白澤(ハクタク)とは、白い4足の獣。人面で、白ひげを蓄えた老人のような相貌、額には第3の瞳がある。2本の角が生え、頭頂に宝珠を乗せている。背には三つ目、2本の角がある。
「国際日本文化センター 怪異・妖怪画像データベース」より。
春日神社は、嘉祥3年(850)に奈良の春日大社より勧請され、小手26郷の惣社として古くから信仰されてきた神社。
御供殿(長床)は、寛政8年(1796)に建てられた簡素な入母屋造りの割り拝殿で、祭礼日に神事に用いられる。
御供殿前の狛犬。阿像の足元に子狛犬、口の中には玉が見える。吽像の足元には玉ではなく、華やかな牡丹の花。昭和8年の建立。
社殿は江戸時代中期、享保16年(1731)に竣工、元文5年(1740)に完成、遷宮された。すべて信達二郡の氏子の協力により造営され、階下の石の鳥居はその記念に建てられたもの。
入母屋造りに千鳥破風、唐破風つきの三間社。造営に当たったのは、三春町の棟梁山崎甚内。
御祭神は、天児屋根命(あまのこやねのみこと)、武甕槌命(たけみかつちのみこと)、齋主神(いわいぬしのかみ)、姫大神(ひめおおかみ)。
社殿は内部が前後に区分され、前が拝殿、後ろの本殿は流造りの一間社の神殿が三棟並ぶ。中央に春日四所宮、右に天照大神、左に八幡大神を祀る。
霊獣や聖獣をはじめ花鳥など、15種148点に及ぶ彩色された彫刻が美しい。
東西の向拝柱の正面上部に唐獅子、側面上方に獏(バク)、その下方に白澤(ハクタク)の彫刻がある。
白澤は古代中国の伝説上の神獣で、徳の高い君主が治める世の中に現れると言われている。
東側の白澤は口を開き、西側の白澤は口を閉じている。阿吽。
白澤の彫刻は、全国的に見ても非常に珍しく貴重。
向拝柱の下には石の亀さん。4つ足でしっかり踏ん張って、まさに縁の下の力持ち。
御神木の大ケヤキ。推定樹齢約400年。
社殿が小高い場所にあるので、川俣の街が一望できる。大ケヤキが緑の葉を繁らせる頃はさぞや美しい景観が広がるんだろうと思う。
立派で貴重な彫刻がたくさん施されている社殿なのに、屋根が朽ちかけていたり白澤にひび割れが入ったりしている。神社の参道入口に社号標は見られるが、一の鳥居や灯籠は地震で崩れて撤去されてしまったのか姿が見られない。文化財を維持するって大変…