3万人増派、結構な数ですね。でも、アフガニスタン駐留米軍トップのマクリスタル、ゲーツ国防長官やマレン統合参謀本部議長、等々と言った、言わば専門家が求め、また、支持した4万人と言う数には届きませんでした。反対派に配慮した形でしょうけどね。
日本は50億ドルの資金提供を約束して、インド洋給油は止める。今後どうして行くんでしょう。
日本が積極的に関わって行けるのはDDR的なものと農業支援や民生支援、この辺でしょうかね。硬軟の軟の部分。
アフガニスタンと言えば切って離せないケシと小麦の問題。この問題に関わるのも軟の分野でしょうね。
あくまでも一般に手に入る情報で言うと、アフガニスタンでは、そもそもケシの栽培が伝統的に盛んだったのに加え、近年、気候変動による水不足・干ばつ等々が頻繁に起き、更に、農家に対する金銭的補助、治水・肥料・農薬と言ったものに関した政府の対策が不充分であるため、小麦を栽培しても近隣諸国から輸入される安価な小麦に対抗できない。
従って、より採算性の高いケシへの転作が、更に進む結果を生み出していると言うのが、現状で指摘されている、所謂【根底・前提】となっているんじゃないですか。
タリバンは、その困窮する農民を利用し、ケシ・アヘン栽培農家はタリバンを利用していると言った形なんでしょう。
UNODCなどの報告では、ケシ農家は小麦農家よりも裕福であり、収入に関して、約10倍の差がついていると言うことでした。
更に、ケシ・アヘン栽培を今後も続けるため、混乱の延長を望み、栽培農家の中には、タリバンに対し、300億円強の金銭的援助を行っている人もいると言う報告も上がっていますね。
農業支援に関しては資金援助を初め技術支援など日本政府も米政府も行っているようです。日本で言えば、今回行われた政府決定を受けてJICAが来春から本格的に農業支援を開始すると表明しています。
また、11月に東京で行われたアフガン和平会議では農業開発に関しても話し合われたと言うことでです。但し、非公開で行われたらしく、詳しい情報は解りません。後日、伊勢崎氏か犬塚議員から何らかのアクションがあるのかもしれませんね。
この件に関しては、アフガニスタンに関する国連会合でも支援が合意事項のようで、農民に麻薬関連以外の作物を栽培するよう説得するためとしてアフガニスタン政府に対し、関係各国から支援が行われているようです。
また、アフガニスタン政府は焼き払いのようなものも含め農家の別作物への転作政策を進めおり、ある程度の成果、二割台の削減をしたと報告されている。
UNODCの報告によると、ケシ・アヘンの生産量が2007年まで急激に増加したようです。最も、その後は、国際社会の動きやアフガニスタン現政府の動きもあってか、減少、ケシ栽培に利用される土地が、去年から比べ今年は2割強減少し、ケシの栽培を行っていない州は18州から20州に増えたとのことですね。
NATOの空爆、焼き払い、小麦価格の高騰や麻薬取引価格の減少などの理由も指摘されていますが、アフガニスタン政府の転作政策が功を奏した面もあるのでしょう。
ケシ栽培。唯、禁止する、唯、焼き払うでは、根本の解決にはならない。日本として具体的にはどう行った方策を採るのでしょうね。
食と職、それと住を支援できれば生活の安定も構築できるでしょう。暴力に訴えるなどアホらしいと思える社会を作ることが必要なんでしょうね。
タリバンは、政権当時、国際社会での正当性得るためと推測される理由から、ケシ栽培禁止の法令を幾度か出し、支配する、ある地域においては麻薬産業を粗壊滅と言える状態にまでにしたそうですが・・・。
しかし、別の報告では、支配地域が増えるにつれ、ケシの栽培が増加したと言う指摘もあるので、禁止の法令は上辺で実際は黙認か容認に近い状態だったされている面もあるようですね。
後にアメリカが北部同盟を支援し始め、政権の座を追われると、カルザイ政権に対する戦闘の資金を獲得するため、また、地域での支援を得るためにケシなどの生産や麻薬取引などを黙認、また、容認し、益を利用し始めたと推測されている。
ケシの栽培は、2005年頃から増加が顕著になったと言うことでしたが、憶測すれば、同時期に、イラクの新憲法制定のためアメリカはイラクに力を入れ、アフガニスタンが手薄になった。
ハリケーン・カトリーナの影響。復興費が10兆円以上。被災地のルイジアナ州とミシシッピ州から其々3000人強の州兵をイラクへ派遣していたため、アメリカ国内での政府批判が激化、イラク・アフガニスタンから被災地へ300人程度の兵を移動し復興に当たらせることにした。
ブッシュ政権がイラク戦争のため公共投資を削り、防災工事など疎かになっていたと非難されたことから、戦争への出費を減らさざるを得ず、結果的にイラク重視、アフガニスタン軽視のような形になった。この辺ですか。
UNODCの推計によると2005年から今年までの4年間で、タリバンは麻薬関連の生産や取引に対する課税で年間約80億円から150億円の収入を得たと報告されたいます。これは10年前のタリバン統治時の歳入の2倍に当たる金額になるそうです。
ケシの栽培。伝統的と言う表現が用いられる面もあるようですが、ソ連のアフガン侵攻時に、アメリカ側の作為が定着を進めたなどと言う見解もあるようですね。そう言えば、国際テロ組織が作られる切っ掛けとなったのも、その時代だと言う主張もある。
アメリカはソ連のアフガン侵攻時にCIAやら何やら暗躍して、ムジャーヒディーンを利用し、20万人とも言われる義勇兵を呼び寄せ、結果的にタリバンの台頭やビン・ラディンのような強力なテロリストを生み出したなんて言われていますね。
まぁ、アメリカが勢力維持を目的としていたとしてもソ連の侵攻をほおっておけば良かったと言えるものかは疑問です。かと言って何をすれば良かったのかが解る訳でもありませんけどね・・・。
さて、今後ですね。日本は何をするんでしょうか。
「そんな遠くの国のこと、ほうっておけば良いじゃないか。」と思う人もいるかもしれない。しかし、それでは先進国とは言えないでしょう。個人的興味からなる、国家の使命感、その達成も、それはそれで国益だと俺は思います。
今の日本の国際貢献の在り方は、少なくとも国民が選択したと解釈できる。オバマが増派を選択したと言って、日本が自衛隊を出せる訳でもない。結局は、できることしかできない。
国家主権主義などに縛られ、個人に対しての支援は国が崩壊した後でしか満足にできないような国際社会ではありますが、そう言った中で何をして行くのか。
国民の多くが選択した、今の日本の国際貢献の在り方では、交渉・仲裁のような、でき得る限り、軍事に頼らない方策、また、軍事は経験国・専門家に任せ、日本は日本の武力を前提としない非武力と言う利点を最大限に生した、経験的な分野をフルに活かせるを方策を講じて行くと言う方向性でしょう。
戦争も経験し、そして中東で対立するような思想が余り入り込んではいない日本だからできることがあるんじゃないですか。まず、すぐに必要なのは、交渉・仲裁、とにかく利害を調整して、停戦まで漕ぎ着けることでしょう。それができなければ日本と言う国の特性を最大限に活かした大規模な支援はできないでしょうからね。
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