goo blog サービス終了のお知らせ 

T.Shimada's Diary

日々の話題、過去の話題から。

福鉄電車のこと(3) - 140形電車

2006年10月07日 20時23分55秒 | 福鉄電車


(上:福井鉄道140形モハ141-1、下:モハ141-2)

 特集も3回目。今回は、福井鉄道140形電車について書いていこうと思う。

 140形電車は、車両が前後で異なる変わった電車で、それぞれの出身が違う。また、3編成あった車両のうち、現在ある141号と存在しない142号は同じ形状だったものの、143号についてはこれまた違った特徴があった。

 それらの車両のうち、モハ141-1・142-1(武生方面側、パンタグラフ付き)は、1941(昭和16)年製造の長野電鉄300形だった。福井鉄道には1978(昭和53)年に譲り渡され、側面の扉位置、車内座席の交換などの改造工事を経て、現在の形となったという。

 一方、モハ141-2・142-2および143-2(福井方面側)は、1931(昭和6)年製造の知多鉄道デハ910形(のち名古屋鉄道瀬戸線モ900形)だった。福井鉄道には1978(昭和53)年に譲り渡され、扉位置の改造などの工事を受けた。

 また、現存していないモハ143-1は、元々1929年(昭和4)年に鯖浦(せいほ)電気鉄道が製造したデハ10形だったという。のちに福鉄鯖浦線となったときにモハ40形となり、そのうち唯一車体を換えた42号が、車体延長の改造を受け143号の片方となった。なお143号のみ、車体の形状は統一されており、前後部の正面窓が他の141・142号と異なっていた。


 古い電車であり、車内は木製の床になっていた。背もたれが前後に転換できるシートがあるのも、この電車の特徴だ。また、運転時には古い電車ながらの独特のモータ音を響かせ、他の電車より若干スピードが遅いながらも重厚な感じを受けた。

 昔はいつでも乗ることのできる電車だったものの、600・610形の登場で2編成が無くなり、141号の1編成が残るのみとなってしまった。通勤・通学時間帯の臨時急行として、または夕方の普通・急行としてたまに乗ることはあったものの、そうお目にかかれる電車ではなかった。冷房が無いので夏場は扇風機が回っていた一方、冬場は暖房が無く、朝の臨時急行でガタガタ震えながら席に座っていたこともあった。それでも、この電車に乗れた時は、歴史を感じさせる内装とその走りにいつも満足していた。



 そんな140形電車も、今年の10月14・15日にさよなら運転が行われ、引退することになっている。「旧型」と呼ばれていたグループは、今回をもって福武線から姿を消すことになる。人気の高い電車だったので、おそらく各地から多くの鉄道ファンが撮影に来るだろう。武生新~神明の限られた区間の運行となるが、せめて有終の美を飾れるよう、願いたい。

関連HP:福井鉄道(http://www.fukutetsu.jp/


-----
 なお余談だが、福井鉄道には現在の140形以前に、全く別の車両で構成された140形が存在していたという。当時はモハ140-クハ140の組み合わせで2編成(141・142号)が存在していた。このうちモハ141・142(武生方面側、パンタグラフ付き)は、1927(昭和2)年に製造された名古屋鉄道モ700形であった。また、クハ141・142は同社の瀬戸線ク2200形であったという。これらの車両は、1964(昭和39)年に福井鉄道に譲り渡され、1978(昭和53)年に廃車となっている。それと入れ替わり、現在の140形が運行された。
-----

○今回取り上げました140形電車については、他のサイトでも多く取り上げられています。ここではそのうち、本記事からトラックバックしましたWeblogをご紹介します(本記事へTBを頂いておりますサイト様につきましては、TB記事のURLを省略してあります)。

・慌てん坊将軍の回想列車が通ります ->初代140形の記事
 http://blogs.yahoo.co.jp/d19756236/22695901.html?p=9&pm=l
・【鉄道写真・撮り歩る記】 ->141~143号の記事
 http://blog.goo.ne.jp/asakichi0325/e/e8e7bf0a7c74aef142f6f8b8713c2459
・Simplex's memo ->今年の鉄道イベントについての記事(TBあり)


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBありがとうございました (慌てん坊将軍)
2006-10-08 12:33:41
またのご来訪そしてTBありがとうございました。おかげで福鉄の140形のことが良く分かりました。私が出した写真は先代の140だったのですね。代が変わっても製造年代がそれほど差がないのですか。また今も残る141もやはり先代に習ってか違った出自のものをペアリングしているというのが面白いですね。そして特に元長電300だったという141-1の顔は往年の国鉄クモハ14を彷彿とさせます。140という数字にそんな意味がこめられていると見るのは勝手な連想でしょうかね?
返信する
コメントありがとうございます (T.S(管理人))
2006-10-09 01:00:52
 さっそくのコメントありがとうございます。

 私個人としては、福鉄電車の中でも特に「昔の電車」の雰囲気を味わえる車両として、お気に入りでした。



>私が出した写真は先代の140だったのですね。

 私自身、初代140形の存在はつい最近、現140形のことを調べていたときに知りました。名鉄関係からも僅かな情報しか得られなかった中で、慌てん坊将軍様の写真は貴重な資料となりました。



>代が変わっても製造年代がそれほど差がないのですか。

>また今も残る141もやはり先代に習ってか違った出自のものをペアリングしているというのが面白いですね。

 資料を見返してみると、確かに使用された車両の年代の近さや、異なる車両同士の連結という共通点、が見られますね。またどちらも元名鉄の車両が入っている、というのも共通点でしょう。



>そして特に元長電300だったという141-1の顔は往年の国鉄クモハ14を彷彿とさせます。

 さっそくウェブ検索で調べ、見比べました。結構似ている部分がありますね。



 旧型電車は新型にない、様々な面白みがありますね。また色々と調べてみようという気になりました。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。