私がインドカレーを作り始めたのは12年前。
当時、レシピ本といえばレヌ・アロラ女史著「私のインド料理」が最も古く丁寧な本だった。教えてくれた人の本はすでに表紙の裏にカビが生えるほど使い込まれており、ルーを使ったジャパニーズカレーとは本当に違う料理なんだなあと興味を持った。
11年にわたった学生の食生活は貧しい。一日の食費は1000円以内、学食ですら贅沢はできない。
田舎の安い野菜を中心にほぼ自炊するか、ファストフードですませるか。後者はやりたくなかったから、インド料理は野菜をすごい味の幅で食べられる、ヘルシーかつ経済的な食事だった。
でも、広島の片田舎にそんなインド料理を食べさせてくれるお店は少ないし、食べ歩ききするお金もない。それでも、味の研究と称して、ときどき食べに行った。
大学院に進み、実際に留学生と付き合うようになってからはパキスタン、バングラディシュ、インド(ボンベイ)、マレーシア、ブータンなどの家庭料理を直に教えていただけるようになった。
が、スリランカ料理だけは現地の人から学んでいない。本場の料理を食べたことがないのだ。「スリランカの留学生から聞き取りで書き起こした本(写真:絶版)をくれた、スリランカに友人を持ち、何度か旅行もしている友人」から伝えられた味しか知らない。
店長が我が家に持ち込んだ今月の「DANCYU]には「南インド料理特集」とあるではないですか!さすが東京。スリランカではないけれど、メニューを見る限りスパイスや食材など、限りなく近い!GOだ!!
そんなわけで、行ってまいりました「ダバ インディア」。
いつもと逆で、注文を決めるのはほとんど私。
とりあえずジャガイモと玉ねぎをくるんだドーサ(薄焼きクレープ)。
ギーが香ばしく、つけあわせのショウガチャツネとココナツチャツネが美味しい。
次にDANCYUオススメの「ダバ ミールス」。バナナの葉の上に、銀の食器。ブラックペパーの効いたチキンカレー、魚の赤いカレー、エビの白い(ココナツ味)のカレー、ダルを使ったサンバル、ラッサム(スープカレー)、玉ねぎ・キャベツ・シシトウに細切りココナツを加えたサブジ(野菜の炒め物全般をサブジという)が円状に並びライスとパパド(揚げせんべい)を囲む。ライスは「宝石」と謳われる香り米「バスマティ・ライス」!・・・といってもあまりバスマティ特有の香りがしなかったのですが。まぁ、カレーと合わせるならバスマティより普通のインディカ米のほうがいいと思っているのでいいか。ほうれん草のプーリ(揚げパン)も美味しい。
いつもカッテージチーズで代用してしまう「パニール」(牛乳をレモンで凝固させた即席チーズ)と野菜のグリル。そうか、パニールってこんな味なんだ・・・・等々、感動しながら食べていると店長。
「コレ、つくれる?(ココナツのチャツネ)」
「うん、たぶんつくれるよ。」
「じゃぁ、これは?すごい美味しいんだけど。(ショウガのチャツネ)」
「うー、うん、多分、、、、近い味はね」
「コレも作ってよ。」
「う・・・・(めんどくせー・・・)」
「あ、めんどくさいー、って顔したね。」
「だってそうだよぉ(泣)一人で短時間にどれだけのプロセスこなすか・・・」
「んな、ダメだよー、同時に5つ6つをこなせてこそじゃないと厨房は勤まらないんだからねー」
「そ、そうよね、、、はい。」
・・・・・
・・・・・
おい。前からいいたかったんだけどさ。
私はカレー屋じゃぁないってば!!
私の職業なんだっけか!?
食事を終え、DVDを巣鴨で借り、井こしさんの誘惑を振り切りつつ自宅へ到着。ワールドカップオーストラリア戦が始まるまで二時間弱あるなぁ。
「蒼天さんいって、10時前に『じゃ、ワールドカップ見るんで!』って冷かしに行こうよ!」
アナタ、実は性根悪くない(@_@)??
でもその実、蒼天さん行ったら店長は満腹、かつ酔っててお腹に入らない様子。引きかえ私は・・・・
食べる食べる飲む飲むっ!!
だって、ダバ・インディアでは真剣に食べて肩凝ったんだもーん。
店長が他所のお店に飲みに行くときもやっぱりこんな風なのかなあ。飲食業って大変なんだなと思った一日でした。