サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

映画『ライトニング・イン・ア・ボトル』

2005年04月30日 02時03分32秒 | 洋楽
渋谷シネマライズで今日までということで、
観てきました、映画『ライトニング・イン・ア・ボトル』!!

ブルースがW.C.ハンディによって初めて楽譜化されてから2003年が、
100年目ということでアメリカでは国をあげてのブルースイヤーを展開。
(ちょっとこじつけのような気もしますが・・・)
その幕開けを告げたのが、
この映画のもとになったコンサート「サルート・トゥ・ザ・ブルース」で、
2003年2月7日にNYのラジオ・シティ・ミュージック・ホールで総勢50名を超える
一流ミュージシャンによって「ブルース」が壮大に奏でられました。

その模様を収めたのがこの映画『ライトニング・イン・ア・ボトル』。
ただ単に収めるのではなく、リハーサルの様子や楽屋での様子、
更にインタビューやアーカイヴ映像を盛り込んで構成されています。
秀逸なのが、その映像の組み立て方で、最初にアフリカの曲から始まり、
戦前ブルース~エレクトリック化、更にはチャック・Dによるヒップホップまで、
この映画を観ただけでブルースの歴史が俯瞰出来るというもの。

ただ単純にアーティストごとに素晴らしいアクトが収められているので、
それだけでも必見ですが、私が一番ぐっときたのが、
バディ・ガイがジミ・ヘンドリックスとの出会いについて語った時のもの。
(バディは、レッドハウスとヴードゥーチャイルドを演奏、
 映画ではその他に二曲。計四曲と大活躍でした。)
その話とともに当時の映像が流れたのですが、
なんとそれはバディのライブの模様を客席でジミが凝視している映像で、
いかにジミがバディの影響を受けたかがよく分かるもの。
それにしてもこんな映像見たことない!
徐々にジミのライブ映像は発掘されているものの、
客席にいるジミは見たことない。
嬉しそうにバディの激しいアクションに見入っている。
う~ん、これだけでもこの映画凄い。

って、ライブと関係ないとこでぐっときてますが、
ライブではやはり大トリを飾ったB.B.キングでしょう。
スイート・リトル・シックスティーンを演奏するのですが、
そのライブ前に語った思い出が非常にいい話で、
それと相まっていつも聞いている曲が数倍良く聞こえました。

話は脱線しますが、97年頃にB.B.を知りそして好きになって以来、
ずっと見たいみたいと思っているのですが、未だに日本に来てくれません。
一年の内300日以上のライブ生活を何年も続けているらしいのだが、
そろそろ日本にも来てくれないかなぁ。
一度ライブへ行ったことのある先輩の話を聞いたところ、
一発目のチョーキングでちびった(失礼・・・)ということだった。
きっと嘘じゃないだろうなぁ。
あぁ!貴方に会いたいです!B.B.!

その他にとっても良かったのが、ビリーホリデイの「奇妙な果実」を
歌ったインディア・アリー。初めてこの歌手を見たのですが、
非常に重たい歌詞を、それに埋もれないで透明感溢れる声で歌い上げる。
その姿に思わず感動してしまいました。
バックバンドにドクタージョンやあのザ・バンドのドラマー、レヴォン・ヘルムの姿も。
ケブ・モもあちこちで活躍しているし、カントリー界の才女アリソン・クラウスの
姿も見ることが出来る。ブルースファンのみならず、ロックファン他、
さまざまな人にお勧め出来る映画です。
でも一番見てほしいのは、ブルースを聴いたことない人ですかね。
(ありきたりですが・・・)

残念ながら渋谷での上映は終わってしまいましたが、
全国順次上映予定ということですし、きっとDVD化もされると思うので、
見逃した方も是非ごらん下さい!

映画の公式HPはコチラ

串田アキラ/爆発するソウル

2005年04月28日 03時13分00秒 | 邦楽
つい先日ぼ~と深夜番組を見ていました。
その内容は来たる国民陪審員制度の為に、ある事例についてどっちがいいか
判決を下すというもので、ある事例というのがどうでもいい事例なんですが、
そんな感じのバラエティ番組をなんとな~く見ていました。

しかしその歌が聞こえてきた瞬間、
「コ!コレは!」という具合に我にかえってしまいました!
その対決は富士サファリパークのテーマ曲とヨドバシカメラのテーマ曲の
どちらが一番有名かというような、全くどっちでもいい対決だったんですが(笑)
なんと本人が出演されているではないですか!
しかも本人の歌唱付き!
初めてお姿を拝見しましたが、
今なおパワフルでソウルフルな歌声は全くもって素晴らしい!

