平井知事に対して、会派要望を提出しました。いずれの要望に対しても趣旨は理解できると回答頂きました。
鳥取県の財政状態は楽ではないので、今後、優先順位を付けて県政の中でどう取り組んでいくのか検討いただくことになりますが、県民の暮らし、雇用を守るためには数年間は積極予算も必要ではないかと考えています。以下は要望書です
2012年10月29日
鳥取県知事 平井 伸治 様
鳥取県議会会派「かけはし」
会 長 長谷川 稔
平成24年度11月補正予算等に対する会派要望
平成24年度11月補正予算及び来年度当初予算に盛り込んでいただきたい提案(第一次分)について提出いたします。
◆平成24年度11月補正予算への要望事項
(1)中国、韓国との友好親善に努められたい
中国とは尖閣列島、韓国とは竹島の領有権を巡って外交関係が悪化し、反日デモが暴動化するなど極めて憂慮する状況になっており、多年にわたる関係者の努力でやっと運行にこぎ着けた中国・春秋航空の上海チャーター便が中止されるなど県内への影響も生じている。こうした時こそ、人と人との人的関係で築いた信頼が友好回復への大きな足がかりとなるので、鳥取県が友好関係にある中国・河北省、吉林省、韓国・江原道との地方外交と活発に展開して頂きたい。そこで、各国との友好協会に加え、県内には河北省で植林活動を続けるなど継続的に友好に努力されている団体等が少なくないので、これらの活動を改めて積極的に支援して頂くとともに、クラブ活動の交流など児童生徒の交流の助成など民間交流を盛んにするための予算措置を講じられたい。
(2)実効性のある有害薬物の蔓延防止策を迅速に実施されたい
全国的に脱法ハーブをはじめとする幻覚や興奮など精神に影響のある薬物の違法・不適正な使用が蔓延しつつある。本来は国が薬事法を改正し、危険薬物のデータベースを整備して取り組むべきもとと考えるが、まだ被害の発生していない鳥取県の子どもたちを守るために、県費で検査機器や試薬を購入するなど体制の整備を図り、薬物の危険性等を啓蒙するDVD等の購入や講演会の開催を県下の小中高校および特別支援学校、大学、専門学校で実施できるような予算措置を講じられたい。
(3)有害鳥獣被害防止のための緊急措置を講じていただきたい。
いよいよ秋となり、有害鳥獣の被害が増えてくることが懸念される。人里と鳥獣の生息地の間に緩衝帯を設ける提案については答弁通りに検討して頂きたいが、緩衝帯構想が実現するまでの間の被害を減少させ、特に人的被害を生じないために、電気柵の設置等のできる対策に尽力されていることは理解しているが、対策を加速・充実して頂きたく、そのための予算措置を講じられたい。
(4)アンテナショップ改善についての検討委員会を設置していただきたい。
東京・新橋に設けられた県のアンテナショップ「食のみやこ鳥取プラザ」の運営について早急に第三者を含めた検討委員会を設置し、新年度から改善できるように対策を講じられたい。
(5)国際まんが博のしっかりした検証をしていただきたい
今夏から開催された「国際まんが博」は、ドリームワールドが米子会場に移り、国際マンガミットの開催と最終章を向かえる。来年は植樹祭、都市緑化フェアーとグリーンウエーブのイベントが続くが、これらのイベントを成功に導くためには、やはり、来場者や観光客へのアンケートや聞き取り調査など「国際まんが博」のきんとした検証が不可欠であり、十分な検証が可能になるような予算措置を講じられたい。
◆平成25年度当初予算への第一次要望事項
(1)厳しい経済状況に鑑み、積極的な財政運営をしていただきたい
鳥取県において最大の歳入である地方交付税は平成16年度から平成19年度にかけて約250億円も減額され、厳しい財政運営が強いられてきたが、その中にあっても、平成20年以降はプライマリーバランスを取りながら県債の減少に努力され、平成24年度当初予算で、基金は財政誘導目標である350億円を超える386億円を確保され、健全財政を目指した様々な努力に高い敬意を表したいと思う。しかし、その一方で、県内の経済状況は冷え込み、雇用創造1万人プロジェクトで懸命な努力をされているが、雇用情勢は依然として大変厳しいものがある。来年度予算編成においては、県内の景気回復に向けて思い切った政策が実行できるよう財政誘導目標の上限一杯の思い切った起債や債務負担行為の設定を行い、財源を確保していただきたい。合わせて、県選出の国会議員と連携を深め、国の各種プロジェクトや基金に手を挙げ、政策実現型予算の獲得に努力していただきたい。
