さて、和気入道の最近のトレンドといたしましては「思い立ったら」GO! であります。後悔先立たず、といいましょうか。
目的がきちんとありまして、石川金沢の知人に会いに行くというものであります。拝借していたものをお返しするのをお礼を兼ねて、武術の教授に赴くことにしました。その御仁も体調の関係があり、お元気なうちにお会いしたいな、と。
まあ、それはそれで重要なのですが、せっかくなので道すがらにどっか楽しめるところはないかいな、と。まあ、結果的には金沢には1時間くらいしかおらず、完全におまけになってしまいました。
和気入道夫婦は日頃から着物の装いを楽しんでおります。調達は地元愛媛でリサイクル物を物色しているのではありますが。それなら、着物の総本山ともいうべき古都に赴く必要があるのではないか、ということで有り金持って大盤振る舞いといきましょう。
さらに言えば、和気宅から最も近い酒屋さんの影響で、最近は日本酒に凝っております。さすれば、聖地ともいうべき場所である伏見が京都にはあるじゃないか!
といった最近のトレンドと合致した旅ができるとの判断です。色々と調べて旅支度。2泊3日で、どれくらい楽しめるか。さあ、しかも着物姿で、いざ、出立。
土曜日の早朝のわりには松山市内は意外と混んでいます。松山インターまでけっこうかかった感じ。高速にのれば、巡航あるのみ。ところで、和気一家のクルマはMAZDAアクセラ1.5Dなのであります。多分ですが、プリウスよりは走りやすいと思います。往復で2000キロ近くは駆け抜けますよ。
休憩一番手は与島SA。瀬戸大橋は開通して30年余になるんですよね。初めて渡ったときの興奮も、そんな昔になるんですな。
突っ走ること約4時間くらいですかい、京都の端っこ伏見に到着。さあ、灘と並ぶ日本の2大清酒の聖地、まさにメッカ巡礼よ。高速を降りたら、偶然にも黄桜酒造のマイクロバスが前を走っております。テンション上がりますよ。
まずは予約したお宿に参ります。チェックイン前なのですが、車は置いていいとのことです。寿々喜荘さん、お世話になります。徒歩にて移動、お昼ご飯を。
串焼きの咲蔵に入店。土曜日ですが、ランチメニューあり。
和気殿は串焼き5点セット、家人はカルビ丼的なやつ。ビールと共に。お上品な感じでよかったですよ。なおよかったのは、店内の御客がほぼアルコールをいただいてたこと。昼間っから呑んだくれてすでにつぶれてる若者たちも居れば、伏見の酒飲み比べ3点セットを頼むおじさんとか。さあ、同化せねばなりますまい。お酒を1杯だけ注文、銘柄は忘れてしまいましたが、ご当地もの。
すぐ裏手には坂本龍馬のエピソードで有名な寺田屋がございます。現在も宿屋として営業してるとか。まあ、別になんてこともないですけど。観光の皆様と対応するスタッフが大勢。まあ、一目見ればよし。
天国が地上にあるとすれば、酒飲みにとってはここでしょう。最高のフレーズですねえ。
徒歩にて移動、やってきました「♪ カッパぱあ ルンパッパ~♪」カントリー。テンションmaxです。和製英語っぽいような。
どうやら、ここで実際に醸造しているようです。当たり前ですが。
こんな鉄看板ありましたっけ? 本格を謳えるということは、ほかが本格じゃなかったってことでしょうかね。
和気入道の世代は日本酒には等級がありまして、2級酒・1級酒に特級酒が売られてました。今では冷やして飲むのが日本酒の基本となりつつあると思うのですが、その頃はお燗して飲むのが当たり前でした。(すでにパソコンでも「燗して」が変換しても出てこないし)というか、そうしないと飲めない代物だったっすよね。戦前戦中を体験した世代と我々との違いかなあ。おっさんたちはこよなく愛してたのでしょうが。まあ、はっきり言って不味かった。物品税廃止頃に等級制度もなくなってんですかね。酒飲みには消費税導入は大きかったです。洋酒も爆発的に安くなりましたし。また、そのころ和気が東京にいた時代に日本酒ブームというか地酒ブームが起こりまして。そういや、うつろ覚えですが、確か火付け役が愛媛の「梅錦」だったとか。
