決算審査特別委員会病院事業特別会計分科会の現地調査で厚生病院、中央病院を視察しました。鳥取県議会は決算審査の結果を新年度予算に反映するため、9月議会で決算案の審査を始め、11月議会で採決することにしています。2議会にまたがって詳細に審査するのも「目を皿にようにして決算審査をして、無駄を指摘して下さい」という片山前知事の意向を受けたものです。このように決算審査を大事にするのが鳥取県議会の特色です。
病院事業特別会計分科会は6日、倉吉市の県立厚生病院、鳥取市の県立中央病院を訪れ、現地調査を実施しました。県議会の審議では病院局が説明しますが、現地調査では院長先生や看護師さんら医療スタッフから直接お話しをお聞きすることができますので、医療政策を考える上で貴重な機会だと思っています。現地調査は厚生病院から始めました。
病棟の6床室です。厚生病院は300床の中規模病院ですが、病室の構成は6床室36室、4床室4室、2床室1室、個室54室で、6床室が中心です。6床室は6.2㎡/床しかなく、基準以下の狭隘さです。しかも、病室の照明は天井に蛍光灯2本の一箇所とベッドサイドのみ。夜間に注射するときは暗いと感じるんだそうです。しかも、酸素と吸引の医療ガスアウトレットは2箇所しかなく、Y字管を使っても足りず、ポータブル酸素吸入器を使ったりするんだそうです。そうなると狭すぎるんだそうです。治療の邪魔になるのでポータブルトイレも夜間だけ持ってくるそうで、その分も看護師さんたちの負担です。重症患者ほどナースセンターに近い所に入院してもらっているので、せめて、ナースセンターに近い部屋だけでも4床にして広く使い、アウトレットを増設してもらえれば嬉しいと話してくれました。
院内保育所です。25人の定員に現在は19人の利用です。保育時間は最長7:30~21:00です。
調理室です。病棟地下にあり、床面積406㎡。昭和61年の設置で、老朽化と狭隘化が進んでいます。管理栄養士4人、調理師等18人が働いておられます。
平成13年にクックチル方式を8700万円をかけて導入したそうです。調理すると90分かけて、3度まで急速冷却し、チルド保存します。メインの料理は配食前30分になると配食ケースの中でヒーターで加熱し、熱々で患者さんの前に出されます。調理後、ヒーターで再加熱するのため、焦げたり、パサパサになったりすることがたまにあるそうですが、温かく食べられるという味覚の面、集中調理による効率化、さらには、衛生管理で優れているということです。
食器洗浄は外部委託されています。
更新されたリニアック(放射線治療器)の操作室です。4ミリオンから10ミリオンへと、強い放射線を照射できるようになったため、患部が体の深いところにあるときは、治療ができませんでしたが、これからは治療ができるようになったと喜んでおられました。
4月に鳥大から着任した井藤院長先生ら病院スタッフの皆さんから話をお聞きしました。
井藤院長は「6人部屋をなんとかしたい」と繰り返されてました。「県中部の治療圏で放射線治療ができるのは、厚生病院だけなので、今回、リニアックが更新していただいたが、さらに整備を充実していきたい。建物本体は竣工から27年が建っている。建て替え、増築は課題だ。小児の入院ができるはここだけなので、小児医療にも力を入れたい。現在42人の医師がいるが、小児がんや移植医療はは対応できていない。眼科、皮膚科は常勤医がおらず、大学からの派遣でしのいでいる。医師1人あたり5床が中核病院の標準だが、現状は6.2床だ。これも改善したい。このように課題もあるが、改善すれば、もっといい医療を提供できるようになる。しっかり頑張りたい」などと話されました。
意見交換の中では給食設備と病床の狭隘化が指摘されました。
平成13年にクックチル方式を導入したが、床面積は406㎡しかなく、機械設備が大きいクックチルだと狭い。耐用年数はまだ10年あるので、すぐすぐとはならないが、給食施設は改修を検討するための予算を検討しているとのことです。
療養環境は、6床室が狭い。6.2㎡/床。基準は6.3㎡/床。酸素と吸引からなる医療ガスアウトレットは6床で2箇所しかない。分岐管を使っても、2床はポータブルで対応。ナースセンターに近いところだけでも改修が必要との指摘もありました。11月補正予算でナースステーションに近い所に2つないし、3つ増設を考えているということですので、議論したいと思います。1病棟に50床あり、一番使っている病棟は25床で使っていますが、急に必要になることもあり、半分あればいいという問題ではないそうです。
全面改築は時間がかかるので、厨房棟を作って、そのうえに病棟を少しでも作ってはどうというアイデアも出てきました。そうなれば、現在の病棟は6床室を5室としての運用ができるので、狭隘化の問題も解決に前進します。厨房と病棟の新館を駐車場の一角に建てるのも一案だと思いました。
医療スタッフにちては小児科医を1人増やしたということです。産婦人科医師は常勤3人と非常勤1人の体制でしたが、医師1人が産休となって心配していたが、補充ができたそうです。一昨年の分娩数は583でしたが、昨年は683に増加したが、これは市内の医療施設の改修があったためで、今年はそこまではないと見ているそうです。内科医はもっと増やしていきたいとも言われました。眼科、皮膚科では常勤医がいない状況が問題との発言もありました。医学部の入学定員は全国で1000人増えたので、いずれ大都市では医師が余ってくるだろうし、鳥大に設けた地域枠からの卒業生も出てくるので、未来が暗いとは思っていないそうです。鳥大は県内の研修病院を第一に考えており、今後も、連携を強化していくことの重要性の認識では意見が一致しました。
看護師も定足を充足したそうです。来年も23人の採用を予定。離職率は5%と他の医療施設に比べるとかなり低く、問題はないそうです。ただ、コメディカルについては定数割れなので、追加の採用試験を実施したいとのことでした。
未収金については、休日医療も預り金を採用した。補助金などを紹介して発生の抑制をしているそうです。発生後は電話催告を3会し、督促状を配布し、個別訪問を2回実施し、それでも、だめなら再度、督促状を配布して、弁護士に委託している。戸別訪問は盆、正月前後に事務局長以下、事務職員全員で回収しているとのことで、着実に実績を出しているとの報告もありました。
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