二酸化炭素による温暖化現象など、地球規模の環境問題とその影響が明らかとなって以降、世界ではそれに対するさまざまな技術が生み出されている。特に、二酸化炭素など温室効果ガスを抑える目的で、石油などの化石燃料に替わる燃料源の開発は、早くから盛んに進められてきた。
例えば、電力の分野でいえば、現在主力である火力発電に対し、太陽光発電、風力発電、地熱発電などの方式が考案され、発電量ではわずかだが日本各地でも実用化されている。また、ガソリンを使用する自動車の場合、水素車や燃料電池車、太陽電池車といったものがあり、研究が進められている。このほか、従来のガソリンエンジンと電気モータを組み合わせ、ガソリンの使用量を抑えたハイブリッド車が実用化されている。
自動車に対する研究は、公共交通である電車も例外でなく、JR東日本などで燃料電池を用いた電車の開発が行われている。ただし、この方式の場合、燃料源の部分が重くなる、コストが高い、などの問題があるという。
これに対し、電車用に改良した2次電池(バッテリー)を利用する、という研究が進められている。これを進めているのが、地元、福井大学大学院工学研究科ファイバーアメニティ工学専攻(材料開発分野)素材設計研究室である。
この研究室で行われている鉄道用の燃料電池に関する研究では、東京の大研化学工業と協力して製作した改良型のリチウムイオン2次電池を電車の燃料源として利用する、というものだという。環境省の地球温暖化対策技術研究開発事業に採択されており、文字通り環境にやさしい鉄道のための研究が行われているそう。それだけでなく、2次電池利用によって架線が必要となくなるため、景観面の改善にも期待できるという。
ここで挙げるほどの事でもなくなっているだろうが、すでに何回かの公開実験が行われており、その様子は過去にも全国放送されている。まさに今注目されている研究だといえるだろう。ちなみに、これまでに行われた実地試験を挙げると、以下のようになる(試験の様子は同研究室のHPで閲覧できる)。
・2004年12月3日
福井鉄道にて路面電車(560形、約13t)を用いた走行試験
・2006年6月14日
福井鉄道にて大型電車(600形、約30t)を用いた走行実験(発車・停車時の負荷実験など)
・2006年9月26日
えちぜん鉄道福井口駅にて電車(MC5001形、約40t)を用いた走行実験(2次電池の安全性実験)
なお、同研究室では、この研究を含めて現在取り組んでいる研究の概要、成果などをHPで公開している。図や写真でわかりやすく説明しており、専門外の自分でも研究の雰囲気を見ることができた。先週、このHPについて高専のF教授に見てもらったところ、「ネットワークが発達してきた今、こういった形で成果を発表していくのは大切」とのこと。情報基礎教育のご専門ということもあって、興味津々のご様子だった。
さて、話を研究の話題に戻す。2次電池を電車に用いるというこの研究は、環境保護の点から注目されているが、加えて電池使用による架線レスの実現と景観面の改善という点でも注目したい。特に、路面電車では道路上を車と並走する環境にあるため、クレーン車などによる架線の切断、損傷の事故が起こりやすい。自分も今年の夏に経験しただけに、架線に頼らない路面電車の実現、というのは大きいと思っている。1利用者として実現を願いたい。
関連URL:福井大学大学院工学研究科 素材設計研究室
(写真:田原町駅から出発したえちぜん鉄道MC5001形、2006.11)
例えば、電力の分野でいえば、現在主力である火力発電に対し、太陽光発電、風力発電、地熱発電などの方式が考案され、発電量ではわずかだが日本各地でも実用化されている。また、ガソリンを使用する自動車の場合、水素車や燃料電池車、太陽電池車といったものがあり、研究が進められている。このほか、従来のガソリンエンジンと電気モータを組み合わせ、ガソリンの使用量を抑えたハイブリッド車が実用化されている。
自動車に対する研究は、公共交通である電車も例外でなく、JR東日本などで燃料電池を用いた電車の開発が行われている。ただし、この方式の場合、燃料源の部分が重くなる、コストが高い、などの問題があるという。
これに対し、電車用に改良した2次電池(バッテリー)を利用する、という研究が進められている。これを進めているのが、地元、福井大学大学院工学研究科ファイバーアメニティ工学専攻(材料開発分野)素材設計研究室である。
この研究室で行われている鉄道用の燃料電池に関する研究では、東京の大研化学工業と協力して製作した改良型のリチウムイオン2次電池を電車の燃料源として利用する、というものだという。環境省の地球温暖化対策技術研究開発事業に採択されており、文字通り環境にやさしい鉄道のための研究が行われているそう。それだけでなく、2次電池利用によって架線が必要となくなるため、景観面の改善にも期待できるという。
ここで挙げるほどの事でもなくなっているだろうが、すでに何回かの公開実験が行われており、その様子は過去にも全国放送されている。まさに今注目されている研究だといえるだろう。ちなみに、これまでに行われた実地試験を挙げると、以下のようになる(試験の様子は同研究室のHPで閲覧できる)。
・2004年12月3日
福井鉄道にて路面電車(560形、約13t)を用いた走行試験
・2006年6月14日
福井鉄道にて大型電車(600形、約30t)を用いた走行実験(発車・停車時の負荷実験など)
・2006年9月26日
えちぜん鉄道福井口駅にて電車(MC5001形、約40t)を用いた走行実験(2次電池の安全性実験)
なお、同研究室では、この研究を含めて現在取り組んでいる研究の概要、成果などをHPで公開している。図や写真でわかりやすく説明しており、専門外の自分でも研究の雰囲気を見ることができた。先週、このHPについて高専のF教授に見てもらったところ、「ネットワークが発達してきた今、こういった形で成果を発表していくのは大切」とのこと。情報基礎教育のご専門ということもあって、興味津々のご様子だった。
さて、話を研究の話題に戻す。2次電池を電車に用いるというこの研究は、環境保護の点から注目されているが、加えて電池使用による架線レスの実現と景観面の改善という点でも注目したい。特に、路面電車では道路上を車と並走する環境にあるため、クレーン車などによる架線の切断、損傷の事故が起こりやすい。自分も今年の夏に経験しただけに、架線に頼らない路面電車の実現、というのは大きいと思っている。1利用者として実現を願いたい。
関連URL:福井大学大学院工学研究科 素材設計研究室
(写真:田原町駅から出発したえちぜん鉄道MC5001形、2006.11)