおり、、「ザ・価値観の相違」って話ですね。

私はプライドがあるわけじゃないのですが、ヘンコで天邪鬼なだけなのですよ。
だから、クルマでも同じメーカー、同じ車種が前後で並んだり、すれ違うのが嫌なので、ひととはかぶらないような車を選んでしまいます。
ブランドバッグに魅力を感じないのも、皆が持っている、というのが嫌なのかも。
だから、皆こぞって海外で「日本未発売」という形のものを買ってくるのでしょうけど。
せっちーは、一歩もこの地から外へでたことがないので、そういう感覚で生きているのかな。
知らないっていうのは強みでもありますね。
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