第10章「春がきた」

2010年03月31日 | 人生これから日記


2009年3月

やっとの春。
というか、初めての春。

この時期を待って 横浜で植木を仕込んでおいた。
この位置に決めていたミツマタ。
念願の赤がいろいろ探してもなかったので諦めて黄色にしたのだが、
植えた後、結構すぐ赤が見つかって・・・・・隣に植えた。
黄色はどちらかというと和の感じがするけれど
アンティークっぽい色の赤花に惹き付けられる。




自宅から持ってきたブリキの花と引っこ抜いてきたエリゲロンとセダム。
このブリキの花は津久井のRUSTIC GOLDというジャンク雑貨を置いてあるお店で購入した物だけど、
新品でもここに挿して置いたら 普通にジャンクになるよね。

エリゲロン。
これはずっとエバンゲリオンと覚えていた。
セダム。
これは多肉の種類で 後々勢力を伸ばしていく。



そして鉛筆ほどの白樺を3株買った。
この写真では見えないほど細いね。
この時にはこの細いのしかなく、苗はこんなものかと思ったが
これも後からもっと大きいのが売りに出ていた。
買い急ぐもんじゃないなあ~と思った。
あせってもいい事はない。
今回も学習。

そして今年の作業がまた始まる。



早速 伐採から。
花壇や屋根を作ってからでは切れなくなるので
今の内に倒れかかっていたり、枯れているのは切っておく。

狙いを定めて
            ドドーン





松の丸太はまっすぐな部分は出来るだけ長く切って取っておく。
厄介なのは葉の部分で、1本倒すごとに一山出来てしまう。
あと何本切るのか・・・。


途中で他の木に引っかかってしまい、その木が犠牲になることもある。

でもだいぶ空が見えて明るくなった。
そうそう、始めの頃を考えたら・・・。


Uー「ほんと、何だって何にもないじゃないか。
    道路ばっかり作ってどうするのさ」



作業が終わったら、あらためて植えるんだ。
奥のほうから小屋を作ってきて、出来たらそこまでの道路を封鎖し
念願の白樺をたくさん植えるんだよ。

いいかい、U-よ イメージだよ。
頭の中で出来上がりの青写真を作り
そこに向かって作り上げていくんだよ。

これは負け惜しみじゃなくってね。




これからの作業を考えながら
後ろ髪を引かれつつ、仕事場に帰る。
今度来る時は・・・・・



第11章に続く




第9章「信州の冬」

2010年03月29日 | 人生これから日記
あれ?どこに入ってるんだ?倉庫だよ、ここは。

U-を探していたらこんなところに居た!




2008年大晦日


ひと月に1度くらいしか来れないが
次の作業の段取りを考えて横浜で仕事してるのも張り合いがある。
元気なアラフィフだなあ~。(Yさんはアラ還か?)

ただ悪い癖で 先に先にどんどん走る癖があり
月一が歯がゆく、もっと早くどうにかならないのか!と
気ばかりあせってしまう。

Yさんのお姉さんが
「やっている途中が一番楽しいのよ。
 ゆっくり。ゆっくりやりなさいね。」と言っていた。
その言葉がきっちり脳に入り、何回も自分の中で
「ゆっくり、ゆっくり」と戒めている。

人生まだ半分。時間はまだまだたくさんあるじゃないか。
この場所がなくなる訳ではない。
時間が有るときに、出来る人が出来る事をする。
ゆっくり、ゆっくり考えて作ればいい。

Yさんが言った。
「マグロだね~」と。
姿形のことじゃなくて、泳いで無いと死んでしまうという比喩。
マグロか・・そうか、私はマグロなんだ。
可愛そうに止まったら死んじゃうんだ・・・・
ふーん。

じゃあ、ゆっくりなんて言ってられない!ガツガツ行くぞ!

