明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

クリントンとパククネに見る女の嫌われ方

2016-11-16 21:00:21 | ニュース
このところニュースはトランプで持ちきりだが、そろそろアメリカ大統領選の総括をしようと思う。つまり何故トランプが勝ったかというより、何故ヒラリーは負けたか?である。女性候補という切り口は、黒人候補という切り口より難しかった、結論から言えばそうである。あらゆる迷信や男女差別から自由なはずのアメリカの国民が実は、意外と古い考えにまだ囚われている人が大半であると分かっただけでも、女性の社会進出を考える上で大きな収穫ではなかっただろうか。

日本女性の社会進出は目覚ましいが、それでもまだ大企業の一部か美容ファッション関係か血縁関係の同族経営に限られるようである。純粋に能力を男性と比較して女性を選ぶという平等な社会が果たして幸せなのかどうかは置いておいて、政治の分野においても女性進出は進んでいない。人間の半分は女であるから普通に選べば男女同数になる筈だが、立候補者の数がそもそも少ないし理由は色々あるが男性が圧倒的に当選しているようだ。何か立候補する側に男女の差があるようだし、投票する側にも男女についての差があるといえる。フランスでは男女平等を維持するために、立候補は男女ペアで行うと法律で決まっていると聞いたことがある。さすがはフランス、やる事が明快だ。

イギリスのテリーザメイ首相はサッチャー以来の伝統的「鉄の女」を彷彿とさせる凄腕の切れ者と評判で、全く女を感じさせない強い首相である。ドイツのメルケル首相はこれまたバラバラな欧州をまとめ上げて頑張る強面の女性リーダーだ。それに比べて日本の小池都知事はどうも私の見たところ、口のきき方が「ベチャベチャ」していて、言ってることがストレートでないのが信用できない印象を与える。女らしい柔らかい物言いと言えば聞こえはいいが、ポピュリズム全盛の時代に曖昧な対応で終始しているようでは心もとない。人間誰しも失敗する。肝心なのは失敗した時に許してもらえる人柄かどうか、である。まだ失敗らしい失敗はないようなので問題は表面化してないが、愛されているかというとメイ首相やメルケル首相とは違って本当の味方は少ないように思う点が気がかりだ。

ではパククネはどうかというと、可哀想なくらい四面楚歌である。ようやく出てきた弁護士も、親族みたいな怪しい人物で、とても疑惑を晴らす能力で選んだとは思えない。彼女の問題点は「人物が好かれている訳じゃなくて、政策が受けた」だけ、と言う点である。パククネが大統領の間、何を成し遂げたかと問われると、セウォル号の事故と慰安婦の問題ぐらいで、特に何かをやったという記憶がない。彼女が男なら、派閥を作ってこんな時にも味方してくれる人が少なからずいたであろう。女だけにそれもなかった。女の足を引っ張るのは、いつも女である。

これを踏まえてクリントンの敗因を探れば、女性である事を選挙戦で有利な要素に戦えた小池都知事と違い、トランプの革新的な破壊力に「従来の路線堅守」で対抗するのは荷が重かったのではないか。トランプとスキャンダルの貶し合いをした時点で、ヒラリーは女性の支持を失っていたのだと考えられる。だがアメリカの政治状況は男女で大統領を争うような平和な状況ではなく、もはや「行き詰まったアメリカをどうするか」という究極の選択を迫られていたわけで、危機的状況の時にはトランプのような「ちゃぶ台返し」的な人間が必要とされるのであるとも言える。その意味では、サンダースでなくクリントンを選んだ時点で、民主党は負けていたと言える。

ここでいつもの「田中宇の国際ニュース解説」が届いて早速読んでみたら、連銀と中央銀行が推し進めてきたQE=デフレ対策のウソが続かなくなっている、という怖い記事である。黒田日銀のデタラメは就任時からバレバレだったが、トランプの政策で実体経済に資金が注入され、株の暴落が起きて社会がメチャメチャになると書いてある。いよいよ政府と中央銀行の悪政にも限界が来そうだ。イギリスのテリーザ・メイ首相は、この経済の大転換時に渾身の一撃を打ち出しているという。やっぱ鉄の女の再来である。イギリスは最も大事な政治の世界で有能な人間が誰なのかを、政治家も国民も男女差を超えたところで議論出来るレベルに達していると言える、凄い事である。日常的に男女を超えて、政治を議論しているのだろう。残念ながら、日本はまだまだである。

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