ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

親の幸せ 子の幸せ

2012-10-31 | 砂時計
息子が大学のオープンセミナーのバイトがあるとかで帰ってきた。
夏休みも帰省してこなかったので、久しぶりの帰省であった。
バイトの内容は、在校生として自分の学生生活や、学校のこと、受験のことなどを志望する現役高校生や、その父兄を対象に懇談する、というものである。
口下手で、目から鼻に抜けるような人種とは程遠いわが息子。
よりにもよって、そんなバイトを引き受けるって、どうなん?
と、思いつつもどうにかこうにかやり終えた。

志望する学生の親御さんから、色々と尋ねられた息子。
一人暮らしの楽しさを語る一方で、親のありがたみをわからせるには一人暮らしをさせるのが一番ですよ、といっておいたという。
相談に来た母親が
「そうですよねぇ。
仕事から疲れて帰ってきて、”今日の晩御飯なに?”とかって当然のように聞かれるのが一番腹が立つんです。
貴方も、お母さんが食事や洗濯をしてくださったことをありがたいことだと思うようになったでしょう?
うちの息子も、そうなってくれるとありがたいんだけど・・」
と、大きく反応を示したという。
息子も
「いやほんま、自分で自炊するようになって、やってもらえるありがたさが身にしみてわかったわ。
疲れて帰ってきて、だまっててもご飯が出てくるってほんま、ありがたいよなぁ・・。
ずっと仕事してて、弁当やら食事の支度やら、大変やったと思うわ。ありがとう。」
と、さらっと言ってのけた。

ま、確かに会社から帰って、息つくまもなく
「今日のご飯、なに?」と聞かれてむっとしたときも何度かあった。
それでも今となってみれば、それは母親である自分の当然の仕事だと思っていたし、わざわざ感謝されるほどのことでもないんだけどな、というのが本音。
もちろん、当たり前だろう、と言われるより「ありがとう」と言われるほうが気分はいい。

その相談者のお母さんからはこんなことも言われたらしい。
「最低でも年に一度は家に帰って親に元気な顔を見せてあげなさいよ。
それが一番の親孝行なんだから」と。
大学生活をそれなりに楽しむ息子は滅多に帰省してこない。
親の私たちも様子を見に出かけることもない。

そのお母さんが言うように、そう、思う?何が一番の親孝行?
と息子が問うので
「私たちにとっての一番の親孝行は、さっさと自立して元気で楽しく暮らしていることが一番の親孝行や。」
と答えておいた。

今は私たち夫婦も、二人とも健在で子どもがいなくなっても寂しさを感じることなく暮らせている。
だが、この先どちらかが欠け、一人になったときに果たして同じ答えが出せるだろうか。
ご主人を亡くして7年になる節子さんが、先日こんなことを言った。
「息子たちが、一人暮らしの私のことを気にかけてくれないことを寂しく思うけど、振り返って考えたら、自分も子育てに忙しく家族で過ごす時間が楽しかったあの頃には、姑のことなんか頭の隅にのぼることもなかったわ。
それを思えば、あの子たち家族が自分たちだけで楽しく暮らしているのは仕方がないことなんやなぁ、と思う」

幸せなんてものは、そのとき、そのときの自分の立ち位置でかわるものなんだと思う。
でも、おそらく今私たち夫婦が息子に思う気持ちは、どんな状況になったとしても持ち続けることが、息子にとっても幸せなことのような気がする。

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2 コメント

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簡単なようで有り難きこと (nanahaha)
2012-11-04 11:16:54
うちの息子ズもそれぞれ一人暮らし歴 5年 4年となりましたが 帰省するたび「自動的にご飯が出てくるってシアワセと言い 「ごちそうさま」と深々頭を下げます。

いつぞや 帰省が重なったときに
「イエ飯 最高~!!」と唱和してましたよ(*^_^*)

たかが ご飯 されどご飯 
家を出てから親の知らない苦労をしているんでしょうね。
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 (CITROEN)
2012-11-04 19:43:30
生きていくための最低限、最大の条件である「食べること」は、切実な問題なのかもしれませんね。
私なんぞは、母が良妻賢母とはけっして言い難い母でしたから、おかげで自分がいろいろとできるようになりました。故に、イエ飯、最高~!と思うことはなかったですが(笑)、上げ膳据え膳の楽さは、人間誰しも感じることなのでしょうね。
親として、子どものためにご飯の支度ができるということは幸せなことかもしれません・・
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