2008年スタートから5ヶ月



2009年元旦





雪が少ないといわれたこの土地も
うっすらだが雪道になっていた。

雪が少ないということはそれだけ寒いのだそうだ。
案の定 バンビのタンクの水が凍って使い物にならなかった。
水が出ないということはガスも使えない。
お湯が出ないということはお皿が洗えない。
=料理が出来ない。


ゆっくりね、と言ったお姉さんの子供のK君が
一緒に冬を過ごすことになった。
でも泊まる所はテントしかないよ。
ニュージーランドやカナダを旅してきた彼にとって
寝るところは問題ではないらしい。

-7度の所で寝るのだから、いくら高性能の寝袋でも
寒いだろうなあ~と思っていたら、
有るもので工夫しだした。

なんとそれは 開拓の途中で出てきた20センチほどの石を焚き火に入れて
真っ赤になるほど熱し、スコップに乗せてテントに運んでいった。
石が赤いうちは半袖でもいいほどテントの中は暖かいらしい。
遠赤外線効果だね!水をかけたらサウナだねえ。
但し夜中の2時ごろに冷めてしまうので
また焚き火の火をおこし、石が真っ赤になるまで焼き続けていたという。



我々は飲んでゴーゴー寝ていたので
真夜中に彼が一人で火を起こし、長い時間そうしていたことを知らなかった。

恐るべし!Yさんの甥っ子。

 

チェンソー初めての彼は丸太の椅子とテーブルを
丁寧にカットして作っていった。



サークルの周りがいつもドロドロなので石を貼ることにした。
冬にセメントでは固まるのに時間がかかると思い
マサドという砂で、水をかけると固まる性質の簡易的な方法で
石を貼っていったのだが、後々この「簡易的な」はやり直しの対象に。
説明書には「24時間後に硬化」なんて書いてあったが
未だに固まっていないのは?

それからYさんと甥っ子K君は サークルの上に屋根を付けるのに
柱を建てた。



松を切り 皮を剥き 埋め込む穴を掘り しっかりとセメントを流した。



今回はお正月だけれど
食べ物は毎日継ぎ足しの常夜鍋。
最後のほうはどろどろになって 気持ち悪いのになっていた。

こんな時、Kさんがいたらもっと食べ物にありつけたかも。
「おーい」



何年か前、雪中キャンプをしに猪苗代に行った時
そのときも-7度だった。飲んでも飲んでもお酒が効かない。
これはウォッカ飲まなきゃ駄目だね、なんて話していたのを思い出した。
ここの夜もそうだった。完全防寒して焚き火の前で飲んでいると
お湯割があっという間に冷めてしまうし、ビールや食べ物は出して置くと
凍ってしまう。
ビールはバンビの中のさらに箱の中にしまって置くのだが、
出して開けた瞬間に中身がシャカシャカと凍っていく。
ペットボトルの水も外にだしてキャップを開けると
同じようにシャカシャカ凍り始める。
これはおもしろかった。
でもこの厳寒の中でもビールを飲もうとするYさんの方がおもしろい。





帰る頃には雪は溶け 柱は3本。
残りの1本は 春までおあずけに。



K君初作品 テーブル&あるじを待つ椅子




第10章に続く








第8章「冬の前に」

2010年03月28日 | 人生これから日記
2008年12月
作業開始から5ヶ月


今日が今年最後の作業になると思う。


道路が凍ってはトラックでは来れないし
土も動かせなくなる。

Yさんはまたしても、またしても、根っこと格闘
1ヶ月に一度しかこれないのに
この根っこ、一体いくつ有るんだ?
もう無いだろうと土を押してると、ガツっと。
また出た・・・・。
これにまた何時間も格闘。
たぶん今更気がついたことだが、
この2tのバックホーでは大きさを考えても違うのかも。

普通に考えてこういった山の造成等は倍以上のドデカイ重機が動いてるし。
あ~かわいそう!うちのボーヤにこんな無理な事させて!!




