「あ~!」「ダメ~!」
穏やかによく遊んでいるなーと思っていたところに突然の泣き声。
今年の1歳児クラスも おもちゃの取りっこの時代がやってきました。
ここ子育ての杜には、おもちゃが豊富にあり、子どもが遊びたいもので満足して遊べるように同じ遊具も複数個用意してあります。
「ほら、おんなじ新幹線がここにもあったよ。」
ついこの間までは同じものがあれば、すんなりと治まったのですが、取られたKちゃんも、取ったRちゃんもそんなことでは済みません。
Kちゃんは今遊んでいた新幹線が、Rちゃんはお友達が持っていた新幹線でなくてはダメなのです。
兄弟げんかで慣れているRちゃんは、さっとおもちゃを持って行って、ちょと離れたところから様子を伺っています。
取られたKちゃんは突然起こった事態に唖然としながら泣いています。
さてさて、どうするかな~?
「びっくりしたね。きっとRちゃんもこの新幹線で遊びたかったんだね。」まだ涙のKちゃんにお母さんが抱っこしながら話しかけています。
「あなたもそれで遊びたかったの?そっか、そうだったのね。でもこれはKちゃんが遊んでた新幹線だね。」とRちゃんもお母さんが静かに話しているのをじっと聞いています。でもまだぎゅっと新幹線を握ったまま、お顔も「だめ~」のまま…
そのうちにKちゃんは他の電車をつなげて遊びだしました。
楽しそうに遊び始めたKちゃんをお母さんの陰からRちゃんもじっと見ています。
「はい!」Rちゃんが自分から新幹線をKちゃんに返しに行きました。
当のKちゃんはきょとん。そしていつの間にか二人で電車を仲良く走らせています。
トラブルの元になった新幹線はそのまま床に転がっています…いいのー?
いいんです。要は一緒に遊びたかったんだよね。
だったら、「入れて!」とか「貸して!」っていえばいいじゃないの。こんなに面倒くさいことしないで…と大人は思ってしまいますが、この大変な過程こそが、子どもにとって仲良しになるひとつの儀式みたいなものなのですね。
今まではお母さんとぼくだけでじゅうぶんだった世界から一歩踏み出して、お友達と交わりたい、その気持ちの表れです。
「それなぁに?ぼくもやりたいな。一緒に遊びたいな。」まだその気持ちを上手に言えないだけです。
おもちゃを取っていじわるしてやろうなんて気持ちはこれっぽちもないのです。
「そんないじわるしないの!」大人のそんな決めつけが「いじわる」という行為を生むのかもしれません。
どうしたかったのか、何を思ってそうしたのか、を大人が代弁してあげることがまだお話が上手にできない小さな子どもたちには必要な助けです。
これからもこんな衝突は度々起こることでしょう。
その度に子どもたちは生きていくために大事なことを学んで成長していくんですね。すごいなぁ、子どもって!
でも、これも大人の見守りがあってこそ。
お母さん達のナイスフォローに拍手!! お見事でした。
我が子だけではなく、お互いの子どもの育ちを大切にするいい関係がお母さん達の中に育っていることが、本当に嬉しいことです。