ホテルへ引き返す少し前、午前10時5分頃。ウェストミンスター橋(Westminster Bridge)にて、ビッグ・ベンの写真を撮影していた。
ビッグ・ベンを撮影するため少し上向きの視線になっていたところ、"Hello, welcome."その後、何かが胸の辺りに触れる感じがした。
視線をそちらに向けると、2人組の女性。背の低い老婆と、若い女。何事かを極端に早い口調で喋り、造花を胸の辺りに「刺して」きた。通常ならここですぐに立ち去るべき、なのだが、外国の観光地で気分が高揚していたため、情けなくも「刺されて」しまった。すると、老婆がしめたとばかりにその左手から£20札をチラリと見せ、"Money, please. Give and take!"と。こちらは"No"と繰り返すが、お前は花を貰ったのだから、我々に払う義務があるだろう、言わんばかりにまた早口で喋りまくし立て、こちらに近づいた。若い女はそれに呼応し、逃げられまいと他の群集との壁をつくる。
これで冷静な判断が出来なくなった自分は、愚かにも、£10札2枚を出した。出した時点で、老婆はそれを毟り取り、拳に握り締めた。ただここで手を緩めるような相手ではない。"Pay £20 bill, please. Money, please, money!!"ここで再び、"No"と抵抗すると、役立たずな野郎、と言わんばかりの態度で、フッ、と嘲り、国会のある方へと足早に立ち去った。この出来事の前に撮った写真と、直後に撮った写真との時間差は、僅か5分。
これがあるから、海外になんか行きたくなかった、と頭の中で愚痴るも、ホテルに取って返した自分は、ラッセルスクエア横の公衆電話から、在ロンドン総領事館へ連絡した。事前に入手した犯罪マニュアルにおいて、何かあったら在外公館へ連絡するように、との指示があったためである。
総領事館との電話がつながり、館員に事の顛末を話した。すると、今回のような事案については「自分から金を出した以上は、たとえ警察に通報したとしても、罪に問えない」とのことであった。路上では当然、クーリングオフなんてものは無い。説明の後、事案として記録するとのことで、氏名と旅券番号を伝えた。その後、さらに滞在中についての注意を受けた。
・パスポート・財布等を安易に出さない
・なれなれしく近づく相手・集団には関わらない
・移動中は、周囲にすぐに助けを呼べる場所に(路地裏などに入らない・夜間の外出を控える、など)
その上で、今後の滞在中においても、くれぐれも気をつけるようにとの念を押され、報告は終了した。また、この事については、家族にも、自らの(身体的な意味での)無事を伝えるとともに連絡した。
今回の事案は、海外旅行でよく日本人が引っかかるものである。ただ事前に犯罪対策のマニュアルを入手して読んでいたとしても、自分が海外渡航というものをどこかでなめていて、その結果、このような事になったのだと、後悔してならない。イギリスが日本より犯罪が多い、こんな手口があるということをいくら得ていても、「自分は大丈夫だろう」という油断・驕りをもっていれば、簡単に引っかかってしまうものだということを、取られた金額以上に、非常に痛感した。これは、「振り込め詐欺」について、様々な手口を報道で知っておきながらも引っかかってしまうことと、全く同等であると感じる。なお、酷く後悔する被害者に対し、相手は金がすべてであり、金を搾取すること意外に興味は無く、当然、被害者の精神的・肉体的苦痛など微塵も考えていない。
ハワイのレイ、エジプトのラクダ・ロバ、今回のような花売り、…。すべて、物を渡すか体験させた後、金品を要求するものである。海外旅行を、日本国内での旅行と同じものだと考えず、観光地で楽しんでいる間であっても、集団で行動している間であっても、常に周囲に気を付ける事を何よりも強く、強く勧めたい。
◎海外渡航をする際、必ず、外務省のサイト(各国情報など)や海外安全情報、および安全対策マニュアルを一読しておくことを勧めたい。また、最新の現地情報については、渡航先の在外公館のサイトを合わせて参照すると良い。なお、それらの情報を知識としてもつだけでなく、実際に被害に遭わないためにも、現地では主意への注意を怠らないよう勧めたい。
帰国後、北海道のある高校の学生集団が、ロサンゼルス空港の免税店にて万引きするという事案が報道された。インターネットの発達とともに簡単に情報・モノが手に入る一方、外国においても日本と同じであると錯覚している人が多くなっているように感じる。海外で犯した犯罪が、日本と同じ程度の罰で済むと思っていてはいけない。また、海外では宗教上・慣習上で日本と異なる面もある。少なくとも、他国民を侮辱する行動は慎みたい。
○関連サイト
・外務省(渡航情報、各国・地域情勢、在外公館)
・外務省 海外安全ホームページ
・在英国日本国大使館(イギリスにおける情報)
