静かな生活  微睡の 私記

 
さりげなく 簡素に生きたい。傍らに コーヒーがあって
とっておきの本たちがあれば それだけでいい
 

東京の人の 心のふるさと 隅田川

2014-11-27 12:02:28 | 読書




【墨田の花火 という名の アジサイ。数年前の 五月の頃、

通りすがりのお花屋さんで 鉢植えを買った。以来 ずっと元気です。】



小雨の続いた 火曜日と水曜日に 木下杢太郎氏の随筆"市街を散歩する人の心持" を、

声を出して、自分だけのために 読んだ。氏は、詩人なだけに、文章はひきつけます。

幻想の中を、ただゆっくりと、作者と一緒に 二時間も、 銀座裏の路地、 日本橋、

清州通り、深川、 隅田川に架かる いくつもの橋を渡り、品川辺りを散歩した。

読み進むうちに、界隈の地名に導かれて、長唄、三味の音の聴こえる 哀れな

当時の 生活の姿など、明治末期の頃の、薫りも漂います。

ふと、気づくと、永井荷風様の姿も、影のように歩きます。

滝廉太郎さん… どれほどか 隅田川を愛していたことでしょう。

"春のうららの、隅田川…" 口ずさんでいる わたしです。



平成元年の一年間、義母の入院していた 浅草の さる整形外科病院を、

週に一度 ほど、ここ多摩の地から見舞い、足を延ばして 浅草界隈の

金物店で 包丁など、台所器具を買ったり、半七十手捕り物、藤村の

"夜明け前"を 連想しながら、仏壇店通りを 歩いたものです。



いつの日か わたしは、 隅田川の川下りを、 もう一度、

命を長らえる糧にして、そこに望みを託したい。