経済学ではモノ・サービスを、上級財、中級財、下級財の三種類に分類する考え方がある。 上級財は『所得が増えると、消費量も増える財』、中級財は『所得が増えても、消費量は変化しない財』、下級財は『所得が増えると、消費量が逆に減少する財』のことをいう。
食事を例にとるなら、高級日本料理やフランス料理が上級財、下級財はインスタントラーメンや回転寿司あたりかな。 中級財は微妙だが、普通のラーメン屋さんや定食屋さんなどのメニューだろう。 もちろん、高級ブランド品や高級車、宝石なども上級財である。
上級財の特徴は、量より質にある。 中級財や下級財が薄利多売が基本戦略なのに対し、値段は高く、販売量(生産量)は少なくである。 ほとんどのブランド品がそうであるように、値引きはしない。 値段の高さがブランド価値だから、需要が増えても、生産量を増やすことは少ない。 値段が高く、販売量が少ないから、金融業と同じように分業のすそ野が狭く、一部の者にだけ利益が偏在する。
超見せびらかし社会で所得が増えた時、需要が急増するのは上級財である。 分業のすそ野が広い下級財の需要はむしろ減少する可能性がある。 金融緩和で株価が上昇しても、収入増、雇用増が多くの人々につながっていかない原因の一つである。 しかも、高級ブランド品の多くはヨーロッパ産だから、日米では利益の大半が国外に出ていってしまう。
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