
(上:福井鉄道800形802号、下:803号)
福井鉄道800形電車は、もともと名古屋鉄道の美濃町線・田神線(岐阜県岐阜市・関市・美濃市)で運行されていた電車だった。2000年に導入された800形は、国内の従来技術を用いて開発された部分的な低床電車ということもあり、2001年にローレル賞(鉄道友の会により、制作意図・技術・デザインなど優れた特徴のある車両に贈られる賞)を受賞している。
2005年の同路線廃線により、福井鉄道に2両(802・803号)が譲渡された。なお、800形電車は名古屋鉄道に3両在籍していたが、うち1両(801号)が豊橋鉄道に譲渡されており、現在は市内軌道線(愛知県豊橋市)で運行されている。
福井鉄道に譲り渡された2両のうち、802号は、2001年10月に福井市の駅前電車通りにて行われたトランジットモール実験のために貸し出され、運行されたという縁もある。また、803号については、車両が搬送された後、2005年10月の国民文化祭にて市内線での運行を行っている。この他にも、800形は2006年4月の運用前に積極的にイベント等で活用されている。

福井鉄道では、主に昼間の時間帯に運行されている。中央のドアはホームとの段差がなく、乗り降りしやすいということで、親子連れや高齢者の方々の評判が良いよう。ただし、1両編成のため、ひとたび多くの乗客があったものなら、身動きが取れないぐらいのすし詰め状態になることもある。そこまでなくとも、他の車両に比べると立ち客の割合は高いように思える。
車両が小さいのであまり多くの乗客を乗せられない、という問題はあるものの、段差がなく一番乗りやすいという利点・評判を考えると、無駄にできないだろう。