新家庭一年生

厳戒態勢か、と思われた関西で結婚式に参列した。
思いのほか、マスクをかけたひとは見かけることはなく、ほとんど普段の生活がそこにはあり、ほっとしてマスクをバッグに仕舞う。

結婚式に参加するのは何年ぶりのことだろう。
息子の幼馴染のお姉ちゃん。
その子が幼稚園に入る前からのおつきあいである。
あの小さかった女の子が、あっという間に成人し、美しいひとりの女性としてバージンロードに立っていた。
目頭が熱くなる。
花嫁さんの名前は「朝子」さん。
十月十日、昔で言えば「体育の日」に生まれたお嬢さんである。
お母さんである私のともだちが、「十月十日」というお誕生日にちなみ、十月十日の漢字を並べてつけた名前。
その由来を聞いたとき、
「まぁ！なんておしゃれなネーミング！！絶対一度聞けばお誕生日を覚えてもらえる！！」
と思った記憶がある。

今まで結婚式といえば、形だけの色合いが濃く、心のこもらない下手なスピーチを長々と聞かされ、商業ベースにのせられたお仕着せがましいお式が多かった。
なので高いお金を払って、なんて無駄なことをするんだろう、と「式」と名のつくものには否定的だった私。
だが、時代は変わりお式もぐっとカジュアルになり、仲の良かった友人らの、飾らない言葉のナチュラルなスピーチに彩られたお式はとても心地よい。
新郎新婦がいかに多くの人たちから、愛され、はぐくまれてきたのかを知る良い機会を与えてもらったかのようである。

大勢のひとたちからの暖かなお祝いの言葉や思いに包まれ、幸せそうな二人を見ているのは、本当に嬉しい。
すっかり朝子さんのお母さんと同じ目線で見つめ、涙ぐんでしまうのである。

名前に込められたお母さんの愛情を忘れずに、穏やかであたたかな家庭を焦らず、ゆっくり築いてね。
本当に、本当に、おめでとう。