角度をかえて

自慢できるものがなにもない私なのだが、しいてあげるなら髪の毛は自慢できる唯一のものだった。
昨日までは。
昨日の夕方、夕飯の支度を手伝いに夫がキッチンに入ってきた。
ちょうどそのとき、私が髪をかきあげた。
「あれ？ちょっと待った！いま、白髪がみえたで。」
というではないか！
ええーーーーっ！！
そんなーーーっ！！！
「はよ、はよ、とってよ！それってほんまに白髪なん？見間違いちゃう？金髪やったんちゃう？」と、往生際悪くわめきたてた。
実際、私の髪は漆黒の髪というのではなく、すこーし色が薄くて光の当たり方では軽いブラウンに染めているように見えたりもする色だった。
だから、若いころには美容師さんに
「あ、ここにも金髪がありますよ。」とよく言われることがあったのだが。
夫も、最近は老眼が進んできたので、確信はなかったようで、眼鏡をかけての白髪探索に相成った。
すったもんだの挙句に、ようやく見つけて、引っこ抜かれた。
みると半分くらいのところから、色が抜けて銀色になっている。（←まだ言うか！素直に白髪といいなさいっ！私）
夫が面白がって
「うわぁ、この辺にいっぱい白髪あるで。ばーさんやな。バ・ア・サ・ン」とひとの癇に障ることを言う。
え、どこどこ？と私も必死。
どうやら、左耳の後ろあたりにちらほら生え始めているらしい。
う～～～～む。
鏡では正面からしか見ていなかった。
顔に増え続けるシミのチェックはしていたが、頭に生える白髪まではチェックしていなかった。
今の今まで、白髪が生えてくるなんてことは夢にも思っても見なかったのだ。
そりゃそうだわね～。３０で産んだ息子が１７にもなったんだから、当然といえば当然。
いつまでも由美かおるみたいに変わらないことのほうが不自然っちゃ、不自然。
それにしても、物を見るときにはあらゆる角度から見て考えなさい、とはよく言われるが
頭も全方位振って確認しないといけないんだなぁ。
でも、とりあえず髪の毛をかきあげないかぎりはわからないから、そのままにしておこう。
今度カットに行ったら毛染めのことも聞いておかなくちゃな。