明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

読書の勧め(7)本能寺の変、決定版はこれだ!

2022-12-12 21:47:00 | 歴史・旅行

これは本来は古代史が専門の歴史家と思っていた「斎藤忠」先生の著作をネットで探していた所、Amazon の「定額サブスク読み放題」に出ていたので早速ポチッと購入した次第である(と言っても「無料」なのだ!)。ちなみに本能寺の本は2冊あるが、もう片方の「完全版」は有料になっているので注意すること。当然私は無料の方を読んだがこれでも十分であり、大体の概要はしっかり理解できたので、もしサブスクに入られている方は是非とも買って読んでみることをお勧めしたい。

で、肝心の内容だが、今まで色々な説が出ていて「これだ!」と言う決定版が長い間出ておらず、歴史家と出版社や本屋それにテレビなどのメディアだけが儲かっていると言う「いつもの状況」が続いていた(これは邪馬臺国と同じ構図である)。これは一方的に専門家が喜ぶ「歴史の謎」シリーズの得意パターンでは、と勘ぐりたくなってくる。なるほどほとんどの歴史家が明智光秀の単独犯説をとっているが、果たしてそれが真実なのか?。そこで歴史の闇を切り開く先達者として、満を持して剛腕「斎藤忠先生」が快刀乱麻の冴えを披露した、と言うわけである。しかしここでついつい興奮して、いつもの「ネタバレ」をやってしまっては「謎解き」の話の展開を楽しみにしている読者の皆様に申し訳ないので、必要最小限のことだけをお話ししようと思う。

1、まず斎藤忠先生は、本能寺の変が起こった時の「建物の配置図」を掲げて説明するところから始める。まさに「事件現場」の状況から入るのだ。この時点でもう「あれっ?」と皆さんが思うであろう「事実」が明らかになるのである!(それは何だと聞かれても、読んでみてください、としか言えないのが辛い)。

2、次に明智光秀軍の行動が、どうにも不可解だと言うのである。私もこの本を読むまでは、夜中に丹波の居城を出た明智軍が「老の坂」を越えて途中で進路を変え、京の信長を討つために本能寺に向かった・・・、と思っていた。この点については「以前から変な話だ」と思ってはいたのである。そもそもこの時代に1万以上もの軍勢を動かす場合は、当然「事前に情報が主君に伝わるように」スパイ網が張り巡らされていたはずである。さらに言うならば、明智軍は「信長の配下の軍隊」であるから、その行動は「最初っから」信長は熟知していたと見るのが妥当ではないか。その軍隊が急に行き先を変更したら、まず「どうしたんだ?」と騒動になるに違いないのだ。それが何事もなく「桂川を越え、田畠や民家の脇を通り過ぎて」京中の本能寺まで進出するなんてことが果たして可能なんだろうか、と思っていた。史実によれば明智軍は2、3万の大軍勢だったようである。本来は備中高松城で毛利攻めを行なっている羽柴秀吉の応援に行く「予定」であるから、軍は「完全武装」で、いつでも戦闘出来る状態にある。史実によれば本能寺を囲んだ明智軍は鉄砲の火縄に点火し、槍の穂先のカバーを外して臨戦態勢に入っていた、という。であれば、その時京都にいたであろう「戦う相手」は誰なのか?。この質問は「誰もが思いつく」当然の疑問だったと解するほか無い。そんな大軍勢が主君の信長のいる本能寺に向かって来るのを、情報を聞いた信長の側近が「ぼんやり眺めて何もしなかった」と言うのは有り得ない話である。私は信長は、明智が自分のいる本能寺にやってくることを「知っていた」、とする説(誰の説だったかは忘れてしまった)が「真実だ」と思っていた。しかし斎藤忠先生の考える本能寺の変の真実は、私の想像を遥かに超える「あっと驚く」結末を白日の下に暴いているのである!。

3、私は昼飯を食べて3時頃から「ゆるーく」のんびりと読み始めたが、程なくして「登場人物のリアルな葛藤と時事刻々の事態の変化」に引き込まれてしまって、とうとう夜中の2時までかかって「一気呵成に読了」したことを報告した次第だ。まだ私にも、こういう単行本を一度に読み切ってしまうような「気力体力が残っていたのか!」と驚くと同時に、まだまだ私も捨てたもんじゃないな、という自信めいたものが沸々と湧き上がってくるのを感じて、大いに満足したのを覚えている。斎藤忠先生、ありがとう!

結論:とにかく最後の最後まで「読者の想像を超えるどんでん返し」が待っているという、ジャンルはノンフィクションながら「ヒーロー刑事が犯罪集団を追い詰めるサスペンスアクションの傑作」と言えるほどの超一級の作品に仕上がっているのは間違いない。特に、本能寺の南側に1区画を隔てて建っていた「南蛮寺」の高層階から事の推移を具に見ていたバテレン宣教師が、本国に送った報告書の参照は画期的である(私はその存在を知らなかった)。そして信長に近習していた黒人の従者「弥助」の、その後の不可解な行動が更なる事件を引き起こす・・・。ああ、この「明智光秀の複雑な心中」を誰かに話したいのだが、秀吉の中国大返しの真相にも関係してくる問題なので「ここはじっと我慢して」黙っているしかないようだ。

残念である。出来たら皆さんもこの本を読んで、「歴史の大ウソ」を暴くスリリングな一大エンタテイメントを存分にお楽しみいただきたい。なお、これは新手のステマじゃないかとのお疑いを持っている人には、「私は出版社から1円も受け取っていない」事を断言します。まあ、仮にステマだったとしても、Amazon のサブスクで無料なんだから、出版社にしてみれば「何の意味もない」けどね。

とにかく凄い本だから超おすすめです。

 

以上、ちょっと前に書いた記事の再出です。この間自分が書いた以前の記事を読み返していたら、この記事がすごく出来が良いなと感じたので「もう一度、皆さんに見てもらう」ことを考えた次第です。出来たら皆さんにも、斎藤忠氏の傑作を読んでもらえたらと思っています。勿論、これは私の勝手な「お勧め」ですが・・・。



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