うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

ごんの赤い花

2005年10月08日 | ことばを巡る色色
真っ赤だった彼岸花も盛りを過ぎて、ちょっとぼんやりしてきましたね。
半田のごんの里でも、きっとたくさんの彼岸花が咲いたことでしょう。  新美南吉記念館

「ごんぎつね」を読んだのは、、小学3年生のとき。小学館「小学3年生」の中でした。
お話を読んで泣いたのは、これが生まれてはじめてでした。
ごんがかわいそうで、かわいそうでなりませんでした。
お話の村にいけるなら、「栗とかまつたけを持ってきてるのはごんなんだよ」と兵十に教えてあげたのに、私が優しい、かわいそうなごんを守ってあげたのに。

このお話はちょうど今頃。彼岸花が咲いて、栗の実が落ち、まつたけが出てくるこの時期のお話です。

兵十が母のために採ったうなぎをごんが逃がしてしまったのは、悪いいたずらだったけど、
自分がしたことの意味が、相手にとってどんなものであるのかわからない時っていうのは、毎日の中でもたくさんあります。
相手にとって重大な意味があることに気づかずに、何も考えず傷つけているということもあります。
暮らしていくってことは、それだけで、手探りな、恐ろしいものなのかもしれません。


そんな恐ろしさに気づかず、「平気の平左」で暮らしているのかもしれません。
それに気づいた時、相手に痛手を与えてしまったとわかってしまった時
それを背負って、泣きながら、お詫びをしようとできるだろうか。
傷つけた当の相手から、そうやってそっとお詫びをされた時、素直に受け入れることができるだろうか。

優しい きくさん のことばの中に、 「まるで、涙がいっぱいたまった目で、世界を見ているみたい」という部分があり、数日、この言葉がリフレインしています。
手探りな、この場所で、涙をいっぱいためた目で。ごんと同じように、真っ赤な彼岸花を見ながら。

「ごんぎつね」は、上記新見南吉記念館のHPにて読むことができます。ぜひこの季節にご再読ください。
コメント (20)
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