T.Shimada's Diary

日々の話題、過去の話題から。

福井鉄道の今に思う

2008年03月19日 00時39分51秒 | 福鉄電車
 NHKの午後6時代の地元ニュースにて、福井鉄道の現状を伝えるリポートが放送された。すでに何度もこのWeblogで紹介しているが、福井鉄道福武線は現在、債務超過による経営難に陥っており、今もなお福井鉄道や沿線市などと存続のための協議が続けられている。リポートは10分程度の短いものであったが、利用者の声と現場の窮状が十分に伝わってきた。

 放送の最初は、存廃に対する利用者の声が伝えられ、学生からは通学で電車が必要である(自転車での通学は辛い)という声がやはりあった。続いて、年ごとの福武線の利用者を示すグラフも示され、減少していることが紹介された。

 その一方、福鉄電車の現状も伝えられた。西武生駅横にある、福井鉄道の車両工場。戦前に建てられた古い建物であり、経年変化や積雪などで傷みが激しいという。また、工場内で使用されている機器の例として、車両などの部品を加工・修理するための旋盤が映し出されたが、それも昭和期の古い機械であるという。会社としては、工場や機器類の買い替えをしたいところだが、安全面での対策が主となり、そこまで資金が回らないそうである。また、整備士は6名いるそうだが、30両余りの車両を点検するのにはギリギリの数であるという。また、半数が20代の若い整備士であり、技術の継承も思うように進んでいないという。

 運転士についても、同様の問題があると紹介された。現在の運転士は16名いるそうだが、本当は最低でも20名必要であるという。ボーナス支給もできず、将来に不安を感じて辞める人もあるそうで、昨年でも3名が離脱したという。残りの運転士では数が足りないため、少々病気であっても欠員を出さないために仕事に出たり、1人2回は休日出勤をしたりしなければならないという。

 また、設備面のうち、線路の問題も放送された。福武線は直線区間であっても揺れがひどく、乗客からの苦情や指摘が多いという。映像では正面近くから見たレールと電車の走行が映し出されたが、レールの継ぎ目などでくぼんでおり、電車が左右に揺れて走っていくのがはっきりと分かった。安全基準は満たしているというが、ここでも経営難による問題が浮き彫りとなっている。最低限の安全対策は行われていても、快適性、サービス面など他の部分までは余裕がなかったことが分かる。

 最後に、福井大学の教授の話があった。福武線での問題は福井鉄道特有の問題でなく、どこの地方鉄道でも起きている問題であるという。鉄道を残す場合、単に残すだけは意味がなく、乗る運動だけでなく、例えば駅周辺の都市開発など、5年、10年、またはそれ以上を見据えた、まちづくりの手段として見るべきである、とも述べていた。


 リポートを見て、改めて福井鉄道福武線の現状と課題が分かったように思う。資金面での問題は当然解決されるべき問題であるが、会社側による、設備更新などによる快適性、サービス面などの改善はもちろん、行政や住民、利用者がまちづくりなど様々な視点で、福武線を考えていかなければならないと強く感じた。


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