映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【映画】ノルウェイの森
2010 日本 134分 監督 トラン・アン・ユン 原作 村上春樹 出演 松山ケンイチ 菊池凛子↑ 水原希子↓ 鑑賞 松江SATY東宝
村上春樹は世界的に人気があるらしいが、じっくり読んだことも無く、これは全ての現代作家に共通するのだが、苦手な部類に属する。「ノルウェイの森」も近親の誰かが買ったらしく、カバーの紅と緑の色と、ざっと目を通したことは覚えているが、全然中身の記憶がない。最近では彼が「主夫」をやった経験があるというエッセイを読んだだけだ。→2009-5-23「主婦あるいは主夫」
そういう意味では、原作と比べて映画の出来が云々と言う不平はないので、純粋に見る事が出来た。しかし、劇場で見たので、分からない所を後に戻って確かめることも出来ず、かなり浅はかな鑑賞しか出来てないおそれもある。第一「一体この映画は何を言いたいのだ?」ということが全体の印象なのだ。最後の一行でああそうか、となるけれど。
印象的な場面はー早稲田大学で活動家達がズカズカと授業中の教室に入ってきて「ギリシア悲劇よりも大切なことを討論したいから、授業を切り上げてくれ」と言うのに「ギリシア悲劇より大切なことがこの世にあるだろうか」と言いつつ教壇を明け渡す教師。そして、「人生は短い。時の試練を経ていない書物を読んで時間を無駄にするな」と忠告する、のちに外務省のエリートになる友人。そして、デモの隊列に逆らうかのように一人で学内を歩む主人公。その主人公の前に次から次に現われる女性達。(どうしてそんなにモテるんだ?というより、当時の若者はどうしてあんなに男女とも発情していたの?自分にも覚えがなくもないが)
緑(水原希子)を可愛いだけで演技力がないと酷評する声を聞くが、私はこの映画の中でただ独り好感を持てる人物だった。水原希子は当時19才、父は米国人、母は在日韓国人でモデルをしていたらしい。「杏っ子」のりさ子(三井美奈)を思い出させる。菊池凛子は好評だが、単に肌が合わない。
村上春樹に対しては「男流文学論」でも、また渡辺みえ子の「語りえぬもの:村上春樹の女性(レズビアン)表象」でも、取り上げられており、フェミニストやレズビアンの女性から見てどうも気になることを口走る作家であることはたしかである。ベストセラーと言う理由だけで反撥し、「時の試練を経ていない」作品に金と時間を費やすことに用心している私はこれからも買って読むつもりはない。しかし、ベトナム人映画監督が惚れ込んで、渋るかれに無理矢理頼み込んで映画化したという経緯を聞くと、その熱意に敬意を抱くし、興味がわいてくる。たしかに、風に揺れる草地や大きな岩場の光景、ビートルズの音楽、色々な音、など、映画で無いと出せない魅力もある。かれは映画的な小説家かもしれない。
村上春樹は世界的に人気があるらしいが、じっくり読んだことも無く、これは全ての現代作家に共通するのだが、苦手な部類に属する。「ノルウェイの森」も近親の誰かが買ったらしく、カバーの紅と緑の色と、ざっと目を通したことは覚えているが、全然中身の記憶がない。最近では彼が「主夫」をやった経験があるというエッセイを読んだだけだ。→2009-5-23「主婦あるいは主夫」
そういう意味では、原作と比べて映画の出来が云々と言う不平はないので、純粋に見る事が出来た。しかし、劇場で見たので、分からない所を後に戻って確かめることも出来ず、かなり浅はかな鑑賞しか出来てないおそれもある。第一「一体この映画は何を言いたいのだ?」ということが全体の印象なのだ。最後の一行でああそうか、となるけれど。
印象的な場面はー早稲田大学で活動家達がズカズカと授業中の教室に入ってきて「ギリシア悲劇よりも大切なことを討論したいから、授業を切り上げてくれ」と言うのに「ギリシア悲劇より大切なことがこの世にあるだろうか」と言いつつ教壇を明け渡す教師。そして、「人生は短い。時の試練を経ていない書物を読んで時間を無駄にするな」と忠告する、のちに外務省のエリートになる友人。そして、デモの隊列に逆らうかのように一人で学内を歩む主人公。その主人公の前に次から次に現われる女性達。(どうしてそんなにモテるんだ?というより、当時の若者はどうしてあんなに男女とも発情していたの?自分にも覚えがなくもないが)
緑(水原希子)を可愛いだけで演技力がないと酷評する声を聞くが、私はこの映画の中でただ独り好感を持てる人物だった。水原希子は当時19才、父は米国人、母は在日韓国人でモデルをしていたらしい。「杏っ子」のりさ子(三井美奈)を思い出させる。菊池凛子は好評だが、単に肌が合わない。
村上春樹に対しては「男流文学論」でも、また渡辺みえ子の「語りえぬもの:村上春樹の女性(レズビアン)表象」でも、取り上げられており、フェミニストやレズビアンの女性から見てどうも気になることを口走る作家であることはたしかである。ベストセラーと言う理由だけで反撥し、「時の試練を経ていない」作品に金と時間を費やすことに用心している私はこれからも買って読むつもりはない。しかし、ベトナム人映画監督が惚れ込んで、渋るかれに無理矢理頼み込んで映画化したという経緯を聞くと、その熱意に敬意を抱くし、興味がわいてくる。たしかに、風に揺れる草地や大きな岩場の光景、ビートルズの音楽、色々な音、など、映画で無いと出せない魅力もある。かれは映画的な小説家かもしれない。
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
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若い貴女もハルキが苦手と聞いて、嬉しい(というのも変ですが)気持です。読書するときは年上の作家のものを好きになりますよね、不思議なことに。どんなに良く出来ているという評判でも、10代や20代、30代の作家ものを読む気にはなりません。50代を過ぎたらそろそろ手を出してもいいかな、というのも何かが違いすぎるからでしょうね。お友だちが製作に関わっていらっしゃるとのこと、そういえば終りの字幕がかなり国際性豊かだなと思いました。
あなたが言ってた「年下作家の本は・・・」というのは同感です。少し教室でも書いたような気が、先生は共感してくださらなかったと思います。