画数と運命

周りの人間に振り回されて、走り回る節子さんは、今回の初孫誕生に際しても飲まず食わずで走り回っていた。
大なり小なりの事件を乗り越え、とりあえず、今、孫ちゃんはお嫁さん1号とともにお嫁さんの実家に帰っている。

さて、節子さんの初孫の名前をめぐって、今日、会社で姓名判断が話題になった。
孫ちゃんの名前は、息子さん1号夫婦が考えて決めた名前である。
もちろん、姓名判断の本も参考にしつつ、好きな字、音で最終的に決めた。
だが、赤ちゃんを見に帰ってきた息子さん2号が、ネットの姓名判断で占うと、どうも良くないことばかりが書かれていて、息子さん1号と節子さんは落ち込んでしまったそうだ。
そりゃそうだろう。
何も好き好んで、悪いとされている名前をつけたりする親はいない。
「凶」という文字が書かれているだけで、なんだか不安になる。
どう悪いのか、といえば名前の画数が凶数なのだ。
総画では、技芸運がある画数で、そんなにも悪くない。
例には、ノリカと結婚したお笑いタレントの名前が出ていた。
だが、早世した節子さんのご主人と同じ画数である、ということも息子さん1号には影を落とした。
そういわれて私が会社でみたネットの画数占いによれば、節子さんは画数的には大強運の画数ばかり。
ノンフィクションでありながらフィクションを思わせる、数々の辛酸をなめてきた節子さんが、である。
まさか、
「大丈夫ですよ、節子さんみたいに画数が強運ばかりでも苦労の多い人生だったりするんですから、画数なんて心配いりませんから！」とも言えず、みんな周りにいたものはへへへ、と力なく笑うしかなかった。

我が家はどうか、といえば、画数だけで言うなら息子の画数は吉数ばかりが並んでいる。
色々と画数の本やら、名付けの本やら見たものの、最終的には夫が好きな字と、音で決めた名前である。
画数にこだわる私の母などは、後日
「あんたとｘｘちゃん（息子）は、災難に遭いやすい17画を持ってるんやから、二人でクルマには乗らんようにせなあかんわ。」
などと、人が気にするようなことを言ったりもしたが。
とりあえず、いままでつつがなく来ている。
今後、息子の人生、私の人生がどうなっていくかはわからないが、非科学的なものは一切信じない夫は、
「そんなもん（画数）なんか関係あるか！ほんなら漢字を使えへん外国人はどうやゆーねん。あほらしい。」
と、ばっさり。

節子さんも、そんなことにまで気を使っていたら、せっかくの大強運も逃げちゃうかも。
ケセラセラ、なるようにしかならないから。
気にしない、気にしない。