となんで富士サファリパークでそんなに興奮しているのかというと、
いやいや決して近すぎちゃってどうしようってなことに
びっくりしている訳ではございません。
なんてったって「串田アキラ」ですよ。

この方1969年にデビューした知る人ぞ知る大物(?)ソウルシンガーなんです。
ソフトロックとしての再評価も高いNHKの番組「ステージ101」に
レギュラー出演していたこともあって知っている人もいらっしゃるかも知れません
(勿論私は見たことないですが・・・)。
しかしそれよりも現在はソウル歌謡としてのカルトな評価の高い方なんです。
1994年に「幻の名盤解放歌集」シリーズの一枚として発売されていたのですが、
すぐに廃盤になっていたようで私も耳にすることが出来ませんでした。
(オリジナルのアナログは高くて手が出ません、というか見たことないです)
それが今年に入り不死鳥の様によみがえるがごとく(笑)、
再び「幻の名盤解放歌集BOX」が発売!思い切って買ってしまいました!
そして聞きました!串田アキラ!恰好良いです!
思いっきりアクが強いですが、それが病みつきになるような、
噛めば噛むほど美味しいスルメの様な歌声(笑)
(上の写真は70年発売の1stアルバム)

R&Bバンドで地道な活動をしていて1969年デビューに至ったとらしいですが、
まずこの1969年にR&Bシンガーとしてデビューしたというのが凄い。
当時はGSかフォークかジャックスやパワーハウスのような
GSとも違うグループか或いは演歌歌手といったように
男性歌手の場合ある程度ジャンルが区切られていた時代にである。
R&Bを志向する歌手はいたものの、あの尾崎紀世彦だって
元々はGSのワンダースだったし、桑名正博だってファニカンだった。
それをはなからソロでR&Bシンガーとしてというのは、
なかなか異例だったのでは?と思うし、それだけの実力者だったことが
うかがえるというもの。う~ん、凄い!
しかし!当時は本人のアクが強すぎたのか、はたまた曲が悪かったのか、

(ちなみに一枚目のシングルは「からっぽの世界/サムじいさん」、
 二枚目は「あやまち/しあわせの限界」
 三枚目は「めざめ/はてしなき旅」
 四枚目は「生きる限界/純愛の唄」・・・という具合。
 タイトルからして空虚感や暗い感じが・・・時代もあるとは思いますが、重い。)

あまりヒットせずに80年以降はアニメ歌手としての活路を見出し今に至るというわけですが、その歌はあくまでソウルフルだし、ジャケットもイカしている。「からっぽの世界」だってムスタングサリーみたいな感じでいいし、他の曲もブラスなどが入っていて今の若い人に受けるのも分かる。グルーヴィーなんである。しかし何で今になってカルトな人気があるのかなぁと考えてみると、やっぱりどこか暗い感じがするからなんじゃないのかなぁと思う。ヒット街道を歩いていないその影みたいなものに、ちょっと共感してしまうのかも知れない。いや単にマニアックなだけかな(笑)

ちなみに本人の公式HPのディスコグラフィーに、
「これはチガ~ウ!」というコーナーがあり、そこにはこんなことが(笑)
>●「伯方の塩」は歌っていません!
>● 「ダイナミック、ダイクマ~」も歌っていません!
>● ついでに、「ボルテイジ」にはいないぞ!!

是非一度公式HP覗いて見てください!
そして機会があれば、ソウル歌謡時代のものも聞いてみて下さい!

これだけ書いてきたけど、CMで流れてくる歌声は、
松●し●るか、はたまた串田氏のものか区別がつかないときがあります(笑)

串田アキラ氏の公式HP

フリー/トンズ・オブ・ソブス

2005年04月20日 22時26分37秒 | 洋楽
フリーの偉大なるベーシスト、アンディ・フレイザーが死亡したという説が、
最近まことしやかにささやかれていたが、どうやらそれは杞憂に終わったらしい。
死亡説否定の記事
またボーカリストのポール・ロジャースは、フレディー・マーキュリーの後釜として
あのクイーンに加入。ツアーを行い話題をよんでいる。
デビュー作「トンズ・オブ・ソブス」が1969年から35年もの月日が経とうというのに、
まだまだ話が尽きない”フリー”。
そんな彼らの記念すべき一作目を今回はとりあげてみよう。