(2)島根原子力発電所2号機の再稼働、3号機の稼働に備えた体制の整備をしていただきたい
島根原発2号機はストレステストを終え、再稼働が現実味をおびきた。加えて、3号機についても、政府は着工した原子力発電所について容認する方向性を示唆しており、完成後は稼働されるのではないかという心配もしている。しかしながら、1号機、2号機では定期検査事項の点検漏れが発覚し、3号機についても稼働テストで炉心の制御棒の一部が動かないという信じられないミスが生じており、原子力発電所を安全に稼働する企業文化が中国電力にはないのではないかと深く憂慮している。
鳥取県は隣接県として初めて電力会社と原子力発電所を巡る安全協定を締結し、専門知識を持った職員を雇用されるなど体制整備を進められていることに敬意を表したいが、2号機の再稼働、3号機の稼働については安全協定第6条に基づく報告があった場合に確固として意見を中国電力に対して表明できるよう知見の集積と十分な情報収集ができるように予算措置を執られたい。
(3)次世代エネルギーパーク全県化構想を推進していただきたい。
崎津の埋め立て地に国内最大規模の太陽光発電所の誘致に成功したほか、中小の太陽光発電事業の展開、小水力発電所への取り組みなど、環境イニシアティブ事業は順調に進展しており、知事を始め、関係職員のご努力に感謝申し上げたい。来年度は、平井県政の折り返し点にあたり、同事業も新しい局面を向かえるべきだと考える。そこで、提案するのが次世代エネルギーパーク全県化構想である。次世代エネルギーパークは太陽光など次世代エネルギー設備や体験施設等を整備する地方自治体に対して、整備計画を資源エネルギー庁に提出して認定を受ければ、同庁が積極的にPRするほか、再生可能エネルギー熱利用加速化支援事業で優先採択されるものである。発想には首肯でき、中四国でも真庭市、出雲市、北広島町が認定を受け、新エネルギーの体験エリアとしての整備を進めている。現在のスキームでは地方自治体側のメリットが少ないという側面があるため、会派として首相官邸にパーク内の拠点視整備費や環境学習事業運営費、エコトリム等新交通システムの整備費などに新しい助成制度を新設するよう働きかけている。県においては、全県に広がる次世代エネルギーパーク計画を策定し、資源エネルギー庁の認定を受ける方向で検討して頂きたいし、そのための予算措置をしていただきたい。
(4)下請け、孫請け企業も利潤を確保できるように公共工事改革を進められたい
建設業界は比較的大きな企業規模を持つ元請け会社を、大工、左官、管工事など様々な分野の中小零細企業が下請け、孫請けとして工事を支えているというのが基本的な構図である。この構図の下では元請けと下請け、孫請けの力関係には大きな差があることに加え、財政難による公共工事の抑制、不況による民間工事の激減から工事の発注量が少なくなっている状況があるため、価格の決定、現場での工事、代金の支払いなど様々な面で、下請け、孫請け企業は不利な条件を押しつけられるのではないかと危惧している。県から現金で支払いを受けているはずの元請けの支払いが半年サイトの手形で、しかも、価格の値引きを求められたケースがあるやに側聞している。県も下請け企業等への訪問調査等を実施しているが、具体的事実を告白すれば次回以降、仕事がもらえないのではないか不安に感じて、なかなか話してもらえず、実態を把握することが難しいのではないだろうか。こうした構図になるのも、発注価格が低く設定されたことも一因であると考える。新年度予算の積算にあたっては下請け、孫請けを含め、適正利潤が確保できるような工事代金の設定をしていただきたい。加えて、元請けが下請けへ、当初の契約金額で工事終了後速やかに現金で支払いがなされることを応札条件にするなど入札制度改革にも取り組んでいただきたい。
