追い込み

週末に迫った結婚式。
事故に遭わなければ、ゴールデンウィーク中に仕上げられるはずだった。
予想外に回復に時間がかかり、まだ着ていく服が出来上がっていない。
デパートに足を向ければ、アルマーニでカッコイイスーツを見かける。
どうせ、似合わないんだけども。
どうせ、買えないんだけども。。
やっぱり良い物は、オーラが全然違う。
自分で縫っているワンピースを見てため息・・
脳裏に蘇るあのグレーのスーツの質感。
全然違う。
披露宴で同席するのは、リッチな神戸マダム。
差、ありすぎだよね。
まぁ、身の丈のものでありのまま、自然体でいくしかないな、とひとりごちながら
子どもの抜けた乳歯のような貝ボタンを並べていく。
あんな高級品を見るんじゃなかったなぁ・・
テンション下がりまくり。

でも、それどころじゃなくなってきた。
新型インフルエンザの大流行で、関西は大変なことになっている。
無事にお式は開催されるんだろうか。
まさか、列席者全員がマスク姿に防護服ってことはないよね？
いやいや、ここは国立感染症研究所のセンター長の方が引用されていた寺田寅彦の格言を肝に銘じよう。

「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、 正当にこわがることはなかなかむつかしい。 」

滞りなくお喜びのお式が行われることを信じて、私なりのドレスを仕上げるべく追い込みをかけよう。