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ビッグ・ベンを撮影するため少し上向きの視線になっていたところ、"Hello, welcome."その後、何かが胸の辺りに触れる感じがした。
視線をそちらに向けると、2人組の女性。背の低い老婆と、若い女。何事かを極端に早い口調で喋り、造花を胸の辺りに「刺して」きた。通常ならここですぐに立ち去るべき、なのだが、外国の観光地で気分が高揚していたため、情けなくも「刺されて」しまった。すると、老婆がしめたとばかりにその左手から£20札をチラリと見せ、"Money, please. Give and take!"と。こちらは"No"と繰り返すが、お前は花を貰ったのだから、我々に払う義務があるだろう、言わんばかりにまた早口で喋りまくし立て、こちらに近づいた。若い女はそれに呼応し、逃げられまいと他の群集との壁をつくる。
これで冷静な判断が出来なくなった自分は、愚かにも、£10札2枚を出した。出した時点で、老婆はそれを毟り取り、拳に握り締めた。ただここで手を緩めるような相手ではない。"Pay £20 bill, please. Money, please, money!!"ここで再び、"No"と抵抗すると、役立たずな野郎、と言わんばかりの態度で、フッ、と嘲り、国会のある方へと足早に立ち去った。この出来事の前に撮った写真と、直後に撮った写真との時間差は、僅か5分。
これがあるから、海外になんか行きたくなかった、と頭の中で愚痴るも、ホテルに取って返した自分は、ラッセルスクエア横の公衆電話から、在ロンドン総領事館へ連絡した。事前に入手した犯罪マニュアルにおいて、何かあったら在外公館へ連絡するように、との指示があったためである。
総領事館との電話がつながり、館員に事の顛末を話した。すると、今回のような事案については「自分から金を出した以上は、たとえ警察に通報したとしても、罪に問えない」とのことであった。路上では当然、クーリングオフなんてものは無い。説明の後、事案として記録するとのことで、氏名と旅券番号を伝えた。その後、さらに滞在中についての注意を受けた。
・パスポート・財布等を安易に出さない
・なれなれしく近づく相手・集団には関わらない
・移動中は、周囲にすぐに助けを呼べる場所に(路地裏などに入らない・夜間の外出を控える、など)
その上で、今後の滞在中においても、くれぐれも気をつけるようにとの念を押され、報告は終了した。また、この事については、家族にも、自らの(身体的な意味での)無事を伝えるとともに連絡した。
今回の事案は、海外旅行でよく日本人が引っかかるものである。ただ事前に犯罪対策のマニュアルを入手して読んでいたとしても、自分が海外渡航というものをどこかでなめていて、その結果、このような事になったのだと、後悔してならない。イギリスが日本より犯罪が多い、こんな手口があるということをいくら得ていても、「自分は大丈夫だろう」という油断・驕りをもっていれば、簡単に引っかかってしまうものだということを、取られた金額以上に、非常に痛感した。これは、「振り込め詐欺」について、様々な手口を報道で知っておきながらも引っかかってしまうことと、全く同等であると感じる。なお、酷く後悔する被害者に対し、相手は金がすべてであり、金を搾取すること意外に興味は無く、当然、被害者の精神的・肉体的苦痛など微塵も考えていない。
ハワイのレイ、エジプトのラクダ・ロバ、今回のような花売り、…。すべて、物を渡すか体験させた後、金品を要求するものである。海外旅行を、日本国内での旅行と同じものだと考えず、観光地で楽しんでいる間であっても、集団で行動している間であっても、常に周囲に気を付ける事を何よりも強く、強く勧めたい。
◎海外渡航をする際、必ず、外務省のサイト(各国情報など)や海外安全情報、および安全対策マニュアルを一読しておくことを勧めたい。また、最新の現地情報については、渡航先の在外公館のサイトを合わせて参照すると良い。なお、それらの情報を知識としてもつだけでなく、実際に被害に遭わないためにも、現地では主意への注意を怠らないよう勧めたい。
帰国後、北海道のある高校の学生集団が、ロサンゼルス空港の免税店にて万引きするという事案が報道された。インターネットの発達とともに簡単に情報・モノが手に入る一方、外国においても日本と同じであると錯覚している人が多くなっているように感じる。海外で犯した犯罪が、日本と同じ程度の罰で済むと思っていてはいけない。また、海外では宗教上・慣習上で日本と異なる面もある。少なくとも、他国民を侮辱する行動は慎みたい。
○関連サイト
・外務省(渡航情報、各国・地域情勢、在外公館)
・外務省 海外安全ホームページ
・在英国日本国大使館(イギリスにおける情報)
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