T.Shimada's Diary

日々の話題、過去の話題から。

インターネットは「万能の神」でなし

2009年02月08日 20時03分48秒 | 時事・日記
 先週、ある芸能人のウェブログに執拗な書き込みを続け「炎上」させたとして、名誉棄損や脅迫の疑いで、18名(10代~40代の男女)が書類送検されることとなった。うち1人は、殺人を仄めかす内容を書き込んでいたという。

 コンピュータネットワークの発達により、今やどの世代もインターネットに接続し、利用することが当たり前となっている。接続手段もコンピュータに留まらず、特に10~20代の若い世代では、携帯電話の利用が大半となっている。

 ところが、手軽に情報を検索したり、ウェブサイトやウェブログを通じて自ら発信できたりする、という「利便性」が追求されてきた一方で、コンピュータネットワークの仕組み・情報倫理についての理解があまりにも追いついていない。今回のブログ「炎上」も、書き込みを続けた各々が、ネットでの「匿名性」が絶対であるという誤解をもってエスカレートした結果であるだろう。

 ネットワークでの「匿名性」を信じて、掲示板やブログに誹謗中傷の書き込みをする、という事は以前からも、各方面で頻発している。そのような書き込みは、書き手の勝手な思い込みや、書き込み先に対する明確な憎悪・殺意などを持って行われている。掲示板に書き込まれる大量殺人予告、携帯サイトの「プロフ」におけるネットいじめ…、これらはすべて、ネットの「匿名性」という「隠れ蓑」を裏付けに行われてきた、といってもいいかもしれない。

 しかし、少なくとも情報工学・情報倫理を修めた人々から見れば、それは見せ掛け・気休めでしかならない。ネットワークに接続する場合、各サーバには接続履歴としてIPアドレスなどの情報が残される。このアドレスは、それ単独で個人を特定することこそできないものの、どのプロパイダーを利用していたかが容易に識別できる。そこから先は、プロパイダーに履歴の情報開示を要請することで、個人を特定できる。これは警察が行うことが大半であるが、平成14年に施行されたプロバイダー責任制限法によって、現在では被害者本人によるプロパイダーへの情報開示も可能となっている。

 まだ、一部のネットカフェなどでは身分確認の徹底に難色を示しているという事実もある。しかし、ネット書き込みに端を発した自殺、殺人事件は増加しており、ネットにおける人権保護の動きは止めてはならず、適切な法規制、情報教育が求められる。


 情報教育に関して言えば、小・中・高・大学生といった若い世代に対する情報倫理の教授がある。携帯電話の利用率が高い世代でもあり、中高生以上では、授業中における携帯メールの使用が問題となっている。すべての生徒・学生がそのようなことをしている訳ではないが、そういった携帯メールをただカチカチと打つだけの姿は、昔の映画にあるような、機械に踊らされる人間であり、なんとも滑稽である。家庭における教育(躾)の問題にも強く依存するだろうが、そういった情報ツールやインターネットについての正しい知識(機器の使い方もあるだろうが、それ以上に倫理・インターネットエチケット(ネチケット)・知的財産(著作権))を、義務として教え込ませ、体得させる時期に来ていると感じる。


 インターネットによってつくり出される「仮想社会」は決して別世界でなく、あくまで現実社会の延長である。「匿名性」は見せ掛けでしかならず、ネット上の誹謗中傷・反社会行為は然るべき刑罰をもって処罰されることを知っておかなければならない。


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