魅力のつくりかた

正直に言って、女優さんとして好きな女優さんじゃないのだけど、このひとの雰囲気というのか、スタイルが昔から好きだ。
うまいとは言えない歌を歌っていたころには、まったく興味がなかった。

いいなぁ、と思い始めたのは昭和の終わりごろに一世風靡したドラマ「金曜日の妻たちへ」シリーズから。
一作目は、サラリーマンの奥さん役。
何気なく髪をひとつにまとめているだけなのに、なんだかお洒落に見える。
すんごくお洒落な、流行の最先端をいってるような服を着ているわけじゃないに、合わせ方が素敵。
オーソドックスなデザイン、色のものなのだけど、きっとこのひとが細くて、色が白いから素敵に見えるのだと思っていた。
二作目の、字幕翻訳家の役のときも、どの格好も素敵だった。
鎖骨のくぼみや、手の甲にあらわれる骨の筋とかが妬ましいほど好きだった。
彼女の顔や、声、お芝居はけっして好きじゃないのに、番組欄に名前を見つけると、どんな格好で出ているのかな、というのが気になって思わずチャンネルを合わせることが多かった。

前に、雑誌の特集で、カトリーヌ・ドヌーブとかフランスの女優さんがお手本です、みたいなことをコメントされていて、なるほど、と納得。
さりげない髪のまとめかた、シックな色の洋服の着こなし、パールの一粒ピアス。
派手さはなくても存在感のあるお洒落、それこそ大人の女の人が持つ魅力だろう。
ブラウス、スカート、カーディガンといったごくごくシンプルな組み合わせだけにごまかしがきかない。
着こなしている人の放つ魅力と、質感が問われる。
２０代のころ、こんな大人の女性になりたかったのに、実際は程遠い。

ただ、若いころには憧れだったこの人の細さも、今は痛々しく見える。
もう少しふっくらしていたほうがきれいなんじゃないか、と思うのは私の好みが変わってきたということなのか。

それにしても、大人の女性の魅力を身につけるというのは、本当に難しい。
このひとが素敵に見えるのは、自分をよく知っていて、自分がどうすれば一番綺麗にみえるのかを知っているからなのだろう。

私がそこにたどりつくのはいつのことになるのだろうか。