ま、あっちのチームはさておいて。
Kさんと私は焚き火の周りに井戸端会議場を作ろうと下地作り。
サークルの形に掘って丸太を椅子兼用階段にする。

円はこんな感じかしら~、どう?
意外と適当なKさん。



使っているのは仕事の在庫や余りのレンガを使うので
色はもちろん、大きさもバラバラ。これが結構辛い。
厚さが違うと一つ一つ掘って仕上がりを揃えなくてはならないのだが
そんな時に出てくるのが また根っこ。
切ってしまえば、と掘るとえらく太い!


いつでも先住民が行く手を阻む。




さて、Kさんの差し入れで糖分を補給。
この作業場に似つかわしくないほど綺麗なタルトを
昼ワインで頂く。
Yさんは昼ビール。
Kさんは午前はtea or coffee。午後はビールやらワインやら。
サクサクのタルトに程よい甘さのカスタード&フルーツ。
Kさん独自の黄金比があるんだろうなあ~。
それにしても、果物が目いっぱいで贅沢だなあ。




来た時は全力で仕事するKさん。
膝や腰がギシギシでも終わるまで止まらない。
(差し入れのケーキだけでもOKなのに)なんて・・・。


暗くなってやっと諦めてお風呂に行く。
最近はずっと望月温泉の「みどりの湯」に入る。
ナトリウム泉、なめるとしょっぱい。かけ流しでもなく加温もしているし
休日が重なり人が多いときはハイター臭いのが・・・。
大衆浴場はしかたないな。
かけ流しの温泉には雨で作業が出来ない日に 足を延ばそう。


この日はKさん&U-&私がバンビにお泊りで
Yさんはトラックの荷台に即席テントを作って寝た。
この頃は夜は2・3℃しかない。

条件が厳しくなる毎に、待ってましたとばかりに
日頃から用意しているサバイバル用品のご登場で、
Yさんは突発性のアクシデントをこよなく喜ぶ変な奴。



焚き火を囲んで飲みながらいろいろな話をした。
仕事に戻れば またいつもの日々。
頑張っても通らないことや不本意に頭を下げることや
当たり前だと心していてもどこかで歪が生じてくる。
心が弱くなることもある。
どこかに逃げたくなることも・・・。

そんな話をした夜。

たくさんの星空の下で。






そして翌朝も、帰る時間まで作業をする。
途中でレンガが足りなくなったので階段だけは仕上げた。
仲間を呼んで ここで火を囲んで飲み明かす。

いい場所が出来たなあ。


第9章に続く






第7章「再び伐採に」

2010年03月26日 | 人生これから日記


2008年11月
内山峠の紅葉も終わりに近づいている。
無事エアストが定位置に納まり、やっと他の作業に移れる。


伐採はまだ終わった訳ではない。
バンビを入れたことで伐採に不便で順番違うでしょ~と思うのだが、
なにせ怖い冬の前に住む所を確保したかったから、仕方ない。

 


松が倒れるとき、地響きと共にすごい音がする。
方向を確認して、必要なときはワイヤーをかけ、重機で引っ張り
念には念を入れて切り倒す。

ご近所さん、怖かったろうなあ~(うちには倒さないでね~!)


伐採の前、テープで残す木に印をつけていた。
松はさようなら、エゴノキ・ヤマボウシ・ホウノキ・桜は残しましょう。
避暑地らしく落葉樹の葉が木陰を作る様を想像し
これもこれもと図っていたら、ジェイソンと化したYさんが
テープを無視して切り倒しまくった!

 

いや、、、ちょっと脚色しすぎた。が、
実際狙いどうりには中々行かず、犠牲になった木が数知れず有った。


バンビの設置場所は1段高いので丸太で土留めをすることに。



1本を1m前後で切る。根元の太いのを使おう、そのほうがかっこいいし。

Yさんが使うチェンソーは60CC。私に貸すチェンソーは35CC。
勿論威力の違い。大きいほうが早いし切れ味がいい。
枝を落とすくらいは小さいほうで良いが、根元の丸太を切るときは
60CCでないと切り落とせない。持つだけで重いが。

実は今までの作業で一番素晴しい成果を見せたのが

名づけてチェンソーダイエット!