彼らがデビューした1969年の英国というのは、
その前年のサマー・オブ・ラブやクリームとジミ・ヘンドリックス・ヘクスペリエンスの
二大バンドがロックの可能性という扉を大きく開けたことを受けて、
サイケデリックやブルース、R&B、トラッドなどが
絶妙に混ざり合った正しく百花繚乱といった様相を呈していた。

そんな中で産声をあげた彼らは、ブルースを基本に持ちながらも、
それだけに収まらない曲のバラエティさと歌心と熱い魂をもったグループだった。
それはこの一作目を聞いていただければ分かるだろう。
そもそも「フリー/FREE」という名前は、ブリティッシュ・ブルースの父、
アレクシス・コーナーが名付け親だというのは有名な話であるが、
アンディ・フレイザーがコーナーの娘と付き合っていたからというのは
あまり知られていない。

彼らは同時代のバンドマンたちよりも若い。当時のバンドマンが、
ベビーブーム世代(1945~47年辺り)やそれよりもっと前から活躍していた
年代が中心であったのに対し、ボーカルのポール・ロジャースが1949年、
ギターのポール・コゾフが1950年、ベースのアンディ・フレイザーが1952年、
ドラマーのサイモン・カークが1949年と20歳にいくかいかないかというくらいの
若者たちである。あまりこの点は語られないが、そんな若者たちがシーンで
のし上がって行く上で、アレクシス・コーナーの後ろ盾というものが
大きくものをいっていたのは想像に難くない。

さてそのアレクシク・コーナーも認めたそのサウンドは、今聞いても実に恰好良い。
一聴するとこのアルバム、暗い。でもポール・コゾフのギターの切れ味といったら
ないし、ポール・ロジャースは今につながる評価の素晴らしいブルース・フィーリング
あふれる歌声を早くもデビューアルバムで惜しげもなく披露している。

ことさらに特徴的なのが、ベースとドラムのリズム隊。
ベースとドラムの音数が非常に少ないのだ。
時代は1969年。クリームのジャック・ブル-スのブリブリ・ゴリゴリした
ソロもはれるベースや、ジンジャー・ベイカーのタムタムを多用した手数の
多い-ソロで30分も叩く-ドラムとは極致にあるリズム隊である。
バンドを経験したことのある人なら分かるかも知れないが、
音数が少ないということは、隙が出来てしまうことで非常に難しい。
そこを彼らは音数が少ないながらも歌心のあるベースラインと
印象的なドラムの使い方、更にこれが一番重要なのだが、
バンドがノリにのっていたことをあらわすグルーヴでもって埋めていたのである。
仮に今、腕に覚えのある人を集めてスコア通りフリーの曲を演奏しても、
全く似て非なるものになってしまうだろう。

このアルバムは、その後のライブレパートリーとして重要な「Walk In My Shadow」や
「I’m A Mover」「The Hunter」などがはいっているし、彼らとしては珍しい
カバーソング「Goin' Down Slow」が収められている。更には一曲目とラストを
「Over The Green Hills」part1とpart2に分けることによって、統一感を出すことに
成功している。
しかし彼らが世界的な成功を収めるにはまだしばらく時間を要するのである・・・

と能書きをたれてきたが、「Goin'Down Slow」の出だしのポール・コゾフの
チョーキングを聞けば良い。なぜ彼らがこの8分にもわたるブルースカバーを
収めたのかが分かる素晴らしい演奏である。

そんな私は彼のチョーキング一音目でいつもノックアウトされてしまうのであった。

Juan De La Cruz/Himig Natin

2005年04月19日 22時01分20秒 | 邦楽
フィリピンのニューロックバンドの1973年のセカンドにして、
70年代最高のヘヴィー・ニューロックアルバム。
私のブログのカテコリーでは、「邦楽」。
何故かというとドラマーが、ジョーイ・スミスだから。

ジョーイ・スミスの名前だけで、
ピンときた貴方はなかなかのニューロック通。
そう日本のバンドの中でもとりわけ強烈に”ドラッグ”の
イメージがつきまとう、「スピード・グルー&シンキ」。
そのドラマーがジョーイ・スミスなのである。

その彼が母国、フィリピンに帰国した際に参加したバンドが「Juan De La Cruz」。
ジョーイが参加していないファーストでは、オルガンやサックスが加わった、
同時代のサイケデリックなR&Bバンドという趣きだったのが、
このセカンドではギター、ベース、ドラムと最小限のトリオ編成に。
それにともないサウンドも無駄な装飾を排したブルースを基本にした
ハードロックサウンドに。

