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詩と物語を紡ぎます

こたつねこ

2017-12-13 12:30:00 | daily tsukasa
   こたつねこ


ねえ姉御、【こたつねこ】ってどんな猫なんでしょうねぇ? とマカロンくんは喉を鳴らした。


まあ、あんたずいぶん珍しい『言葉』を知ってるじゃない、とシュガーさんが眼を細める。


ああ、もう何年経つだろうね。あたしがこんな(とシュガーさんは前脚を振ってみせた)ちっちゃい子猫の頃さ。最初の下僕は気のいい年寄りだったんだけど、このヒトがまさに【こたつねこ】と暮らしていたのさ。

えぇ? どんなだったんです?

まるで虎みたいに大きくてね、ちょっと睨まれただけでちびっちゃいそうになったもんだった。ところが見た目に違って優しい方でね、初めて知る冬の寒さに震えていたあたしをお腹に抱いてくれたのさ。【ふっかふか】のお腹の奥に包まれたと思ったら、そう、今日のお天道様みたいにさ、【ぬっくぬく】なんだよ。

【ふっかふか】【ぬっくぬく】……あぁ、なんて蠱惑的な響きなんだろう、うっとり。どんなお姿だったのか、見てみたかったなあ。

つかさ、あんた絵は描けないの? かくかくしかじか、ぱいぽぱいぽの、ぽんぽこぴー、てな感じなんだがねえ。

わたしは絵心のカケラもないのに、かくかくしかじか、ぱいぽぱいぽの、ぽんぽこぴー、と手が動き、絵を仕上げていた。【こたつねこ】に導かれた、かのように。


ああ懐かしい、【こたつねこ】、うるうる。

素敵な、お姿、【こたつねこ】、どきどき。

にゃあー。

にゃあー。


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2017/12/13
12:30 pm
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