(5)国際まんが博の成果を次年度以降に続けることができるような事業展開をしていただきたい
「国際まんが博」はマンガやアニメを使った地域を元気にする「まんが王国とっとり」の建国を宣言するためのイベントであり、単なる一過性に終わるイベントではなかったはずである。コンテンツ産業は38兆円という規模にまで成長し、自動車産業の10兆円を凌駕しており、産業基盤の弱い鳥取県においては非常に魅力的である。コンテンツ産業が県内の主要産業に育つよう支援策を模索して頂きたいし、山陰コンテンツビジネスパーク協議会が中心になって様々なショップが入るALPHAビルがオープンしたが、こうした萌芽ともいえる動きもフォローしていただきたい。そして、明治大学は世界最大級のマンガ、アニメ、ゲームなどサブカルチャー関連資料を集めた東京国際マンガ図書館を2014年に開館させようと準備を進めておられるが、国際まんが博での連携を持ったことでもあり、分館の誘致を強力に進めて頂きたい。
(6)有害鳥獣被害の抜本対策として緩衝帯、生育地を設けていただきたい。
猟友会による有害鳥獣の駆除、電気柵の設置などの懸命な対策が講じられているものの、有害鳥獣の被害は年々増加しており、抜本的な対策が求められている。鳥獣も好き好んで人里に現れたのではく、山林が荒れて木の実などが少なくなり、餌を求めて山を下りくると考えられている。山間部の高い地域の森林を整備し、餌となる木の実等を成らす樹木を増やし、鳥獣が生息できるサンクチュアリを形成すべきであり、さらには人里の間の林野も緩衝帯として整えることこそが有害鳥獣の抜本対策と考える。
そのためには県と市町村で認識を共有し、基本計画を策定したのち、連携して整備を進めていくことが重要である。まず、検討委員会を立ち上げ、県と市町村がどんな仕事を分担して進めるか、業務の棲み分けを明確化するためのアンケートを実施していただきたい
(7)支え愛事業を発展させ、施設型から地域支援型へ高齢者福祉の転換を加速されたい
年々厳しくなる財政と進展する高齢化の中で、高齢者の介護を充足するためには地域支援型福祉を進めるしかなく、その意味では県が進める支え愛事業は方向性としては確かなものであると考える。県議会の議論の中では、支え愛事業が福祉に対する県の責任放棄だという指摘があったが、こうした懸念を払拭するためには、財源をしっかり確保して提示することが肝要だと考える。そのためには平成24年度予算で新設された「とっとり支え愛基金」をより一層充実させるような思い切った予算措置を取っていただきたい。
(8)地域コミュニティーホームの全面展開を視野に検証をしていただきたい。
平成24年度予算で試行された鳥取型地域生活支援システムモデル事業は、有効に機能するのであれば、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができる新しい地域コミュニティーホームを創造できるのではないかと期待している。平成25年度も地域にある民家や公的施設の改修し、地域住民による見守りや食事の提供ができる費用を抑えた高齢者の住まい作りを継続するとともに、しっかりとした検証を実施して問題点を洗い出し、その解決策を導き出し、平成26年度からは民間活力を導入して全県で全面展開できるように計画を策定していただきたい。
(9)24時間定期巡回型訪問介護サービスの初期投資に助成制度を新設していただきたい
平成24年度から24時間定期巡回型訪問介護サービスが介護保険制度の中に組み込まれ、県内でのいくつかの事業所が参入した。ところが、同サービスを充実したものにするためには、高齢者の居宅と訪問介護ステーションを繋ぐ相互利用できる通信ネットワークや訪問介護用車両などの初期投資が大きくかかる。新規参入を加速させるためにも、事業を開始するための初期投資費用を助成していただきたい。
(10)老人クラブ社会参加促進事業は改善して継続していただきたい
