明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

読書の勧め(15)「中国の歴史がわかる50のポイント」狩野直禎を読む

2025-01-16 18:17:08 | 芸術・読書・外国語

去年の暮から読み始めて今日ようやく読み終えました。350頁程の本です。題名の通り、中国の歴史を紀元前4000年位の昔から説き起こして現代までその重要なトピックを、丁寧かつわかり易く解説した名著。たまたま Amazon の読み放題に入っていたので、無料で読めたのでラッキーだった。このシステムは毎月定額で文庫や高額の単行本が読めるので重宝しています。友人のSN氏は昔ながらの「図書館」を活用しているようですが、私は面倒なのでスマホで電子書籍のスタイルを使っています(本当は図書館で紙媒体が良いのだが、ズボラなので)。これなら毎日いつでも読めるし、特に朝食後の午前中を読書の時間にあてているので、ノルマ達成には至極便利です。今年は年初より読書に力を入れると宣言した手前、早々と一冊物にできたのは幸先が良いと思っています。今年はこの調子で10冊以上は読んでみたいものです。

さて肝心の読後の感想ですが、とにかく覇権争いが激しいのには驚きます。簡単に言えば王位継承問題から兄弟親子が殺し合ったり、乱脈な政治で苦しめられた地方の民衆が決起して何万何十万という勢力に膨れ上がって収拾がつかなかったり、或いは辺縁の異民族が強大になって王都に攻め込まれたり、何れにしても大規模な戦乱と処刑・暗殺・族滅の連続、という筋書きになります。この辺りは読んでいても「またかよ」と言いたくなるので注意が必要ですが、まあ話の筋は同じでも主人公は全く別の人々なので繰り返されるのだろうと思っています。歴史に学ぶとは言いながら、民衆はいい迷惑ですねぇ。

本を読み終わって思ったのは、何より重要なのは「経済の安定」ということでした。周辺異民族との防衛問題は中国が大陸だから発生することなので我々島国のものにはイマイチ理解が及ばない点もありますが、そもそも住んでいる人がその場所で満足して生活しているのなら起きない問題だとも言えます。やはり人間は天下を取りたいんでしょう。ところが一旦天下を取ると周囲の防衛を強化しようと莫大な費用を注ぎ込むので民衆に重税を課し、それが人々の不満爆発を引き起こして反乱が起きる、の繰り返しになるわけです。日本もいい加減に考えなきゃいけないと思うんですがねぇ。

まあ、王が猜疑心から才能ある部下を殺して自滅したり、宦官を重用した結果として宮廷内が乱れたりというのはよくある事でそれ程驚かなくなりましたが、私が興味があるのは宮廷ではなく「民衆の持つ生活力と市民文化の隆盛」なので、これはこれで一応の知識として頭に入れておこうと思っています。今回特に中国の歴史を読む上で重要だなと思ったのは、本を読む時に「中国全土の地図」をタブレットの画面に出しておいて、新しい都市名が出てきたらいつでも「場所を確認すること」です。出来れば発音も中国語で覚えたいのですがそれはそれとして、まず北京と南京の位置、そして西安や洛陽やコロナで有名になった武漢とかの距離感ですね。それと太湖や泰山とか、正確な位置関係を地図で確かめているだけであっという間に時間が過ぎてしまします。日本の歴史を読んでいるのであれば殆どの地名は調べなくても大体の場所は頭に入っているのですが、その感覚を「あの広大な中国大陸」でも発揮しようとなると「相当な時間と訓練」が必要になります。ひとつ例に挙げれば西安、つまり日本でも馴染みの「唐の都、長安」のことですが、私は今まで「咸陽と目と鼻の先」だとは思ってもみませんでした。咸陽は秦の始皇帝の都でテレビドラマにも登場する有名な場所ですが、その頃はまだ長安は「歴史に登場していなかった」んでしょうかねぇ。勉強になります。

さて一通り「通史」を読んで大体の流れがつかめたので、次は「春秋戦国時代」の争いから秦が統一するあたりをちょっと読んでみたいです。



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