マリの朗読と作詞作曲

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春望(杜甫)

2021年11月27日 | 漢詩の朗読

 

「春望」は、杜甫44歳、

安禄山の乱で賊軍に捕まって

軟禁された時の作(五言律詩)。

 

 

春望

 

春望   杜甫

(書き下し文)

国破れて山河在り

城春にして草木深し

時に感じては花にも涙を濺ぎ

別れを恨んでは鳥にも心を驚かす

烽火三月に連なり

家書万金に抵たる

白頭掻けば更に短く

渾べて簪に勝へざらんと欲す

 

(意訳)

戦火で長安の都は瓦解したが、

山河の自然は今までと変わらず、

季節もまた巡ってくる。

だが美しい花、楽し気な鳥のさえずりも、

今では悲しみの種でしかない。  

戦乱は3か月にもおよんでいて、

離れ離れになった家族からの手紙は

なかなか届かない。

老いと労苦で白髪は短く薄くなり、

(役職を表す)冠をとめるための簪(ピン)を

刺すことができなくなってしまった。

      

 

 

  春望 杜甫 

  (原文、白文)

  国 破 山 河 在

  城 春 草 木 深

  感 時 花 濺 涙

  恨 別 鳥 驚 心

  烽 火 連 三 月

  家 書 抵 万 金

  白 頭 掻 更 短

  渾 欲 不 勝 簪

 

 

杜甫(712年~770年)は

唐代の二大詩人のひとりで

詩聖と呼ばれる。

仕官した時期もあったが、

一生を通じてみると

放浪の時代の方が、圧倒的に長い。

 

 

 

松尾芭蕉は 奥の細道・平泉 の中で

この詩を引用している。

「国破れて山河あり、城春にして草青みたりと、

笠うち敷きて、時の移るまで涙を落とし侍りぬ。

   

     夏草や兵どもが夢の跡」

 

藤原三代の栄華の跡に立ち、

自然と比べて人間の営みの儚さを

句に詠んだのである。

 

 



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