椿、水仙、ほとけのざ、ねこやなぎ…
春の花をたくさん詰めた籠を手に、山梨の塩山から藤巻愛子さんが、子育ての杜に来てくださいました。
山梨むかしがたりの会の代表を務める藤巻さんは、甲州弁で山梨県内外の昔話を語る語り部でいらっしゃいます。
3月4日(土)子育ての杜の部屋は、年長さんから小学校6年生までの子どもたちとお父さん、お母さん、そして保育関係の大人で満員に。
大きな拍手で藤巻さんをお迎えしました。
「おっぱじめても よーごいすか?」 「よーごいすよー」
藤巻さんの掛け声にみんなが応えると、昔話が始まりました。
この日は 山の背くらべ
おおかみの恩返し
セツブーン
お雷さんのぼうや
鬼の千里ぐつ
の五つのお話。
鬼が出てくるところでは、耳を塞ぐようにして友達にくっついて聞き、面白い場面では、思わずとなりの子と顔を見合わせて笑ったり、と大人も子どもも藤巻さんのお話の世界にすっかり引き込まれていました。
昔話のあとに、草花遊びもたくさん教えていただきました。
塩山から運んできてくださった春の草花を使って、お雛様を作ったり、ほとけのざの小さな花を笛にしてみたり、ねこやなぎの柔らかい花穂でお化粧したり…
「私が小さい頃は、何にもなかったからこんなことして遊んだんだよ。」
自然の中から自分たちで遊びを見つけ、考え、工夫して…
藤巻さんに教えてもらいながら夢中で遊ぶ子どもたちを見ていると、子ども本来の遊びの形、面白さをしみじみ感じました。
物や音で溢れている今の世の中で育つ子どもたちにとって(大人もですね)、ことばに耳をすまし、心も体もリフレッシュできた本当に素敵な時間でした。
そして、言葉の力がめっきり弱くなっている今を憂いながらも、どっぷりと昔話の世界に入っていたこの日の子どもたちの様子に、少し希望を
抱くことができました。
藤巻さん、本当にありがとうございました。
また語りに来てくださいね!