そもそもジョーイがどのような経緯で加部”ルイズルイス”正義と
陳信輝とともにS,G&Sを組むようになったのか分からないのだが、
このバンドでは、S.G&Sの正しく延長線の、それでいてその線をさらに
ぶっとくしたような強烈なサウンドを聞くことが出来る。
S,G&Sがわずか2枚しかアルバムを残していないので、
その影を追いたい人には彼らのこのアルバムはとっておきだろう。

歌詞が基本的に英語なので、フィリピンのバンドと言われても違和感はない。
むしろアジアの辺境の国でこのようなサウンドが生まれていたことすら、
あなたは微塵も感じないであろう。
S,G&Sの2ndで演奏されていた「Wanna Take You Home」のよりヘヴィーな再演、
ブルースソング「Blues Train」やロックン・ロールなどの
隙のないそれでいてルーズでアシッドでハードな曲の数々は、
同時代のアートロック、ニューロック、ヘヴィーロックバンドとも全くひけをとらない。
その様は「世界に我ら、Juan De La Cruzあり!」と
高らかに宣言しているようでもある。

マニアの間ではオリジナルのLPが、それこそ数十万で取引されていたらしいが、
最近になってフィリピンでCD化され、それがようやく国内にも出回り始めた。
まだまだ手に入りにくい状態だが、
店頭で見かけた方は是非手にとっていただきたい。

アルバムの一曲目(「Take Your Home」)でこれほどテンションのあがる曲も
そうそうない。素晴らしいロック・アルバムである。

DMBQ/The Essential Sounds from the Far East

2005年04月18日 02時05分29秒 | 邦楽
新宿のディスクユニオンで、
DMBQのカナダでリリースされた(!)輸入盤を見つけ、
思わずそのままレジへ持っていってしまった。

そのくらいは私は彼らが好きだ。
今でも彼らのミニアルバム『I Know Your Sweet』は、
90年代最後のそして最高のロックアルバムだと思っているほどだ。

で、このカナダ盤の新作『The Essential Sounds from the Far East』である。
ファンということを置いておいて、客観的に見ても彼らのアルバムは
常に高水準でハズレはないと思っているのだが、
今回のアルバムも間違いない、いやそれ以上の期待を上回る傑作である。

ロックの基本でいて、それこそが全てといっても過言ではない「リフ」。
 (リフ=リフレイン、繰り返し、曲の印象を決定付けるテーマともいえる。
  ロックの名曲たちを思い浮かべてみよう!
  全ては強力なリフで出来上がっている!)
彼らは頑なまでに、リフミュージックである。
それも弦楽器隊全員でゴリ押しでリフを奏でる。
そこにブルースを基調としながらも妖しくも美しい旋律、
かつサイケなフレーズを奏でる松居徹氏のギターが絡みつく。
これが最高に恰好良い!!これぞカタルシス・ミュージック!
今回もこれでもかとヘヴィーなリフが全編をつらぬく!

長らくドラマーの座に座っていたよっちゃん(椎名林檎嬢の発育ステータスにも
参加したことで知られる日本の最高の女性ドラマーの一人)に変わり、
Chinaさんが加入。久しくライブに足を運んでいないので、
まだ見たことがないのだけど、CDを聞く分にはかなりの手練である。
そうとう癖のあるフロント男性陣三人を相手に、手数の多いドラムで応酬。
よっちゃんとはタイプが異なるものの、Chainaさんも相当な女性ドラマーである。

レッド・ツェッペリンやブラック・サバス、ブルーチアーやキング・クリムゾンといった
ハードロック/ヘヴィーロック、ニューロックサウンドが好きな人には絶対お勧め!
日本の最近のバンドだと、ゆら帝やボリス、マーブルシープやデキシードザエモンズ
などが好きな人にも是非聞いて頂きたい。

爬虫類的なパフォーマンスで有名なギターの松居徹氏は、
ゆらゆら帝国の坂本氏と美大時代の同級生で共演も多い。
リーダーの増子真二氏は、怒髪天の増子氏の弟でもある。
色々なつながりで聞いてみるのも面白い。

いわゆる典型的なハードロックから、歌もの、ブロークンブルース、
はたまた数十分のプログレ大作、更には音響系へのアプローチも試みる、
一見ちぐはぐなイメージだが、それをメンバーの強力な個性と演奏力でもって
説得力あるまさしく彼らしか生み出せない「DMBQサウンド」を作り出す、
私の音楽人生を決定的に変えた最高のロックバンドである。

とりあえず貴方がロックとは何か知りたければ、
彼らのライブへ行くことをお勧めする!
彼らのライブパフォーマンスは一回は経験するべし!


