先日、おでん屋で店長と女将さんが広島のお蔵盛川酒造さんの「白鴻の会」のメニューについて話し合っておられた。偶々広島出身なので「9月初めって、何がいいかしら?」と聞かれたので母に電話してみた。
「う~ん、九月の初めとか夏の終わりごろって何もないのよね~」
「広島って、あんまり何もないよねぇ?」
という話し合いの中で、
「夏・・・・小鯵も初夏じゃし、アナゴ・・・キス・・・鱧はうちらも食べんし、ギザミ・・は東京の人は食べんのよねぇ」
ギザミっ?
おぉ、ギザミっ!!!
忘れていた。
食べたーーーーーーい!!!!
すでに母の話なんか聞いてない(汗
早速、瀬戸内の魚屋さんでネットショップをされているところに電話をかける。
「良いですよ、何匹くらい?」と聞かれて困る。ギザミ(東京ではベラ、標準和名キュウセン)なぞ、海水浴に飽きたとき磯釣りして阿呆のようにかかる小魚である。そんなものを「5匹、10匹だけください」というのが気が引けて、「20匹下さい」と注文してしまった。
「代引きで7千円になります。」
って、えぇーーーーっ!!??
甘かった。
ガキンンチョが磯釣りするのと、「商品」として流通に乗る魚の、格の差。
10匹に1匹くらいしか釣れない、「青ギザ」がほとんどで、それが20匹。
でかっ。
左2匹が赤ギザ(雌)、右が青ギザ(雄)。大きく成長した雌の優位個体が性転換して雄になるといわれているこの魚、持ってみればその差は歴然。体長はそれほど変わらなくても身のしまりが違います。
さらに、感動したのは、全部、ワタがとってあること。ギザミはウロコを取らないでいい魚ですが、近所の魚屋さんでは基本的に売る前にウロコとワタは除く、という習慣があり、大手スーパーの下処理してない魚をパックで売るなぞとんでもない不誠実!という感覚があります。ワタやウロコが美味しい魚はもちろん常識として別添あるいはそのまま調理すれば美味しい状態で売ってあります。
そもそも、魚をワタつきで丸ごと焼くという習慣がない。上京して数年は、イワシやサンマがワタごと焼いてあるのが気持ち悪くて仕方がなかった。
瀬戸内人の仕事だなぁ、と懐かしく思いました。
さて、それはいいのですが、二人でこれだけ、20匹。
特に大きい数個体を刺身用に残して、唐揚げ、塩焼き、さらにそれぞれを南蛮漬けにするべく選別する。「南蛮漬け」というと普通揚げたものを漬けると思われがちだが、実家では素焼きしたものを二杯酢に漬ける。
店長が帰宅したので、刺身を造ってもらいました。
普段、滅多に自宅で包丁を取らない彼ですが、すごいものですね。ぬるぬるしたギザミをあっという間に2匹おろして、小骨を抜き、皮を引いてきれいなお造りに。
「写真撮っていい?」とたのみましたが
「ダメ。皿もだし盛り付けもだしこんなのブログで曝すわけにいかない」
撮影NG。
結局、刺身に2匹、唐揚げと素焼きに2匹ずつ、あとは素焼きと唐揚げの南蛮漬けにして3日食べ続けました。堪能~~~~。今年の夏は帰郷できませんでしが、懐かしくて涙ものでした。
で
店長に
「どう?どう?美味しいでしょ?」
と自慢げに言うと
「ふーん・・・・思ったほどではなく普通の白身魚だね。」
って。
くっ・・・・・・・・・・・・・・・・・