永崎士道の建設業徒然なるままに、時々国防とグルメも

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私自身建設会社の社長だったので、
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『実質』という名のヴァーチャル(その3)

2012-09-28 | 超入門経済学

実質為替レートの計算で重要なのは、インフレ率の分数計算である。 分数の値は、分子(外国)が大きくなるか、分母(日本)が小さくなった時に増大する。 だから、アメリカは超金融緩和で物価上昇、デフレで日本は下落している今、実質ベースで円高にならないのは当たり前の話しである。 むしろ、実質で円高になっていないことこそ、日本がデフレに陥っている証拠であり、デフレの早期解消を経済学者はコメントするべきなのだ。 ところが日本では、実質では円高ではないことを強調する先生ばかりだ。

さらに、分数計算には、空洞化のパラドクスが隠されている。 円高が進むと、日本企業は海外に工場を移すので空洞化が進む。 そして、海外から安い製品が輸入されるようになる。 すると、日本の物価がさらに下がり、デフレを助長する。 円高を避けるために海外に工場を移したのに、実質ではさらに円高が進むという、まったくおかしな話になる。 しょせんは机上の計算指標のひとつにすぎないのだが、『実質』という単語が世論を幻惑させている。 

円高⇒海外移転⇒空洞化⇒安い製品の輸入⇒デフレ悪化⇒実施為替レートは円高。 おかしすぎる!

GDPもまったく同様である。 現実経済では、実質はまったく意味がない。 会社の売上も支払も、給料計算も、毎日の買い物も、すべて名目で我々は生活している。 名目とはお金に記載されている金額のこと。 だから、名目GDPの計算は非常に単純である。 取引金額をそのまま四則計算するだけでいい。 

ところが、実質GDPの計算は超面倒くさい。 経済企画庁の役人たちが、個々の製品、サービスの金額を逐一インフレ率で割り引いて計算するのである。 

やっかいなのは、モデルチェンジの早いやつだ。 数年前にはこの世に存在しなかったモノのインフレ率など調べようがない。 どうするか。 役人が決めたルールで計算する。 元長銀幹部で有名エコノミストの日下公人さんが言っていた。 『実質なんて役人の胸先三寸で決まる。いい加減なもんだ。いくら日本人が几帳面でも、あんなめんどくさい作業を真面目にやってるはずがない』。

≪『実質』という名のヴァーチャル≫お分かりいただけただろうか。

今日も読了ありがとうございました。 おやすみなさい。

 

 


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