訃報:高田渡氏・・・

2005年04月17日 00時56分17秒 | 邦楽
つい先日、高田渡氏が倒れたことをブログでも書きましたが、
なんと残念ながら亡くなられてしまったようです・・・

なんと言ったら良いのか、本当に今、心がぽっかりしています。
お姿は直接拝見したことがあるのですが、
ライブを見たことがなく、永遠にみることが出来なくなってしまった今、
非常に残念です。一回でも生で歌を聞きたかった。

朴訥とした歌い方の中に鋭い風刺を織り込み、
その憎めない性格で多くの仲間、ファンに慕われた方だったと思います。

ご自身が亡くなられても、「音」はいつまでも残ります。
高田氏の記憶と共に。

ご冥福をお祈りいたします。合掌・・・

タカダワタル的・HP

MAD3(マッド3)/KING PYRAMID SPECIAL

2005年04月16日 02時25分18秒 | 邦楽
音源を発表するたびにそれを手に取った人達を、
ライブをやるたびにそこに足を運んだ人達を、
確実にマッドクルーへと変え、
今もロックンロールキングダムの建設へ勤しむ
偉大なロックンロールバンド、MAD3!!

その彼らが自主レーベル、その名も「ロックンロールキングダム」を
立ち上げ、そこから年末に一枚のシングルを発表した。
私は遅まきながら、そのCDをやっと最近手に入れたのだが、
これが本当の本当に格好いい!!

全身革ジャンやグレッチのギターなどの出で立ちから
連想されるサウンドそのままに、今まで
パンクやガレージやロックンロール、ロカビリー方面に人気のあった彼らだが
おそらくもともとの幅広い音楽性が徐々に滲み出し、
本作ではプログレッシブ・ハード・ロックンロールともいうべき
新たなサウンドを獲得している。

「IT"MATT"」と「KING PYRAMID SPECIAL」の二曲で13分。
特に二曲目は8分30秒近くもある、ある意味キラーチューン。
轟音ファズが暴れまくり、ベースもうねうねうねりまくり、
ドラムは甲高いスネアを矢継ぎ早に繰り出す・・・
これぞロック!!格好いい!!!

これまでのパンクやガレージ系のファンはどう思っているか分からないけど、
70年前後のへヴィーなロックが好きな人は絶対好きだと思う。
今まで聞かずじまいだった方にも聞いてほしい、新生MAD3。
このシングル、体裁自体がもうサイケ。写真の通り、三角の特殊ジャケ仕様。
三角といったらやっぱり、The 13th Floor Elevatorsを彷彿とさせます。

あなたもロックンロールキングダムの建設に参加してみては?

MAD3 公式HP

高田渡氏、倒れる!

2005年04月15日 01時37分13秒 | 邦楽
なんとフォークシンガー&ブルーズマンであり、
日本の生ける伝説であるあの高田渡氏が、
北海道の地で倒れてしまったという情報が!!

今は彼の地で療養中らしいのだが、大丈夫だろうか。
ファンは無事カムバックを祈るばかりである。

そんな高田渡氏を奇跡的にフィルムに収めた
映画『タカダワタル的』が吉祥寺バウスシアターでの
凱旋上映が決定したようです(4/30~)!!

中川イサトや息子高田漣やシバといった旧知の面子に囲まれ、
春一番や吉祥寺でのライブやいせや(焼き鳥美味しいですよね)での模様や
自宅で酒を飲みながら寝てしまう可愛らしい様子などを収めた必見のこの映画。
以前新宿で上映されていましたが見逃した方も多いはず。
渡氏を励ます為にも見逃しは厳禁です!

それに加え、この映画の二枚組みのサントラが
500枚限定のシリアルナンバー入り特別仕様で販売されるようです。
こちらも以前から発売されていましたが、
この特別仕様も500枚限定ということもあり、ファンは要チェックです!

とにかく、わたるさん頑張れ!!

ゆらゆら帝国・速報!

2005年04月14日 01時37分25秒 | 邦楽
5月18日にいよいよ発売のゆらゆら帝国のニューアルバム、
「SWEET SPOT」ですが、私を含め皆さんも気になる特典が決まったようです!