何年か前に流行ったお腹につけてブルブルする機械みたいに
持っているだけで、腕や背中や腹筋に効いた。
体重も減ったが 体が締まった。
始めたときより小顔になり、鎖骨にもお目にかかれるようになった。
2008年11月のことだが。(これは回想録なので)

そう、何でも続けないと成果はないの。



このときは装着してないが
チェンソーを使うときは絶対チャップスをつけないと危険。
チャップス=防護衣

前もって基礎を掘って、砕石を敷いておいた所に
1本ずつ選んで並べていく。これが重い!
転がしてるうちはいいのだが、うんしょ!っと持ち上げて掘った位置に落とす時
女にやらせる仕事か?ってほど重い。
よく、全力で走ったときなど「口から心臓が出そう~!」と言うけれど
この時は「下から腸が出そう!」と叫んだ。
まったく・・・下品。


ここでも腐らないように防腐剤を塗る。
環境に良いという商品を買っているが、水棲動物には悪いらしい。
ここはピョン吉がとても多いので、ごめんなさい。
丸太のそばには寄らないように・・・



半分出来た。

今回はここまでで、つぎ来た時に続きをやろう。

秋も短そうだなあ






第8章に続く







第6章「エアストリーム」

2010年03月25日 | 人生これから日記
2008年11月



土を移動し、出てきた根っこを伐根し、砕石を買ってきてダンプする。
Yさんが走ってる間、私が敷き均す。
トラック3台分。
それからしつこいくらい転圧をする。

バンビさまのお寝床だから。



Uー「良くなったよ、ここ。うん、歩きやすいし。
   3ヶ月前には考えられなかったさ!」



ここに来た日はいつも筋肉痛で体がガタガタ、温泉に入ることばかり考えている。
近い所で「みどりの湯」や「牧の湯」や、スーパー銭湯「あぐりの湯」があるが
40分位で別所温泉・鹿教湯温泉にも行ける。
鹿のように傷を癒やしたいなあ・・・


さあ~道路は出来た。
実は倉庫も出来た。



これが~?と思うだろうが 取り敢えず仮設ということで。
取り敢えずが多いような気がするが。
このとりあえずに私とKさんは半日以上かかった。
Kさんにしてみれば、タンカンを見たことはあっても
組むことは無かっただろうし、
簡単に考えていたのが、四角に組んでいたはずが
台形?菱形?どこも90度にならず・・・。
え~またやり直し~?



いよいよ導入。
バンビ様のご到着!



Yさんの車にはバンビのトイレ用の配管が乗っている。
大事なんだ、トイレは。






押せ!押せ!結構きつかったね、この坂。
はい、OK! とりあえず設置完了。




お疲れ様.

やっと朝ごはん。家から作ってきたお弁当と朝ワイン。
Yさんは朝ビール。



U-もお疲れさん。
住み慣れたバンビの中で一眠り・・・






実はこのバンビ、3ヶ月前まではSALEに出していた。

泣く泣く手放すことにしたのは目先の資金繰りに困っていたからだが、
実際「SALE」の看板を付けたときに
何年もU-共々各地をめぐってきた思い出が日に日に募ってきて
失恋した子の様にどんどん暗くなってしまった。

なによりこのバンビは前オーナーのairstreamcafe
のOさんから譲り受けた大切な物。
思い出の貴重なバンビを勝手に売ろうとしていた。

マイナス思考では仕事だって上向く訳ない!
この気持ちを仕事へのエネルギーに切り替えよう!・・・と。
この土地も思えば逃げ場探しだった。夢見ていた山の暮らしをよりによって
一番会社が苦しいときに決断したのだから。

だからやれば大概の事は越えられるんじゃないか。


大切な物は出来るならば手放さずにいたい。
でもそれがどうしても叶わないときは
そこに至るまで本当に頑張ったか、力を使い切ったか、それでも駄目だったのか、
自分にきちんと問いたださなければいけない。

たかがトレーラーではない。

思い出をギッシリ詰めた我が家。

 
 
 
 
 



愛すべきエアストリーム。





さあ~こい!冬将軍!



第7章に続く