日本酒の消費量が減少している、というトレンドはなんとなく知っているのですが、逆に言うと大量にまずい安酒が消費されることがなくなったともいえるのではないでしょうか。それって、そんなに悪くないかも。ワールドワイドに日本酒が広がっていってますよね。良くも悪くもアルコールは税とのせめぎ合いは世界的に繰り広げられるわけで、濁酒(どぶろく)だって合法的にやっと飲めるようになりましたし。日本政府って、日本酒文化をぶっ壊す政策ばっかり、だったですよねえ。
わざと? 的な演出でしょうか、ほんとに昭和って感じのお人形による酒造工程。
展示というより、完成度が高い民芸品って感じかな。そのままCMで使えそうですよ。
懐かしのCMも流れます。メディア戦略で成功した例なのかもしれません。和気入道の世代はほぼ脳裏に刻まれているでしょ。
小島功さんの原画です。幼少のみぎりにはお母さんカッパのおっぱいがエロくて、それがよかった。今はテレビで流せないでしょうねえ。お母さんが子供の前で呑むっていうシーンも厳しいかも。そのころの洋画劇場でも濡れ場ある映画が普通に放映されてましたしねえ。乳がでないお色気禁止のご時世なわけで。そりゃあ、草食系男子が育つわなあ。
中庭では各種お酒が売られています。プラの猪口で100~200円。物足らない量ですが、ある意味ちょうどよい。普段なら、おそらく買わない銘柄ですし。ほどよく出来上がっていきますが、周りのみんな呑んでますねえ。昼間っから。素晴らしい。
日も傾いてきました。宿に戻りつつ、次いってみよう!
富翁の酒蔵では直売所がありまして。景気よく試飲させてくれます。いや~、いいですねえ。原酒とか美味しかったですよ。要冷蔵のため購入は断念。でも忘れないように、ここで記しておきます。
重厚なレンガ造りの「松本酒造」さん。雰囲気満点ですね。小売り窓口は見当たりませんでしたが。和気ご近所の、それこそ「松本酒店」で買いましょうかね。
近くの古着屋を物色だけして、お宿に帰還。お風呂に入って、夜の部へ突入です。できれば、京おばんざいがいただけるようなお店がいいなあ、ということなんですが、グーグルマップで徒歩圏内を探しまして。和気入道の特技である、「胃袋が欲する」いい店センサーがさく裂しますよお。
「宮」という名の小さなお店。予約してます? と訊かれ「いいえ」と答えますと、大将が一呼吸おいて「どうぞ」とカウンターへ。カウンター5席のうち、3つに予約札が置いてます。空いてるテーブル席もリザーブ札が。事実上、満席です。期待できるかも。
いや~、分かってらっしゃる。サッポロラガー、いい品揃え。
お通しがこちら。季節感、彩り、お味どれもすごい。京都風情満点です。
お店のキャッチにもあるのが、だし巻き卵。フワッフワで優しいお味です。
さらに伏見のお酒に突入。銘柄は失念。女酒と称される伏見の酒はここの料理にぴったり。カウンターにいろんな猪口が置いてあり、「お好きなのでどうぞ」とのこと。いや~、いいサービスですねえ。
うざくです。ウナギの酢の物。
雲丹蓮根。初めていただきましたが、うめ~。
ドリンクメニューにあったのが、「森伊蔵」。京都で初めて飲みました。なんでここに並んでるの? 女将が鹿児島ご出身とのことで、関係あるのかな。訊きませんでしたが。
気さくな大将と女将とのお話も、これまた楽しかったですねえ。次も絶対的に来るでしょうねえ。ご馳走さまでございました。ほんとに満足。
伏見は地上のパラダイスでございました。日中にプラの利き猪口持った人たちがうろつく様は、まさに酒天国。人間の屑にはたまりませんねえ。気の置けない酒飲み連中で集えば盛り上がること、間違いなしだと思います。ちょっと遠い昔にはここで戦役もあったわけで、歴史を感じることもできますし。酒を飲み呑み、殺し合いをしたんでしょうか。