詳細はまだはっきり決まってないですけど、
どうやら「バッジ」が付くそうです!

各CDショップでデザインが違うようですが、
どうなるんでしょう?

それから待望のレコ発ライブも決まったようで!
5月以降が楽しみですね!

大上留利子とスターキングデリシャス

2005年04月09日 13時22分46秒 | 邦楽
ほぼ現在では忘れ去られてしまっているバンドがいる。
非常に残念だが、70年代に関西で活躍したスターキングデリシャスもその一つである。
90年代にVIVIDからCD化もされていたが、今は惜しくも廃盤である。

そのスタキンであるが、上田正樹とサウス・トウ・サウスや
ウエストロードブルースバンド、紫を輩出した関西のバンドの
登竜門ともいうべきロックフェスティバル「8・8 ROCK DAY」(通称8・8=ハチハチ)
出身。1975年の8・8で観衆の度肝を抜き一躍有名に。

ちなみにこの年の8・8は、今振り返ってももの凄いメンツばかり。
山岸潤士スーパーグループは、ソー・バット・レビューに発展。
紫は、1975年の台風の目としておそれられた沖縄のハードロックグループだ。
他にあの「飛んで、飛んで・・・」と歌った円広志が在籍していたZOOMなどなど。
やはり特に山岸潤士スーパーグループと紫はその後まで名を残す程
特筆すべきバンドであるが、スタキンも彼らに比肩しうるバンドであった。

彼らは1975年の8・8を記録したレコードと唯一のアルバムにして
ライブアルバムのLP、そしてショーボートライブというオムニバスに参加したのみで
非常に音源が少ないのだが
(他の音源をご存知の方がいらっしゃいましたら、ご一報下さい)、
残されている音源が全てライブ音源ということでも分かる通り、
ライブで本領を発揮するもの凄いバンドであった。

サウンドはホーンを加えた11人の大所帯(唯一のLPは10人)のファンクサウンドに
声も体格も(失礼!)まさしくアレサ・フランクリンばりの声の持ち主である
大上留利子のヴォーカルがほえる!極上のR&Bサウンドである。
このノリノリな感じは、関西のノリとR&Bのノリが希有に合わさった奇跡のサウンド!
一曲聞けば、踊りだしてしまうこと間違いなし!!

スカパラなど現在のホーンサウンドが好きな若い方や、
海外のR&Bが好きな方には是非聞いて頂きたい!
日本にもこんなに格好良いR&Bバンドがいたのだ!

しかしスタキンはよくあるメンバーの音楽性の違いから、
(確かに10人もいれば分かる気もするが・・・)
上記の様にアルバム一枚で解散してしまう。
メンバーそれぞれ、音楽の道や自分たちの道を進んだが、
大上留利子はその後ソロ活動に入る。
それはまた次の機会に・・・

マディ・ウルフ・ボ-ブルース界のビッグ3

2005年04月06日 01時36分17秒 | 洋楽
去年は日本でもマーティン・スコセッシ監督のブルース・ムービー・プロジェクト
が公開され『ブルーズ』が注目を浴びた。
また現在は『ライトニング・イン・ア・ボトル』というブルーズ100年を記念して
行われた歴史的なコンサートを収めた映画も公開中である
(エアロスミスやB.B.KING、バディガイらが登場!)。

これからもブルーズは廃れることはないと思うし、
レコードからCD、CDから新たな媒体へと変わりつつも、
次の世代へ引き継がれていくだろう。

その中でも特に異彩を放っているのが、今回紹介するアルバム
『ザ・スーパー・スーパー・ブルーズ・バンド』である。
1967年にチェスレコードで録音されたもので、面子がとにかく凄い。
マディ・ウォーターズにハウリン・ウルフにボ・ディドリー。
いずれもブルースの歴史の中で燦然と輝くスーパースターである。
そのお三方が一同に会して録音を行ったのである。
更にその録音には、ハーモニカにリトル・ウォルター、
ピアノにオーティス・スパン、ギターにヒューバート・サムリン、
そしてベースにはあのジミヘンにも影響を与えたギターで有名なバディ・ガイら
とにかく先の三人だけでなく、バックもとにかく豪華。

この面子での録音は、逆に大丈夫なのか?と思われるかも知れない。
これが想像以上に凄い(笑)
曲はレッド・ルースターやアイ・アム・ア・マンといった
ウルフやマディの代表曲やボの得意なジャングルビート。
そこに強引にアドリブが入る。
それも楽器ではなく言い争いの様なボーカルの掛け合いやうなり声が入る(笑)
更にはボ・ディドリーが当時全く新しい機材であったワウワウを手にして
無邪気にギターを弾くまくる(笑)
なんじゃそりゃな感じであるが、ご想像の通りなんじゃそりゃな録音である。

