明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

ゴルフの愉しさ(30)古江彩佳、横綱相撲の美学で優勝!(後編)

2024-07-17 12:49:49 | スポーツ・ゴルフ

(前回の続き)18番パー5は最終日ティーが少し前に出て、殆どのプレイヤーが2オン可能なセッティングになっていた。古江はドライバーで270ヤード近く飛ばしてギリギリ「ファーストカット」に止まり、残り175ヤードと「2オン可能な位置」に球を置いた(但し、数字は私の想像が入っています)。一方のキリアコウは相当気合が入ったのか、放った渾身の一打は左に大きく曲がって飛んでゆき、鈴なりの観客が見守る中「林のきわ」に落ちて何とかラフに止まった。ライは打てそうだが前方に木があって、グリーンは狙えないようだ。ひとまずイーグルはなさそうである。

見ている我々にしてみれば「ヨシッ!」ってなもんだ(余りお勧め出来る態度では無いが、まあ仕方ないだろう)。

2打目は古江が先に打った。グリーン手前に池があってリスキーだが古江のショットは高々と上がって綺麗なドローを描きながら飛んで行き、グリーン奥のカメラに切り替わった時、球がグリーンの池に向かって下っている斜面に落ちて「ギリギリ前に跳ねた」ように見えたのだ!(解説の岡本も「ひゃあ~っ!」と悲鳴を上げる危ない場面だった)。ボールはそのままコロコロと転がって、ピンハイ5mにピタリと止まって「イーグルチャーンス!」である(オーマイガッ!!)。このスーパーショットにコースを取り巻く観客は大歓声で褒め称えた。カメラはプレーオフに備えて待っているタバタナキットに切り替わったが、彼女にもそのどよめきが伝わって「きっと誰かが2オンに成功したに違いない」と分かり、ついに優勝を諦めた瞬間・・・だったように私には見えた(試合を盛り上げるカメラワークが素晴らしい!)。

次のコフリンが奥のバンカーに入れて、キリアコウは出すだけ。カメラが映し出すキリアコウの顔にはもはや優勝の2文字は遠くに消えて行って、ただ虚ろで無表情な顔が痛々しく映し出されていた(オーストラリア人なだけに、元々表情が分かり辛いだけなのか、本当のと悪露は私には分からない)。仕方なくフェアウェイに出すだけの苦渋の選択を強いられたが、それでも第3打を見事に根性でピン奥2mのバーディチャンスに付け、古江が「イーグルパットを外せばプレーオフ」という可能性を残したのは流石である。これは最後まで勝負を諦めない不屈の精神を示した相手を褒めるべきだろう。もしドライバーがフェアウェイに止まっていたら・・・。

ゴルフに「タラレバ」は禁物です!(でも危なかった)。それから古江は「絵に描いたようなイーグルパット」を難なく決めて優勝、14番からの奇跡の逆転ショーの幕を閉じた。

・・・・・

振り返って今年のエビアン選手権を総括すれば、古江が持つ「ソーンに入った時」の圧倒的なパターの威力と、それを支えた正確無比なショット力、それに尽きる。ただ不思議な事に、メジャーで優勝という「これ程の偉業」を成し遂げたのに、日本のメディアでは殆ど扱われずにスルーされてしまった。テレビは連日大谷の事ばかり。一人のゴルフファンとしては違和感ありありのメディアの対応である。しかし友人のSN氏もSY氏もそれ程興奮しているようでもなかったのは、WOWOWが独占放送して地上波・BSともに放送が無かったからではないだろうか。やっぱり地上波が放送してくれないと古江の「歴史に残る大勝利」も小さく扱われるのかと思うと、残念でならない。まあ、このことで古江のメジャー制覇の価値が下がるなんて事は一切無いが、もっと日本中で祝福されてもいいのに・・・と私は思った。それほど素敵で美しく、カッコ良かったと思う。

古江彩佳、最高だぜぃ!!



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