智の庭

庭の草木に季節の移ろいを感じる、日常を描きたい。

食事を用意する、ということ

2015年01月27日 | 釣り吉さん
さて、金曜の夜から始まった夫婦喧嘩。

土曜日は冷戦状態へ突入し、日曜日、夫は海で機嫌良くなって帰ってきました。

妻の私は、ショッピングで気を紛らわそうとしましたが、もちろん、買い物ごときで紛れることはありません。

心の傷を、金銭で補償しようとしても、癒せるものではありません。


月曜日は、「夫に食事を用意する」ことが、もはや「苦痛となった義務」に変わり果てました。


哺乳類動物の多くは、メスが子に乳を与え、餌を用意しますが、母性本能が欠落したメスは餌を運ばず、子は飢え死にします。

ヒトの場合、この状態を「育児放棄」といいますが、

子に限らず、夫を愛することとは、即ち、その人の心と体を育むことであり、即ち、健康的な食事を作ることだと思います。

この愛が薄れると、食事を用意する原動力が消えていくのを 感じます。


さて、それでも、夫は懸命に外で働き、私は家で休養できるのですから、そこは理性を働かせて、夕方、台所へ向かいます。

ここで、重荷と感じる、夫の手によって捌かれた、大量の 魚たち。

夫は「捨ててもいいんだ」と言っておりますが、美味しく食さずに捨てるなど、魚たちに申し訳なく、できません。

それで、一人でコツコツと準備を始めました。


タイの頭は、塩焼きに。

中骨は、鯛雑炊に。

身は、フライに。(刺身は飽きましたので)

馬面はぎは、その腹と共に、味噌仕立てで煮つけ。


夫が、いつもの時間に帰宅しましたが、包丁を手に持って、あわてて、

「背びれと、尾びれを落とそうと思って・・・・あっ・・もう・・料理しちゃったの?」

「全部、料理したよ」

「・・・・・」 ここで、ゴメンとか、アリガトウとか、言えない夫。

包丁の置き場を探す夫の、まごまごした様を見て、夫を許す気持ちになれました。


馬面の肝の味噌仕立てに、思わず、「美味しい、最高!」とうなります。

口を尖がらせて、馬面顔を作って、夫にチューしましたら、

夫は破顔一笑。饒舌に釣り談義を始めました・・・・

おわり