しかしこれが名盤なのである。
やはりまずは面子。こんな豪華な面子は後にも先にもない。
この時代ならではの組み合わせである。
上で色々書いたが、この面子なので演奏は悪い訳がない。
注目はマディ・ウォーターズとハウリン・ウルフが犬猿の仲だったこと。
なんと聞く側にまでものすごい緊張を強いる。
こんな盤今まで聞いたことがない!
ある意味もの凄い名盤である。

人生のうち一度は聞いておきたい、そんなアルバムである。

フリクションの前身、3/3(さん分のさん)

2005年04月05日 02時41分06秒 | 邦楽
この春いよいよ幻のレア盤、フリクションの1979年のライブ盤がCD化される。
しかもDVD付き。このDVDに何が収められているのかも非常に気になるが、
やはり肝心なのはその内容だろう。
1979年のレック、チコ・ヒゲ、ツネマツマサトシの三人のライブが収められている。
それだけでも単純に聞いてみたいと思う。
未だにアナログ盤では、5ケタもする人気レア盤である。

東京ロッカーズの文脈で語られたり、ノーニューヨークの文脈で語られたり、
パンクで語られたり、あるいはリーダーであるレックについて
取り上げられたりする(余談だが、4月6日発売の『ファインタイム2』という
ニューウェーブを日本のバンドがカバーする企画盤にレックはMARSのカバーで
参加している)フリクションであるが、先のCD化にあわせロック画報で大々的に
特集が組まれているので少しでも興味がある人は手にとって見て頂きたい。
サンプルCDも付いているので(このCDもサンプルの域を超えたレアライブ音源が
収録されています!)、初めての方にもおすすめである。

若い方にとっては、ROSSOに新加入したギターの人が
フリクションの人だというと興味も湧くのではないだろうか。

さてこのように改めて今話題になっているフリクションであるが、
その重要性の割にはその前身バンドである3/3(さん分のさん)については
あまり語られることがない。
というよりも恐らく聞いたことがある人が
圧倒的に少ない幻のレア盤なのだからそれも仕方ないかも知れない。
当時自主アナログ盤で10枚程作られたのみという。
今現在では果たして何枚現存しているのか検討もつかない。
そんな正しく「幻の」という言葉がふさわしい音源を、
私は幸運にも聞く機会を得た。
その時はちょっとだけ聞いただけなので細部迄は覚えていないのだが、
そのちょっとだけでも心に強烈に印象を残す・・・
その音を一言で言えば、

『ジミヘンとブルーチアーを足した様な轟音サイケデリックハードロック』

これがもの凄く格好良いのである!
フリクションの前身バンドとしての重要性や、
70年初頭のニューロックから70年代後半の東京ロッカーズを結ぶ
ミッシングリンクたる重要性(これに関してはSPEEDもあげられる)の方が
はるかに高いと思われるが、この音はもうただ単純に格好良い。
70年代の日本のロックで音盤化されているものの中で間違いなく
最上部に続する、と私は思う。

あの『ed'79 Live』がCD化されるのだ。
3/3も日の目を見ることを祈ろう。

踊れるジャズ

2005年04月03日 21時00分30秒 | 邦楽
今日は久々に何もないゆっくりとした休日。
家でじっくりと音楽を聞く。

シンガーズスリー/ウパネギーニョ
       ↓
ファシネイションズ/ファシネイテッドグルーヴ
       ↓
土岐麻子/STANDARDS on the sofa ~土岐麻子ジャズを歌う~

立て続けにアナログで聞く。

シンガーズスリーはネスカフェのシャバダバで有名な伊集加代が在籍していた
グループで、1970年代にはおそらくありとあらゆるセッションに参加。
ウパネギーニョはボサノヴァの曲で、バックは石川晶など(!)当時のジャズ系
トップスタジオミュージシャンで結成されたフリーダムユニティ。
美声と凄い演奏がせめぎ合うクールな一曲。

ファシネイションズは、これまた各方面で一級で活躍するメンツを
ヴィブラフォンプレイヤーである渡辺雅美が率いるグループ。
レコード番長須永辰夫氏などに称賛され一躍注目。
秋に出た10inch(写真)は、自作曲をピエール・バルーをフューチャーして
リメイクしたグルーヴィーな傑作!

