ブリヂストンA工場で働いて、私が見たもの、私がしたこと、私に起きたことを発信します。

錯覚の蜜

2019-04-10 | セクハラ・性暴力

高校以来の友人の話です。Mちゃんには当時からつきあっている彼氏牛蒡君がいました。

牛蒡君は、目立たない地味な子だけど真面目でMちゃんをとても大切にしていて2人は

お似合いにみえました。8年以上つきあって婚約もしていましたが、Mちゃんは仕事先で出会った

魅力的な艶玉君にぞっこんになり、牛蒡君との婚約を破棄して艶玉君と結婚しました。

        VS  


牛蒡君は「俺たちの8年は何だったの?」「もう誰も信じられない」と精神を病みました。


結婚式にも行ったし、新居の中古建売住宅にも呼ばれましたがとても幸せそうでした。

玄関や寝室に、写真や、「出会えたことに、ありがとう」と書かれた紙を縁取った♡型のフレームが飾ってありました。


Mちゃんのデレデレったらすごかったです。「ねぇ、艶玉君って、すごく色っぽいと思わない?」と幸せ満点の笑みで

訊かれ、私は「うん、そうだね」って言いました。たしかに彼は、魅力を発揮していましたから。


でも私は「艶玉君より牛蒡君の方がずっと素敵なのに」と思いました。物静かなはにかみやの少年牛蒡君と違って

艶玉君は私に「自分を先生と呼んで助言を仰ぐ人達がいる」とか言って、自分が人より優れたただならぬ人物であると

懸命に知らせようとしました。内容の希薄な話を、神妙な感じでもったいつけて語る癖もありました。

その感想は彼にぞっこんで幸せ絶頂のMちゃんには言えませんでした。彼女の長い地獄の結婚生活が始まりました。外面が最高の、DVでした。


「別れて欲しいと友人として思う」と伝えましたが、彼女は彼を庇い「彼は自分がいないとだめ、私が見放したら彼は終わり」

と言って別れずに何年も耐え続けました。私はいつも同じこと(別れろ)しか言わないのに、彼女は私に

ちょくちょく会いにきました。不思議でした。別れないけど、私に言って欲しいみたいと思いました。

私はとうとうある時、「艶玉君に執着するのは、もしかして牛蒡君との婚約を解消してひどい人生になった

と認めたくないから?」という内容のことを訊きました。彼女はくすっと笑って「違うよ」と言いました。


牛蒡君のことなんか全く意識になく忘れていたそうで、彼女の生活とは無関係でした。


「ローンもあるし」と言ってました。あの中古建売は、たしかに夢のような新居だったのですが…。

玄関は吹き抜けで高い所の窓から光が降りてきて、ダイニングルームの裏にはウッドバルコニーがあって。

キッチンも日当たりよくて素敵でした。

  ♪君を泣かせたあいつの正体を僕は知ってた 引き止めた僕を君は振り払った遠い夜

                                                                     
随分経ってから彼女は離婚しました。「本当によかった。」と2人言いました。

                           ♪ここにいるよ 愛はまだ ここにいるよ いつまでも♪   
                       

牛蒡君は他の女性と結婚して子供と暮らしています。


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魅力には2通りあって、ニスで艶つけたような魅力と、内面から出てくる魅力です。

毒りんごの異様に艶々した魅力と、なんかどこか魅かれるというのと。

見せる為のものか、生き方からさりげなく出てきたものかの違いだと思います。

Don't be misled by gloss. 

後者との出会いには、ふわっとした風が漂います。そういうのが、いいですね… 

(余計なことを書いてすみませんでした)

                        中島みゆきさんっていいですよね、大好きです…


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錯覚の蜜②に続く。



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