「胸 さわってみて 」

　　　　　　息子の野球部ママ飲み会に行った時のこと

　偶然乳がん患者さんだったママの横に座ることになりました


　　　　仕事で試合など顔を出す機会の少ない私に

　　　　　「お仕事なにしてるの？」と聞かれたので

　　美容師と　医療用ウィッグを作る仕事もしてることを説明すると

　　　　
　　　　　　　「え～！私も使っていたんだよ～」

　　　　　　　　　　と明るく話くれました


　　　ママさん仕切り役の私のところには　それとはなしに

　　　　彼女のお話は　別のママから聞いてはいましたが

　　　　　　いつも連絡事項をメールで流す程度でした


　「私の胸は再建もしたんだよね同時再建。　胸、さわってみてよ！」

　　　　　　　　　　　　　


　　今まで同性でも　大人の女の人の胸を触る機会などありませんでした

　　　　　　　　　上着を広げて　どうぞ　といった感じに

　　　　お言葉に甘え触ってみると　　……大きい　　（そっちか？）


　右が再建　左は自前とのことですが　お腹の自家組織を使っているとのことですし

　　差なんて　わからないし　大きくて羨ましい　　（またそっち）

　　　　　居酒屋で人の胸を触る光景は　後で思えば不思議かも



　　夏には彼女の調子のよくない情報を他のママからもらっていたので

　　　　「お茶当番は調子が良くなってから　お願いします」

　　などとメールをして　当番が回らないようにを調整していました

　　　　　　　　　　　心配していた夏が終わり

　　　　秋になると　試合で応援する彼女の声が聞けるようになり

　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　「ヨッシャー！！！」と

　　　誰よりも大きな声で応援する彼女に　ホッとしました


　　　　
　　　　「自分の髪が伸びてきて　ウィッグを外すときは

　　　　　信頼できる美容師さん切ってもらいたかったね」

　　日本酒を飲みながら　いろいろなお話をしてくれた彼女

　　　逞しいママです　　私が力を貰ったような気もします




　　　　　　「さわって！さわって！胸　さわってみて！」

　　　　　　　　　と心から微笑む彼女の笑顔

　　　　　　　ずっと忘れない　幸せの笑顔です
　
　　　　　　　





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