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ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

油断も隙も

2009-08-25 | 砂時計
ブティックがいきなり閉店した。
トラッドの流れを汲むコンサバファッションの店なので、ゆるりぞろりの今風ファッションの時流には乗れなかったようだ。

昼休みに前を通りかかると、段ボールの箱がぽんと置かれた。
何かと思えば、ハンガーである。
それも、よくデパートのバーゲン会場につるされているような黒いプラスチックのものではなく、かなり高級感たっぷりの木製ハンガー。
肩の部分には、相当な厚みがあり型崩れしにくい作りのものである。
「ご自由にお持ち帰りください」
との張り紙。
ちょうど箱を出してすぐに私が通りかかったようで、誰一人としてみている人はいない。
よく見れば、スラックス用ハンガーがついたスーツ対応のものや、ボトム専用のもの、肩のすべり落ちを防ぐストッパーつきのものなど選りどりみどり。
これは、いただかない手はないでしょ、とさっさと4本ほどいただいた。
会社に帰り、さっそく節子さんにも情報を流す。
すわ!とばかりにもらいに出向いた節子さん。
20分ほどして、大騒ぎして帰ってきた。
聞けば、スリに遭いそうになったとのこと。

私が物色したときには、私一人だったその場所には、節子さんが着くと3人ほどが群がっていたらしい。
そこに割り込んで、一緒に物色する節子さんの腕にかけたバッグに力を感じた。
となりのひとの腕がバッグにひっかかっている。
人のいい節子さんは、それが隣の人が段ボール箱に手を伸ばし損ねて、自分のバッグに手を突っ込んだのだとばかり思い込んだ。
そこで反対の腕にバッグをかけなおし、再びハンガーを物色する節子さん。
すると、その横にいた女性は、ひとり置いてとなりの同じくハンガー物色中のOLの横に割り込んだ。
がちゃがちゃハンガーをかき混ぜていたそのとき
バサッと何かがOLの隣に割り込んだ女性の足元に落ちた。
「あれ?私の財布・・」とつぶやくOL。
割り込んだ女性は、そ知らぬ顔でハンガーを一本だけ引き抜き、自転車に乗って走り去った。
あまりの自然な動きに、そこにいた誰もが最初は、その走り去った女性がスリを働こうとしていたとは思わなかった。
だが、しばらくして、そこにいた3人が、
「あれって、ひょっとしてすろうとしていたのかな?」という話になったそうである。
最初の節子さんは、財布が長財布で、すっと抜き取りにくくひっかかったために、気付かれて失敗。
次のOLは、抜き取るところまでは成功したけれど、自分の袋に入れるのに失敗して、足元に落としてしまった。
OLが持っていたのは、ミニトート。
口はぱかぱか開いている。
本人も自分が段ボールの中を覗き込みすぎて、財布がミニトートからこぼれ落ちた、とそのときは思ったそうだが、よくよく考えてみれば、それなら落ちる位置がおかしすぎる。
で、結局、それはスリに遭いかけた、ってことよね?
と、そこに居合わせた3人は納得し、ぞっとしたのだそうだ。

その話を聞き、私も同じくぞっとする。
人が大勢歩き回っているような大都市でもない場所で、それも白昼堂々と犯行に及ぶスリがいるなんて。
だが、考えてみれば買い物をしているときなどの自分は隙だらけである。
おまけに、バッグもきちんと口が閉まるものより、開いたままもしくは、開けたままのことがよくあるし。
ああ、くわばらくわばら。
スッた方が、がっかりするような金額しか入っていない私の財布だが、それでも災難には違いない。
皆様もお気をつけて。

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