とにかくパターの破壊力の凄さには「感動!」しかない。
録画しておいた最終日14番からの怒涛の逆転劇を昨日今日と二回も見直したが、まさに彼女の為に設えた舞台で満座の観客を独り占めにするような「圧巻のパター」のショーを繰り広げる古江の前では、さしものキリアコウもコフリンも舞台の袖で黒子に徹するしか無かった(パチパチパチパチ!)。
まず14番。ピンまで10mはあるかというロングパットだ。しかもピンに向かって下りが入り、それから3m登って左に切れる嫌なラインである。観客の誰もがよもや入るとは思ってなくて、ピンに寄せるだけでも拍手するような超難しいパターを、いとも簡単に入れて見せた瞬間から奇跡の逆転劇は始まった。まあ正直言えば古江自身、五分五分かな?と思っていたとは思う。その証拠に、入った瞬間彼女には珍しく「右手を高々と上げ」て、観客のどよめきにガッツポーズで答えたのである。
さらに第二幕の15番だ。今度は12m、さっきのより長くて途中から下りになる難しいパットである。14番は最後に登るのでピンそばに止めるのはそれほど難しくはないが、今度は下り傾斜の途中にピンが切ってあるので「外したらそのまま通り過ぎ」て4、5mは行ってしまう危険があって、並みの選手なら怖くて打てなくなってショートする、というのが普通である。ところが古江はゾーン入っているのか「いつものように」サラリと打った。球は途中でグングン加速して観客が「危ない〜!」と静まり返る中、糸を引くような爽快なスピードを維持したままで「ど真ん中」からガツン!とピンに当たって勢い良くカップに飛び込んだのである。ウォーっという観客の興奮度合いは更に膨れ上がって、古江の右手がまたしても空に突き上げられたのは言うまでもない。古江の表情がやや「はにかんだ」ようにほんのり赤く染まって見えたのは、多分本人もまさか入るとは思ってなかったのかも。
そして最後の締めはこれまたアンジュレーションのキツいパー3の16番だ。ここで古江は右奥の土手のように高くなっている所に落として、そこか下り傾斜を利用してピンに寄せるという「マネジメントの妙」を見せる。コフリンも同じ手を使ったがショットが低い所に落ちて万事休す!、マネジメントは「その通りに打たなきゃ」意味ないのだ(哀れなコフリン!)。逆に古江の正確なショット力が満員の観客の前に魅せつけられた結果になった。カップを通り過ぎて登りの3mに付けた古江は、返しのパターを難なく沈めて3連続バーディーである。なおキリアコウはピンそば1mとベタピンに付けるスーパーショットを見せて解説のレジェンド岡本から「鳥肌」とのコメントを貰い、同じくバーディーで通過した。ボギーを叩いたコフリンが順位を下げたので、ここで単独首位をGETである。
この段階でキリアコウ有利の状況は間違いない。17番は短い右ドッグレッグのミドルホール。まず古江がドライバーを持たずにユーティリティを選択、バンカーを避けて左セミラフの好位置に付けた。次がキリアコウだがやや左に曲げて深いラフに「ズッポし」である。キリアコウはそれほどドライバーを左右に曲げる選手ではないがやはり優勝を意識したのか、何となくショットに精彩が無いように思える。古江はアイアンでピン奥8mに2オンした。キリアコウは深いラフから思いっ切り打ち出したがグリーン手前50m程の所にショート!である。オンコースで実況している東尾はこれは多分わざと刻んだショットだろうと言っていたが、カメラが捉えたキリアコウの表情には僅かではあるが「失望」の文字が刻まれていた・・・というのは大げさだが、少なくともエッジ位には寄るものと期待してたんじゃないだろうか、知らんけど。
しかしこの段階でも古江はまだ8mのパットを残しており、キリアコウが3打目をピンそばに寄せて1パットで沈めれば、1打差を保ったまま短いパー5に臨めるので「余裕で優勝」という文字が頭をよぎったとしても不思議は無い。で、慎重に素振りを2度ほど繰り返した後にピンを2、3度見てそれからクラブを一閃・・・したと思ったらボールは何と「15mほど飛んだだけ」で、無情にもバンカー脇の斜面に力なく止まってしまったのだ。悔やんでも悔やみきれない「痛恨のザックリ」である(バカバカバカ!)。
まあ、我々アマチュアに取ってはお馴染みの「良くやるミス」だが、キリアコウ程の名手が、しかもメジャーの勝負どころの競った場面で「まさかやってしまうとは」正直、思いも寄らなかった。これで次に寄せてもボギー。1打のアドバンテージは夢のように消えて無くなった(超ガックシ!)。しかしまだ負けた訳じゃないのだ。スコアは並んだだけである。飛距離の出るキリアコウには、まだイーグルも狙えるパー5が残っている。
「まだ行ける、まだ並んでだけじゃないか。今でも優勝に一番近い位置にいるのは私だ!」
そんな声が彼女の心を鼓舞してただろう事は間違いないと思う。だが、その「自身を奮い立たせようとする過剰な気負い」が逆に彼女から平常心を奪ってしまったとすれば、原因はこのザックリにある、と言えると思う。・・・あな恐ろしや、グリーン脇からよもやのザックリ!
皆さんは夢々やらかさないようにお気をつけ遊ばせ、である。さて今回は長くなり過ぎたので、乾坤一擲の勝負の18番は、次の「後編」で書くことにしました。私はこれからもう一度録画を見返して「感動の表彰式」を味わいたいと思います。それでは!
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