土岐麻子は、シンバルズのボーカルとして有名だが、
最近はポップスやロックの曲をジャズ仕立てでしっとりとして
歌い上げるシリーズが好き者の間で大変好評をよんでいる。
今回はストーンズの曲もカバーした第二弾。

バラバラな三つの共通点は「ジャズ」と「踊」。
最近でこそクラブジャズなどの活況で、
フロアで踊る若者たちがいるものの、
相変わらずジャズって古いし難しそうという方は多い。
しかし1950年代に国民的人気を誇っていたジョージ川口とビッグ4などが、
現代のスカパラの様に、実力で観客たちを踊らせていたように、
ジャズはヒップでグルーヴィーな音楽である。

今はジャズの名門ブルーノートの1500円シリーズなど廉価盤も
沢山出ているので、何かしらで気になったら手にとってみることを
おすすめします。
きっと素敵な音楽が待っていると思いますよ。

さて土岐麻子の父は、知る人ぞ知る日本のジャズ史を代表する
サックス奏者の土岐英史である。
この『STANDARDS on the sofa 』でも彼のプレイが聞ける。
最近は日本のジャズ史の黄金期を築いた方々があまり表舞台に出てこなくて
(皆さんコンサートなどは精力的なようですが)寂しい気がするのだが、
ここで聞くことが出来る土岐氏のサックスはえらく格好良い。
もっともっと皆さんに活躍していただきたいたいものだ。

1969年のエイプリルフール

2005年04月02日 02時37分51秒 | 邦楽
1969年の日本のロックの名盤。
『エイプリルフール』の同名タイトルにして唯一のアルバム。
メンバーは、小坂忠(Vo)菊池英二(g)細野晴臣(b)松本隆(Dr)柳田ヒロ(Ky)
の五人組み。
細野氏と松本氏の二人がいることで、
あの「はっぴいえんど」の前身バンドだとお気付きの方もいるだろう。
そしてメディアも大概がはっぴいえんどの前身扱いである。

しかしそれは大間違い。
むしろ取り上げるなら、日本のロックの分岐点として捉えるべきだ。
後に開花する日本語詩はまだまだ芽生えたばかりの松本氏
(このアルバムのほとんどが英詩)。
まだまだ下手っぴな細野氏と二人のはっぴいえんど組みに対し、
柳田ヒロは、エイプリルフール後はニューロックの旗手として大活躍。
小坂忠は演劇「ヘアー」に出演後フォージョーハーフを結成、
そしてalfaの新興マッシュルームレーベルから傑作ソロ三作を出した後、
大名盤「ほうろう」を発表と、
このエイプリルフールは正に分岐点の役割をしていると言えよう。
(どなたかその後の菊池氏について知っている方がいらっしゃいましたら、
 ご一報下さい。)

更にそれだけではなく内容もいい。
当時アメリカの音楽雑誌にも紹介された(名前失念・・・)というサウンドは、
正に1969年!ファズギターとハモンドオルガンが狂ったように交差する
どろどろのニューロック!ジャケットのようにひたすら暗い感じがするのだけど、
これからの未知なる未来に向かう気概のようなものも感じられる。
細野氏と柳田氏との音楽的相違によってもろくも解散してしまうのだが、
このアルバム制作時には奇跡的にあやうくもバランスのとれた音となっている。
今となっては古い感じもするサウンドコラージュなどもあるのだが、
ブルース一つとっても12小節では簡単に終わらないなど、
何か新しいことをやってやるという実験精神にあふれている。

日本のロックってあんまり・・・という方もいるかと思うが、
これは一度聞いてみて欲しい。

ちなみにこのジャケットは、若き日のアラーキーによるもの。
ここにも未来と格闘する若者の姿があった。

ジャケ、中身とも素晴らしい名盤である。

エイプリル・フール

2005年04月01日 00時00分00秒 | music
あのギターウルフのベースのビリー氏が亡くなった。
心不全だそうだが、まるで笑えないエイプリル・フールである。

新作も好調なYUKIの一歳のお子さんも亡くなったそうである。
幸せ一杯から奈落の底へ。

皆さんも恋人や家族など愛する人のことを
思い浮かべてみれば分かるはず。
とても心が痛くなる。

世の中突然何が起こるか分からない。
だからこそ少しでも悔いのないように
毎日を過ごそうと思う。

いつ死んでもいいようにと言うわけじゃないけれど・・・