平成24年度事業棚卸しで、老人クラブ社会参加促進事業は様々な視点から疑問がなげかけられ、事業の廃止が提言された。確かに高齢者のライフスタイルや嗜好の多様化で、老人クラブの加入率は低下しており、高齢者全体の施策として老人クラブを支援するかどうか疑問であるとの視点は首肯できる面もある。しかしながら、その一方で、高齢化が進展する中、地域のコミュニティーは崩壊しつつあり、老人クラブは高齢者のネットワークとして再構築すべきとの意見も理解できる。そこで、老人クラブのあり方を検討する研究会を立ち上げ、魅力があり、加入率の高まる新しい鳥取版老人クラブを模索していだきたい。また、新しい方向性が打ち出されるまでの間は、事業棚卸しで指摘された点を改善しつつ、事業そのものは継続していただきたい。
(11)県立病院新築の検討を本格化していただきたい
県立中央病院は千代川河口に立地し、震災時の津波や集中豪雨時の洪水などの心配がある。県が作成した津波想定では防波堤を津波が越えることないと一応の安全性が確認されたが、増水した時に、あるいは、地震で堤防が崩壊した時に津波が襲う重複災害となった場合、浸水被害が発生しないとは断言できない。医療の高度化に伴って医療機器の電化、精密機械化が進んでおり、機械等が水に浸かったり、電源が喪失したりした場合には機能が停止し、医療行為が正常に継続できなくなったしまう恐れがある。県立中央病院は災害時、被災者救援の中核病院としての機能が期待されており、巨大災害が襲っても機能を消失することは許されない。従って、交通の利便性も含め、現在の立地についての検討が必要と考える。加えて、移転新築から37年が経過しており、耐震と一部改修の工事を終えたとは老朽化や狭隘化は解決したわけではない。県立厚生病院も外来診療棟は平成19年に新築されたものの、病棟部分は築27年経過している。古い時代の設計のため、病室に新鋭の大型化した機材を入れることもままならず、改修が待たれるところである。両病院とも近い将来、新築または全面改修が必要であり、整備計画の検討と莫大になるだろう新築資金の積立を始めることは喫緊の課題と考える。加えて、中央病院は千代川の河口に位置し、津波被害や整備計画を検討するための予算装置を講じられるとともに、新築に備え、基金の新設を検討されたい。
(12)糖尿病対策を充実されたい
県内の基本健康調査による糖尿病の異常者出現率は平成12年には15%だったものが、平成18年には18%を超え、罹患率は年々上昇している。ところが、「県立病院の果たすべき役割と改革戦略」においては、中央病院、厚生病ともに4大疾病のうち、がん、脳卒中、急性心筋梗塞は集約化・重点化の拠点として、地域のリーダーとなる病院になっているが、糖尿病は外されている。急性期の病院であり、生活習慣病は地域の民間病院でとの考えからだそうだが、糖尿病は代謝異常の仕方が患者ごとに違う専門性の高い疾患であるうえ、網膜症、腎症、神経症、動脈硬化と広い診療分野にわたっている総合疾患であるから、幅広い診療科と専門医の揃った総合病院に受診することが望ましい。日常の診察治療は民間病院でするとしても、初診時と急性増悪時は両中央病院が果たす役割は大きいと言わざるをえない。糖尿病においても地域リーダー病院として位置づけると共に、厚生病院に眼科の専門医が常勤医師として勤務できるよう県として十分な応援をしていただきたい。
(13)いじめ対策としてHyper-QU活用を継続されたい
米子市立中学でいじめによる刑事告訴がなされ、境港市立中学ではいじめによる自殺未遂事件が発生するなど県内におもても、いじめ問題は深刻化していると認識している。いじめ問題支援事業としてHyper-QUを活用して学級の状況を把握するための予算2,069万円余が9月補正予算案に計上され、会派として賛成し、可決をみたところであり、その成果に注目している。Hyper-QUは、いじめ等を把握する心理調査として評価が高いものであるが、その結果の確認には知識がいるとされている。調査結果について各学校の先生方にフィールドバックするだけでなく、結果をどう読み解くのか研修するための予算も計上し、結果を十分に活かしていただけるような配慮をしていただき。また、いじめが認知されたような場合は、継続してHyper-QUを実施できるよう予算を計上していただきたい。